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生産者の試み

農本来の価値を伝える「杉・五兵衛」が追求する農業の理想の姿 

農本来の価値を伝える「杉・五兵衛」が追求する農業の理想の姿 

2017年10月14日

大阪府枚方市の郊外にある農園「杉・五兵衛」では 様々な野菜、果物、山菜、花などを育て、収穫した作物を使った農園料理を提供しています。根底にあるのは 「自ら種を蒔き、耕し、育て、食すという『農』の本来の姿を知ってもらいたい」という思いです。「杉・五兵衛」が考える農業の理想の姿とは、どんなものなのでしょうか。元田享兵(もとだきょうへい)さんにお聞きしました。

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農の本来の姿を五感で体験できる場

甲子園球場の2倍ほどある広大な敷地を有する「杉・五兵衛」は、元祖「農家レストラン」として、様々な野菜や果物、山菜、花などを育て、収穫した作物を使って手作りの農園料理を提供しています。敷地内では、作物の収穫体験や動物とふれあうこともできます。

元田さんによれば、園主である、のじま五兵衛さんがこの農園を開いたのは1972年のことです。家業の跡継ぎとして農業に勤しむなかで、日本の農業の将来を考えるうちに生まれた「もっと農の価値を人々に知ってもらいたい」という思いが、開園のきっかけだそうです。

「日本の農の価値とは、農作物を生命あるものとして慈しむ心、自然とのふれあいや文化の伝承、地域や人々との関わり、環境、生態系などを考えることです。それらを広く伝えるために、まずは消費者に農作物の生産現場を見てもらい、その場で食べてもらおうと考えました。『杉・五兵衛』は、自ら食べ物の種を蒔き、耕し、育て、食すという『農』の本来の姿を五感で体感できる場所なのです」と、元田さんは話します。

動物がいて 人がいて 野菜がある

「農」の本来の姿を追求するため、「杉・五兵衛」では、農薬や化学肥料などを使わない、健康と環境にやさしい農法「有機循環農法」を実践しています。有機循環農法とは、農地に自然の生態系を作り、自然の摂理に沿った形で行う農法のことです。

農園にはロバやヤギ、ウサギ、ヒツジなどの動物がいて、動物たちの糞を堆肥にして作物を育てて収穫します。レストランの調理で出た野菜のヘタなどの残渣や畑の雑草は、動物たちの餌とし、新たな畑作りへとつないでいきます。

ヤギやウサギなどを畑に連れていき、雑草などを食べさせて草掃除をしてもらい、糞はそのまま堆肥として利用する、といった工夫もしています。こうして育てた作物は味わい深くしっかりとした野菜の味が感じられるそうです。

「杉・五兵衛の『有機循環農法』は、農園の動物とスタッフに自然の力が加わり、そこにお客さまが食事に来てくださって成り立っているんです」 。

環境への配慮から、食器洗浄やトイレ洗浄にも重曹電解水や微生物活性液を使用するなど、化学薬品ゼロへの挑戦も行っています。

代官屋敷と酒蔵を移築したレストラン

有機循環農法で育てた野菜や果物は、園内にあるレストランで提供しています。代官屋敷や酒蔵を移築したという趣のある建物は、素朴で温かな雰囲気が漂っています。

メニューは、野菜が主役の会席料理、野菜と牛肉のほうらく焼きなど。いずれも素材そのものが味わえるようシンプルな味つけが特徴です。

「はじめに献立ありきではなく、採れた作物をみて献立を考えます。秋ならサツマイモやサトイモが旬です。お月見の季節であることを意識して、サツマイモを満月に見立てたり、サトイモの蒸し物をお月見団子のようにしてお出ししています。デザートにブドウの葉を添えるなど、見た目にも楽しめるように工夫しています」 。

特に専門の調理人がいるわけでなく、農園のスタッフが交代で調理しているそうです。

「料理は4,000円から8,000円と、少し高いと感じられるかもしれませんが、入園料も含めての値段だとお考えください。食事の前後は、広い農園を散策したり動物と遊んだり、イチゴ狩りやイモ掘り体験などのイベントに参加するなど、丸一日たっぷりとお楽しみいただけます」 。

「農家レストランの草分けとして40年以上、独自のスタイルを切り拓いてきました。今後もいろいろな分野に挑みながら、本来の『農』のあり方を追求していきたいと思っています」 。

訪れる人から「初めて来たのになぜか懐かしい」と言われるという「杉・五兵衛」。私たち日本人のどこかに、「農」が暮らしとともにあった時代の記憶が残っているからなのかもしれません。

杉・五兵衛
http://sugigohei.com/

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