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冬に食べたいチーズ「ラクレット」の魅力

冬に食べたいチーズ「ラクレット」の魅力

ラクレットは「削る」、「引っかく」という意味をもったフランス語、ラクレ(racler)から名付けられました。ラクレットは通年出回っているチーズですが、現地では伝統的に秋から春にかけてアルプスの長い冬の時期に食べる保存食でした。牛乳が原料でセミハードタイプに分類され、主にスイス産とフランス産があります。

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ラクレットは「削る」、「引っかく」という意味をもったフランス語、ラクレ(racler)から名付けられました。チーズの名前がそのまま料理の名前にもなっており、暖炉にかざして溶かした部分を削り取り、ジャガイモにからませて食べる伝統的な食べ方が知られています。円盤状の大きなチーズを半分に切って暖炉で温めるスタイルは、豪快ながらも贅沢な一品料理です。

現在は、ラクレットオーブンやラクレットグリルという専用の加熱器具にスライスしたラクレットを入れて溶かしたり、テフロン加工されたフライパンで焼いたりすることもあります。

ラクレットグリルなどの専用機器は、電熱やキャンドルを使用してラクレットを溶かすことができるので、手軽に楽しめるようになりました。そのため、冬の常備食だったラクレットは、冬のパーティー料理などでよく見かけるポピュラーなものになってきました。

ラクレットとは

ラクレットは通年出回っているチーズですが、現地では伝統的に秋から春にかけてアルプスの長い冬の時期に食べる保存食でした。

牛乳が原料でセミハードタイプに分類され、主にスイス産とフランス産があります。スイス産は円盤状の直径約30cm、高さ約7cm、重さが約4.8kgから7.5kgのチーズで、薄茶色の湿った表皮を持ちます。

中身は淡黄色から薄茶色で、小さな気孔が散在しています。

一方のフランス産は直径が約26 cmから36cm、高さ約5.5 cmから7.5cm、重さ約4.5 kgから7kgで、表皮の色や特徴はスイス産のものとあまり変わりませんが、中身が白から明るい茶色です。

熟成期間がそれぞれ異なり、スイス産は3ヶ月以上であるのに対し、フランス産は8週間以上となっています。マイルドでナッツのような風味とコクがあり、加熱によって風味と味わいが増すチーズです。

フランス産の熟成の方が短いため、味わいが優しいといわれており、クセのないチーズがお好みの場合はフランス産を選ぶとよいかもしれません。

ラクレットの製造法

ラクレットは非加熱圧搾という、水分を取り除く際に40℃以上で加熱しないタイプ。製造は原料のミルクを温め、乳酸菌とレンネットという凝乳酵素を加えることから始まります。

レンネットを加えると乳タンパクが固まり、その固まったものを凝乳と呼びます。この凝乳からホエイと呼ばれる乳清を除去したものをカードと呼び、このカードを一度細かくカットしてから混ぜて、水分を取り除きます。このカード中に水分を多めに残し、乳糖を抜くレラクトザージュと呼ばれるカードウォッシングをするのが製法上の特徴です。

水分が抜けた後は、型に詰めてエモルタージュ(表皮を塩水に浸した布で拭く製法)しながら熟成させます。

ラクレットの香りについて

ラクレットは表面を塩水に浸した布巾で拭きながら熟成させるため、ウォッシュタイプのような独特の強い香りがあります。人によって感じ方に差があるものの、ラクレット見た目からは想像できない香りとして敬遠されることもあります。

しかし、この香りは加熱することでだいぶ和らぐといわれているため、敬遠するのは少々もったいないことです。表皮の香りが苦手な場合は、表皮を削ったものを加熱すると、さらに香りが和らぎますのでぜひお試しください。

日本産のラクレットもあり、独特の香りを抑えた日本人の好みに合うチーズになっているといわれているので、独特な香りが苦手な方でも食べやすい味わいになっています。各国のラクレットを食べ比べてみるのも贅沢ですね。

チーズ専門店で購入した際にスライスしてもらうことが可能であれば、簡単に溶かして利用できます。利用しやすいように少量ずつパック詰めにしてあるものや、初めからスライスしてパック詰めしてあるものも販売されています。

ラクレットの規定について

スイスは、独自の原産地統制呼称制度(A.O.P)を設けています。スイスのヴァレー州で規定どおりに作られたラクレットである「ラクレット・デュ・ヴァレー」はスイスA.O.Pチーズのひとつです。

認定外のものはスイス各地やフランスでも作られています。フランスでは特にサヴォア地方、フランシュ=コンテ地方のものが有名です。

ラクレットの保存方法

ラクレットは乾燥させないようにラップなどで包んだあとに密閉し、冷暗所で保存します。ナチュラルチーズの中では保存性が高く、それほど神経質になることはありません。

しかし、多くの菌が生きている状態のため、日々熟成が進みます。賞味期限に関わらず、自分の好みの熟成状態を見極めてみてください。

ラクレットと相性の良い食べ物

加熱して溶かしたラクレットと相性が良い食べ物は、伝統料理でもよく利用されているジャガイモ、フランスパン、ソーセージやドライハム、エビなどが挙げられます。日本でチーズフォンデュを食べる際に一緒に出てくる食材は、相性がよいでしょう。

茹でた野菜であればブロッコリーなどが代表的で、キュウリやタマネギのピクルスとも相性が良いといわれています。

香りが苦手な場合は、黒胡椒やハーブなどをかけると食べやすくなります。そのままで食べることも可能なため、そのままの場合はブドウやドライフルーツと合わせると、よりおいしさが引き立ちます。

ワインは、辛口の白ワインや軽めの赤ワインがよく合います。

チーズフォンデュとラクレットの違い

溶かしたチーズと食材の絡み具合が魅力の料理である、チーズフォンデュとラクレット。どちらもスイスの郷土料理ですが、この違いは一体どこにあるのでしょうか。

チーズフォンデュは、一般的にチーズを白ワインでのばして溶かしたものに食材をからめる料理です。使用するチーズは数種類ブレンドされており、それによって味に奥行きやコクが生まれます。

チーズの旨味のほか、白ワインの風味も楽しむことができます。主にグリュイエールやエメンタール、ゴーダチーズなどがブレンドされています。

一方のラクレットは、使用するチーズがラクレットチーズ一種類のみです。ラクレットチーズのみを溶かして食材にからめるというシンプルな料理ですが、チーズの旨味がダイレクトに伝わる料理です。

アルコールが苦手な方は、チーズフォンデュよりラクレットを選ぶとよいかもしれません。

独特の香りはありますが、その濃厚な味わいがクセになるおいしさといわれるラクレット。ぜひ一度ラクレットを味わってみてくださいね。

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