旬を詰めこんだびっくり箱『ぱれっと』
―貴社は12,000品を超える商品を取り扱っていると伺いましたが、その中で特に人気の高い商品を教えてください。
(竹内)『ぱれっと』という、野菜・果物の詰め合わせセットです。四季折々、その時々に食べごろを迎える季節感あふれる野菜や果物を、毎週、セットにしてお届けしています。「カラフルな絵の具で美しい絵を描くように、色とりどりの野菜で豊かな食卓・生活を描いてほしい」という思いを込めて『ぱれっと』と名づけました。
―『ぱれっと』の特徴をお聞かせください。
最大の特徴は「手元に届くまで、セットの中に何が入っているのか分からないこと」です。野菜は、作り始めてからお客様に届くまでに時間がかかります。収穫時期を予測して種を蒔きますが、天候次第で収穫時期が変わってしまうので、個々のお客様が「今晩何を食べたいか」を予測してピタリとあわせて作るのは、至難の業です。
『ぱれっと』は、発想を逆転して「その時期の旬のもの、おいしいもの、自信を持って届けられるものを、畑を知る生産者と一緒に私たちが詰め合わせて提案すること」ができれば、結果的に、お客様の食卓を充実させることができると考えて生まれた商品です。レストランで、「シェフおまかせ」のメニューがあって、腕利きのシェフだとわかっていたら、頼んでみたくなりますよね。
―「何が入っているのかわからない」というのは、他では考えられない商品ですね。
そうですよね。でも、そんな商品が、30年間最も支持され続けていて、いまも青果物の売上の7割以上を占めています。「選べない」ということは、不便なことかも知れませんが、季節の様々な野菜を偏りなく食べることは、間違いなく健康な体づくりにつながりますし、普段は買わない野菜と出会うことで、自然と献立の引き出しも増えていきます。
また、スーパーの店頭には並ばないような変わり種もセットに加えているので、見たことのない野菜との新たな出会いは、純粋に面白いですよ。例えば、真っ白ななすが届いたら、会社や学校で話のネタになり、世界を少しだけ広げてくれると思います。
―お客様の反応はいかがですか。
苦手な野菜が届いたときは、戸惑われることもあると思います。一方で、それがきっかけでお客様の野菜に対するうれしい反応をいただくことがあります。
「セロリが苦手」という声はよく耳にしますが、真冬に甘みの強い抜群のセロリを作る農家さんが愛知県にいて、昨年、その方のセロリに、お勧めの食べ方レシピや特徴を書いた紙を添えてお届けしたところ「初めてセロリをおいしいと思った」「印象が変わった」などといった、好意的なご意見をたくさんいただきました。
苦手な野菜を好きになっていただくというのは、『ぱれっと』を企画してお届けさせていただく私たちにとって、何よりの喜びです。
―『ぱれっと』を届ける中で、大切にするのはどのような点ですか。
私たちがお届けする『ぱれっと』が創業以来、約30年にわたってご支持いただいているのは、お客様とらでぃっしゅぼーや、農家の信頼関係によるものだと思います。
『ぱれっと』は、現在15コースのラインナップがありますが、お届けする全ての野菜の生産者名や、農薬の使用状況を明らかにしています。うそをつかず、包み隠さず公開するのが基本のスタンスです。全ての野菜が無農薬で生産できるわけではありません。必要な場合は農薬を使います。どんな農薬を何回使ったかを正直に伝えること、生育状況について説明させていただくことで、安心と安全をお約束させていただいています。
お客様、農家、そして私たち、その三者の信頼関係を私たちは最も大切にしています。
お客様の納得から生まれる「かけがえのない信頼」
―竹内さんが携わってきた「発注部門」はどのような業務ですか。
『ぱれっと』の中身の組み合わせを決めていく部門です。毎週、10品、7品などのセットごとに野菜と果物を組み合わせ、契約農家のみなさんに出荷をお願いする仕事です。『ぱれっと』の中身は、お客様かららでぃっしゅぼーやへお任せいただいているセットなので、何を入れても良いのですが、お客様にとって「いかに使いやすい組み合わせにできるか」「満足いただける内容にできるか」が生命線です。
農産物は天候に左右されるため、収穫直前の雨や冷え込みで、発注していたものが欠品となることは日常茶飯事です。更には雨が降って気温が上がると、一挙に収穫量が増えることもあり、常に天気予報とにらめっこ。季節によっては、台風や大雪にも悩まされます。天候という大きな変動要素と向き合いながら、種類、量、品質、味、組み合わせの最適解を模索し、ベストミックスの『ぱれっと』を作るのが「発注担当者」の役割です。組み合わせに正解が無いことが、一番やりがいを感じる点です。「発注担当者」の腕の見せどころと言えるかもしれません。
―農産物を届ける際に気を配られているポイントはどのような点ですか。
味や品質には自信を持っていても、農薬を控えているので見た目が良くない商品をお届けすることもあります。例えば、みかんは虫や病気の害を受けやすく、表皮がどうしても汚くなってしまうことがあります。スーパーではなかなか見かけないそういった商品は、必ず説明をつけてお届けするようにしています。どれだけお客様に信頼をいただいていても、説明は必要です。お届けした商品について、説明のできる距離感が、会員制宅配サービスの特長の一つだと思います。
先日の台風で、長ねぎが軒並み折られてしまった産地がありました。でも、軽微なものは食べられるし、春から何度も土を寄せて育てたねぎが、まったく出荷できず食べてもらえなくなることは、生産者にとって何よりも辛いことです。今はこのねぎを、お客様に状況をお伝えしながらお届けしていますが、皆様に受け入れていただいています。もちろん、その説明が一方的な押し付けになってはいけません。「どこまでなら納得して食べていただけるか」の線引きは慎重に検討しています。丁寧にお伝えして、ご納得いただいてこそ、お客様からの信用をいただけると考えるからです。
農家と一緒に「らでぃっしゅぼーやならでは」を作る
―竹内さんの携わる「農産物の仕入」についても教えて下さい。
「仕入」は「発注」の前段階の業務です。作物に適した時期に、必要な数を供給していただくために、春と秋の年2回、契約農家さんに作付計画を作っていただきます。それを元に、半年先の未来図を描くことが「仕入」の役割です。その後、お客様からお預かりしたアンケートを元に、ニーズを探り、商品ラインナップを組み立てます。
―農家のみなさんと直接触れ合う立場ですね。
はい。私たちは、それぞれ担当産地と担当品目を持ち、週に2回ほど各地の畑を訪問します。私の場合は、関東エリアと果菜類が中心です。農家のみなさんと何を作るか相談したり、品質向上のための情報を提供したり、一緒になってより良い農産物の生産を目指しています。
―生産現場に足を運ぶことが『ぱれっと』にどのように反映されていますか。
担当者それぞれが、各地の生育状況を自分の目で確認することを重視しています。畑の状況を正確に把握することは、『ぱれっと』の特長である毎週同じ価格・バラエティ豊かな組み合わせのために必要だからです。
また、農家さんの「個性」も大切にしています。例えば、ほうれん草を同じ時期に作ったとしても、出来上がったものには作り手とその土地の個性が現れます。個性を活かすことは多様性につながり、より安全・安心で「おいしい」農産物を追求する糸口になります。農家の方それぞれのスタイルと、考え方を尊重した提案を行っています。
農業の奥深さを探求する『らでぃっしゅぼーや』のこれから
―入社16年目の竹内さん。お客様のニーズの変化はどのように感じますか。
今は手のかかるものは好まれない時代になってきたなと感じてきています。例えば、以前は、泥付きの野菜も好まれていたのですが、時短のために洗う時間を省きたいという意見や、シンクを汚したくないといった要望が多いという印象を持ちます。
一方で、インターネットの普及によって、農産物そのものの特徴や性質などの理解が進んでいるとも思います。農作物のできる過程に興味を持つ方、環境意識が強い方などが多くなってきており、食物に対する関心の高まりを感じられることは、私たち『らでぃっしゅぼーや』の願いでもあります。農薬は必要最小限にとどめ、持続可能な農業生産を目指す考え方や、農業や農産物のもつ価値・面白さなど、私たちが発信してきたメッセージを受け入れて頂きやすい環境になったことで、役割と責任が増したと自覚しています。
【取材を終えて】
環境保全型農業を推進する『らでぃっしゅぼーや』は、環境負荷の少ない最善の方法で育まれた食材で、安心・安全を最優先として商品提供を行っています。竹内さんをはじめとする同社と農家とのつながりが、これを実現させています。同社はお客様と農家の「架け橋」となるため、日々農家の方々と一緒に様々な栽培方法を研究し、技術を研鑽しています。
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