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八百屋が農家になる ゆとりのある生産体制へ「農業の新しい仕組み」

八百屋が農家になる ゆとりのある生産体制へ「農業の新しい仕組み」

2017年11月13日

株式会社アグリコネクトの代表を務める伊東悠介(いとうゆうすけ)さんは、東京都新宿区神楽坂で八百屋「神楽坂野菜計画」を経営する傍ら、東京郊外に畑を借りて自社で野菜を育てる計画を進めています。その理由は、青果の販売だけではなく、日本の農業の新しい仕組み作りをしたいからだといいます。いったいどのようなプロジェクトなのでしょうか。伊東さんが考える日本の農業の問題点、解決策についてうかがいました。

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八百屋が野菜を作り配送して販売する

伊東さん(左)と生産部門を統括する小島信之(こじまのぶゆき)さん

「神楽坂野菜計画」は、鮮度とおいしさにこだわった全国各地の野菜を扱う青果店です。個人経営の小さな店舗が、東京郊外に自社直営の畑を持つ準備中だそうです。「野菜作りだけではなく、農業の仕組み全体を変えたい」という伊東さんの熱い思いがあります。「日本政策金融公庫からの農業資金の借り入れと並行して、本格的に野菜作りの準備を進めている段階です」と話す伊東さん。早ければ2017年12月から畑を耕しはじめる予定だそうです。「自家製の野菜を地域の直売所に持参して販売したり、都心のスーパーに産直野菜が置いてあることはよくある光景だと思うんです。僕らはさらに一歩踏み込んで自分たちで野菜を作って、配送、販売までやりたいと考えています」。

生産、配送、販売を自社で一貫して行うことで、格段に鮮度がよくなり、生産から販売に至るまでのマージンを減らすことで、農業の収入を一層安定させることを狙っているそうです。

朝採れ野菜を当日中に都内へ配送

畑を東京都内に構えるということも大きなポイントだそうです。23区内へ、早ければ1時間以内に野菜を運べるといいます。「明け方に収穫した野菜を、午前中には店先に並べることができます。見た目の鮮度が全然違いますから、お客さんにもダイレクトに素材の良さが伝わるはずです」。

一緒に畑を耕すパートナーの小島さんが、仲間の農家さんに声をかけ、運営メンバーも着々と増えています。立ち上げ時は「お肉やオイルドレッシングにも負けない強い味わいの葉物野菜を作りたい」と、サラダハーブやケール、カラシナなどの葉物野菜を中心に育て、通年出荷を目指しています。

「畑の世話は、比較的余裕を持った人数を見込んで小島さんをはじめ、5人程が担当する予定です。万が一、誰かが体調不良などになってもきちんと生産、出荷できる環境を用意したかったんです」。

農業はきつい、儲からない、というマイナスのイメージを払拭するために土台となる体制作りも怠りません。

【関連記事はこちら!】新鮮な野菜を通じて農業を応援【八百屋ファイル:神楽坂野菜計画】

農業全体が大きく変わる中で新しい価値が必要

 「農業を事業として行っている人はまだ少ないと思います」と話す伊東さんは、大きな利益が出にくい農業というビジネスそのものを変えていきたいといいます。

今の農業の仕組みをかえりみると、生産の現場は、日々野菜を育てて出荷することに追われがちというのが伊東さんの考える問題点の一つです。その問題を解消するために、消費者のニーズに合った野菜を、近隣の農家とも技術や情報を共有しながら、ゆとりを持って生産に取り組めるようにしたいそうです。

伊東さんは八百屋で扱う野菜を求め全国の農家にも数多く足を運びます。写真は四万十川沿いの農場

「八百屋が農業に参入することで、自社生産、自社配送、自社販売ができるだけではなく、もっとさまざまな可能性が広がるはず」と伊東さんはいいます。

自社生産で培った技術や知識を他の農家に共有することで、それまで個々で生産していた農家に、横のつながりが生まれます。互いに協力しながら時期をずらして生産すれば、年間を通して共通出荷、流通の仕組みが生まれます。自社配送の中に近隣農家の青果も一緒に運べば、配送コストを下げることもできます。さらに、青果を毎日配送することによって、生産と販売両方の現場からのニーズや情報を常に得ることができ、現行の仕組みを改善しやすくなります。

「情報を独占するのではなく、どんどんオープンにして、誰もが活用できる汎用性の高い仕組みを作りたいと思っています」。

八百屋から畑へ 大きなステップを踏み出した

学生時代に起業を志したという伊東さんが、農業を選んだ理由は何だったのでしょうか。

「世界を見ると、TPP問題や新興国の食料需要の増加があり、一方国内では、生産者の高齢化や法制度の緩和など様々な問題を抱えていています。農業全体を取り巻く環境が、国内外ともに大きく変化しつつあるとずっと感じていました。農業全体を変えることは、とても規模の大きな話ですが、微力でも自分が力になれることがあるのではないかと思い、農業の世界での起業を考えるようになりました。自分自身、根本的に食べることが好きですし、一次産業に対する憧れのようなものが自分の中にあったことも理由の一つかもしれません」。

北海道美瑛町の農家百姓やさんの黒丸大根

「本当はもっとスピードを出してこのプロジェクトを進めたい」と苦笑する伊東さんですが、店舗の運営から新規取引先の開拓、受発注に経理業務、人事業務と、すべてを自身で行う情熱とパワーは並大抵ではありません。

伊東さんの農業改革の第一歩が「八百屋経営」なら、今回の「畑の運営」は第二歩目となりそうです。一歩ずつ確実に大きな歩みを続ける伊東さんの今後が楽しみです。

神楽坂野菜計画

http://yasaikeikaku.com/

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