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 身に着けるだけで快適な農作業を実現する「アシストスーツ」

 身に着けるだけで快適な農作業を実現する「アシストスーツ」

ドローンや無人トラクター、人の代わりに収穫をしてくれるロボットなど、農業への最新技術の活用が進んでいます。様々な農作業が快適にできるようになれば、高齢化や人手不足に悩む農業の現場に、大きな変化をもたらすことが期待されます。人が身に着ける「アシストスーツ」は、その第一歩と言えるでしょう。農作業に多い中腰での作業時や重い物を持ち上げる時に、利用者をアシストしてくれます。

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モーターやゴムの力で人の作業をアシスト

「アシストスーツ」と聞くと、ロボットのようなものを想像するかもしれません。ロボットは人に代わって作業してくれるものですが、アシストスーツはあくまでも「人の作業をアシスト(支援)してくれるもの」です。重いものを持ち上げる時や、中腰で作業を行う時などに、モーターや空気圧、ゴムなどの力でその作業を支援し、身体への負担を軽減してくれます。

2016年11月に、「JA北海道女性大会」でアシストスーツを装着し、約6キロの重量物を持ち上げる体験会が行われました。「腰が楽になった」「実際の作業で使ってみたい」「肥料の運搬時や中腰作業に役立ちそう」といった感想が女性参加者から聞かれたそうです。

脳から筋肉に送られる電気信号を読み取るアシストスーツ

モーターなどの外部動力を使った「HAL(ハル) 作業支援用」 (画像提供:サイバーダイン株式会社)

アシストスーツは、モーターや空気圧を使ったタイプと、モーターなどを使わないタイプの2つに分けられます。

モーターや空気圧を使ったアシストスーツは、利用者の動きに合わせて作動します。サイバーダイン社の「HAL(ハル) 作業支援用」は、腰に装着するタイプのアシストスーツです。腰に電極を貼り、人が体を動かす時に、脳から筋肉へ送られる微弱な電気信号を読み取って動作します。HALは、物流や介護施設で使われているほか、空港での荷物の積み下ろし作業での活用が検討されています。同社では現在、防水モデルを開発中で、どのような農作業に利用できるかを検証しています。

その他、指先にスイッチのついた手袋をはめ、荷物を持ち上げる時にスイッチを押すものや、センサーを口元につけ、息でスイッチを入れるものなどがあります。

モーターなどの動力を使わないアシストスーツ

モーターなどの外部動力を使わない「スマートスーツ」(※1) (画像提供:株式会社スマートサポート)

一方、NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)の助成を得て、株式会社スマートサポートと北海道大学が開発した「スマートスーツ」は、モーターなどの外部動力を使わないタイプです。当初はモーターでゴムの張力を調整する仕組みを考えていたのですが、野外での耐水性や安全性を考慮し、早期の実用化を優先してモーターを外すことにしたそうです。これによりアシストスーツが軽量となり、スイカ農家が試用したところ、中腰姿勢を補助される効果が見られたそうです。

北海道・富良野で「スマートスーツ」を着てスイカの収穫作業を行う農家(※2) (画像提供:株式会社スマートサポート)

開発を手掛けた北海道大学の田中孝之(たなかたかゆき)准教授は、「ロボット研究者として、モーターを外すことに抵抗がなかったといえば嘘になります。正直、躊躇しました」(※3)と振り返っています。

国立研究開発法人産業技術総合研究所が開発した人間型ロボット・HRP-4C「未夢」を利用した検証実験 (画像提供:北海道大学 田中孝之准教授)

アシストスーツは、まだ利用が始まったばかりですが、多くの方に普及する日はそう遠くはないでしょう。今後スマートスーツが普及していけば、高齢化や人手不足に悩む農業の現場にとって力強いアシスト(支援)となりそうです。

参考

(※1−3)新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)実用化ドキュメント「農作業や介護労働の疲労を軽減するスマートスーツを開発」

http://www.nedo.go.jp/hyoukabu/articles/201603smartsuits/index.html

ホクレンインフォメーション

http://hokuren-news.jp/news_detail/id=141

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