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商品化も次々に実現!「東京野菜」の仕組みと農家のメリット

商品化も次々に実現!「東京野菜」の仕組みと農家のメリット

「都産都消」をコンセプトに朝採れの新鮮な野菜を直送する、東京都の地域ブランド「東京野菜」。青果の仲卸会社である株式会社大治(だいはる)が集荷し、都内のスーパーや飲食店に配送しています。「都内の農家さんで、コンセプト等がお互いに合致すれば、どなたでも参加できます」と、大治の社員であり一般社団法人東京野菜普及会の理事である堀将人(ほりまさと)さん。「東京野菜」の詳しい仕組みについてお聞きしました。

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市場減少を背景に農家の新しい出荷先に

東京都の各地には、ダイコンやエダマメ、イチゴなど多様な作物を栽培する農家が点在しています。しかしながら、地方と同様に、少子化による跡継ぎ問題は深刻です。

その結果、都内各地の市場閉鎖や統合が相次ぎ、出荷先の市場を変えなければならない農家も出てきました。

「過去に、三鷹市の市場が国立市の市場に併合されました。三鷹近辺の農家さんは、出荷のため国立まで行かなければならなくなりました。国立までは距離があり、往復する時間もかかります。その分、作業時間は削られコストもかかります」。

出荷にかかる負担を軽くしたいと、新しい販路を求めて「東京野菜」への参加を決めた農家もいるそうです。

「東京野菜は、大治の担当者がルートに沿って集荷に回るので出荷に出向く負担がなくなり、その分、農作業にかける時間を増やすことができるので出荷コストも削減できます」。

スーパーと直に取引する仲卸業者が「売れる野菜」をアドバイス

大治では「東京野菜」に参加している農家に対して、栽培品目などのアドバイスも行っています。

ある農家から、「夏に、エダマメとトウモロコシのどちらを栽培したらいいか」と相談を受けたことがあるそうです。

「エダマメをおすすめしました。トウモロコシは1つのタネから1本しか収穫できませんので、少しでも品質不良があれば、その1本には価格がつかなくなってしまいます。しかも鮮度管理が難しく、粒が少しでも潰れてしまえば商品価値がなくなるのです」。

畑の規模や市場のニーズを鑑み、リスクも加味した上で、農家に合ったアドバイスをしているそうです。

「東京野菜」は、価格面の調整もしています。仲卸業は、市場の変動価格に合わせて野菜に値段をつけて小売店に販売していますが、東京野菜はコスト計算をした上で、農家自身に卸価格を決めてもらいます。そのため、ある程度安定した収入が農家に入るようになっています。

6次産業プロジェクト「Tokyo×Tokyo(トーキョー×トーキョー)」も開始

「東京野菜」は、6次産業の分野への参入も始めています。プロジェクトの名前は「Tokyo×Tokyo」。東京で採れたものを東京で加工し、販売する取り組みです。

プロジェクトは、2016年に始動しています。練馬区のイチゴを使用した「東京いちごバウム」や、練馬区の野菜を使用した「東京野菜カレー バターチキンカレー風」、八丈島のセロリ、清瀬市のミニトマトなどを漬物にした「東京野菜の漬物」など、素材の旨味をいかした製品が続々と開発されています。

きっかけとなったのは、市場に卸せない、傷があったり形が悪かったりするB級品の野菜の活用方法として、2006年に開発された「練馬野菜カレー」でした。

「当時、農家さんはB級品の扱いに非常に困っていました。そんな折、偶然、栃木県宇都宮市のレトルトカレーの業者さんと知り合い、B級品の野菜を使ってレトルトカレーを作ることになったのです」。

こうして、トマト、ジャガイモ、タマネギ、ダイコンなど8種類の練馬野菜を使用した中辛口のカレーが誕生し、現在も販売されロングセラー商品になっています。

その後、「東京で採れたものを東京で加工する」というコンセプトを明確化して誕生したのが「Tokyo×Tokyo」なのです。

「東京野菜」は、東京都だからこそできる取り組みといえるのではないでしょうか。他の地方においても、地産地消の取り組みで参考になるアイデアがちりばめられています。これをヒントに、新しい地産地消のかたちを、考えてみませんか。

株式会社 大治

住所:東京都大田区東海3-2-6 東京都中央卸売市場 大田市場内

https://yasai.tokyo.jp/

画像提供:株式会社 大治

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