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物流コストを大幅カット 消費者にもうれしい新物流革命「やさいバス」

物流コストを大幅カット 消費者にもうれしい新物流革命「やさいバス」

2017年10月26日

農業コンサルタント業「エムスクエア・ラボ」が中心となって取り組む新物流システムが、「やさいバス」です。集出荷の拠点をバス停に見立て「やさいバス」と名付けた冷蔵トラックが、静岡県中西部を巡回する仕組みです。野菜の売り手と買い手をダイレクトにつなげる試みとして、また宅配業者の人手不足が問題となるなかで、物流の効率化やコスト削減が可能だと注目されています。

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配送料値上げへの対抗手段を模索

「やさいバス」とは簡単に言えば、野菜の売り手がバス停で野菜を出荷し、買い手が野菜をバス停まで取りに行く共同配送システムです。

静岡県内でこのシステムを考案し、中心となって構築を進めているのは、農業コンサルタント会社「エムスクエア・ラボ」の代表取締役社長、加藤百合子(かとうゆりこ)さんです。

「こだわって作られた野菜の流通は小口が多いので、宅配業者を利用するのが一般的です。しかし、昨今ジリジリと配送料が上がり、極端に言えば1,000円の野菜を送るのに、1,000円のコストがかかるまでに上がってきています。そのため、せっかくいい野菜を作っても売れない、いい野菜を使いたくても買えない、という状況が生まれてしまっていました」。

こうした状況を打開する何かいい方法はないかと模索するうちに気づいたのは、「結局、どの配送車も同じようなところを回っている」ということ。「そうか、共同で運べばいいのだ」。その発想から生まれたのが、やさいバスという共同配送システムだったのです。

売り手と買い手の双方にメリット

市場や商業施設、JA、新聞店などを「バス停」に設定し、集配トラックを巡回運行させることで、生産者と消費者は最寄りの「バス停」で、採れたてで新鮮な野菜の出荷や受取が可能となります。売り手から買い手までドアtoドアで結ぶわけではありませんが、宅配便業者を利用するのに比べて配送料は半額以下となります。

「流通、物流コストの低減はもとより、高齢化が進む農家にとっては、出荷梱包作業の省力化につながり消費者にとっては、朝出荷したばかりの新鮮野菜をその日に手に入れることができ双方にメリットの多いシステムだと思っています」。

やさいバスの構想段階から協議会メンバーとして参加している、にしはらグループは、静岡県東部を中心に外食産業を展開する企業で、静岡県西部の生産者からネギやパクチーを集荷するのにやさいバスを利用しています。やさいバスのおかげで店で使える野菜が増え、地域の野菜を使ったメニューはお客様にも好評とのことです。

「こうした喜びの声が直に入ってくることがとても嬉しいですね」と加藤さんは手ごたえを感じているそうです。

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2017年からスタート!毎日2ルートを運行

実験的に運行を開始したのが2017年1月。現在、十数カ所のバス停を2台の冷蔵車が日曜日を除く毎日、静岡市清水区から菊川市、菊川市から浜松市西区の2ルートを、1日1便、時刻表に合わせて巡回しています。このシステムを形にするまでには、約3年の月日を有しました。

「まず、本当に世の中に必要とされているのかを徹底的にリサーチ。生産者、レストランなど、それぞれにアンケート調査も行いました。また、宅配便業者との価格競争に勝つのに必要な間接コスト削減のため、コンピュータシステムの開発等にも時間をかけました」。それだけの準備をし、満を期してスタートした「やさいバス」ですが、利用者を募るための営業は難航したそうです。

「物流のコストがどれくらいかかっているか、意識が薄い買い手が多いのです。一般的に野菜の値段のうち5割程度が物流コストなのですが、それを認識している方が少ないのです。共同配送システムに参加することで、大幅にコストカットができることを理解していただくまでには、時間がかかりました」。

初期のユーザーからの声や、地元の新聞に掲載されたことで徐々に認知が進み、今では売り手は65軒、買い手は60軒にまで利用者が増えています。

年10億円分の野菜を運ぶことが目標

現在の利用者数は、作り手と買い手を合わせて約100軒。数を増やしていくのはもちろん、今後は静岡県内だけではなく全国にやさいバスを広げていくことが目標です。

「まだ数字を語れるほどの結果は出ていませんが、いずれ年10億円分くらいの野菜を運ぶ事業に発展させていけたらと思っています」。

2017年の夏には、不動産会社と提携し、マンションの住民に野菜を直販するサービスも始めました。静岡から端を発した小さな新物流革命が、全国規模の革命に発展する日はそう遠くないかもしれません。

やさいバス
https://ja-jp.facebook.com/vegbus00/

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