比較に使用したバター
今回比較に用意したバターは以下の通りです。
1. 白バラ乳業 大山バター(有塩) 一般的な有塩バターです。
2. よつ葉乳業 パンにおいしい発酵バター(有塩) 原料のクリームを乳酸発酵させてから作るバターです。
3. 明治 チューブでバター1/3(有塩)バターと植物性油脂をブレンドした混合タイプです。
4. 生クリームバター(無塩) いわゆる家庭で作る手作りバターです。今回は大山乳業の生クリームを使用して作りました。
※生クリームをポリ袋に入れて攪拌し、分離した後バターミルクを切って作成。200mlから130g程度作れました。
1.は一般的なバター、2.は発酵させたクリームから作るため、ほのかに酸味とコクがあります。3.については使い勝手がよく、使用されている方が多いと思われるマーガリンに近い物として味わいの差の比較のために選びました。4.は塩分が添加されていない無塩バターと、自宅で作れるバターを使った感じの比較のために用意しました。
比較に使用したパン
パンについてもいわゆる「角食」以外の食パンではバターの相性が異なる可能性を考え、入手しやすいと思われる4種類を選びました。
1. パスコ 超熟 一般的な角食
2. パスコ 超熟山型 山型食パン
3. パスコ 北海道産小麦のバゲット(※西日本限定) いわゆるフランスパン
4. ヤマザキ ロイヤルバターロール バターロールの例として
1.は「角食」と言われる一般的な食パン、2.は山型食パンとして選びました。山型の方は「イギリス食パン」という名称の事もあり、一般的には角食より砂糖や油脂を控えたレシピが多いようです。3.は一般的なフランスパンの例として、4.のバターロールはそのままでも食べられる甘みが強めのパンと合わせた時の比較のために選びました。
比較の方法は、それぞれのパンをスライスし、生、トースト、焼く前にバターを塗った物という3つの条件で食べ比べました。
※記事中の写真は都合上、全て大山バターを塗ったパンのみを掲載しています。
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比較調理その1 生のままバターを塗って食べる
サンドイッチにする場合などは生のままバターを塗ったりしますが、普段は生のままバターを塗る機会はあまりないかもしれません。食べ比べてみると意外な事がわかりました。
食感
意外にも、薄めに切ったフランスパンが目の粗さが歯切れの良さに代わり、口の中でバターと混じりやすいと感じました。また、生地に砂糖が入っていないため、小麦の甘さとバターの塩気のバランスも良い感じでした。やわらかいバターロールは別として、フランスパン→山型→角食という風に、生地の気泡が密になるにつれて口どけが重くなって行きました。ロールパンはおいしく食べられました。
バターの味わい
普通のバターと発酵バターは、なんとなくの味わいの違いはありましたが、決定的な違いはそれほど感じませんでした。マーガリンと混じったチューブバターは、普通のバターと違ってやわらかい上、生のパンとマーガリンという組み合わせは菓子パンで良くあるので、違和感なく食べられます。塗りやすさと口どけは一番良かったです。
手作りバターは生クリームに近いのと塩を入れていないので、甘みのないクリームを食べている感覚でしつこくなくておいしいのですが、ジャムか味のはっきりしたフルーツを合わせたい味で、少し物足りなく感じました。
比較調理その2 トーストにバターを塗って食べる
一般的にパンとバターの組み合わせは、一番よく食べるスタイルではないかと思います。パンの厚みでも若干味わいに違いが出てくるかもしれません。
食感
これはフランスパンの厚さと焼き加減でかなり味わいに差が出てきました。写真のトーストは薄切りなので、焼き色が付くとカリカリになってしまうのですが、筒切りにしたフランスパンを縦に割って焼いた物だと皮はカリッとしているけれど、白い部分はふわっとしていてバターをしっかり吸います。チューブバターは、香りの点でも味わいでもマーガリンと近い味わいになりましたが普通においしく食べられます。
角食や山型も関東は薄切り、関西は厚切りが好まれる傾向があります。バターをしっかり含ませるという意味では生地の水分量が多くなる厚切りの方が、噛む時にバターがじわっと染みるのがわかり、おいしく感じられました。薄切りの物(8枚切りの山型)と5枚切りの角食を食べ比べると、薄切りの方はバターを多めに塗ってもカリッと感が勝る印象でした。
バターロールは焦げやすいので注意が必要ですが、横から二つに切って焼いたパンにバターを塗ると、カリッと感もあっておやつにも良さそうな味でした。
バターの味わい
熱で溶けて香りが立つので、普通のバターと発酵バターの違いが生の時よりはっきり感じられました。よつ葉の物はかすかな酸味が爽やかな印象ですが、以前製菓用に購入した明治の発酵バターの残りをトーストに使った時は、よつ葉より酸味が強めでチーズのようなコクがあったように思いました。製菓用として販売されていたものでしたので、焼き菓子に練り込んで高温で焼成するため、熱で香りが飛ぶ前提で作られているのかもしれません。よつ葉のものはマイルドな味わいですので、バターより深い味わいが欲しい時に良いのではないかと思います。
手作りバターは生クリームの風味が強く、熱いパンに塗るとスッと溶け込みます。今回は塩分も入れていないので、味わいも淡白でした。ただ、熟成した乳製品独特の濃厚さがなくあっさりしているので、生クリームの風味が好きな方は塩気のはっきりしたパンと合わせるとおいしく食べられると思います。今回のパンの中では山型と角食との相性が良いと思いました。
比較調理その3 バターを塗ってから焼いた
バターとパンの味わいが一番良く出たのがこの食べ方でした。どのパンも一番おいしく食べられましたが、バターの種類によってはあまり合わない物もありました。
パンの味わい
表面のカリッと感はないものの、バターがトーストに塗るよりもしっかり加熱されている事もあって、口どけも香りも抜群でした。バターロールは薄切りにして焼くとラスク風のおやつになりました。
バターとの相性
この食べ方は普通のバターと発酵バターはとてもおいしく食べられましたが、チューブバターはマーガリンを加熱した時に出やすいクセが若干感じられ、マーガリンが苦手な人だと後口があまり良くないかもしれません。手作りバターは水分が多いため、溶けて染み込んだ量のわりに味があっさりめで物足りない印象でした。
おすすめはバターか発酵バターを塗ってから焼く食べ方
食べ比べた結果、パンとバターの組み合わせが一番おいしいのは、バターを塗ってからトーストする方法でした。カリッと感が重要と感じられる方はこの限りではないかもしれませんが、一度試していただきたい方法です。バターも発酵バターも冷蔵庫から出したてだと固く、生のパンに塗りにくいため、塗る分だけレンジの弱ワットなどで加熱する手間が必要となりますが、時間がある時になどに是非お試しください。
手作りバターは塩を加えていないため、あっさりしすぎてしまったのですが、塩気の強いパンに合わせたり、塗ってから塩を振って塩分を足したりする方法もありますし、ジャムやフルーツとの相性は良いので、生クリームが余った時などに試してみてください。とても優しい味わいが楽しめます。
この機会に、お好みのパンとバターの組み合わせを探してみてはいかがでしょうか。
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