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生産者と消費者を直接つなぐ オーナー制度「OWNERS」

生産者と消費者を直接つなぐ オーナー制度「OWNERS」

最終更新日:2018年09月11日

こだわって作られる農産物等に対して数ヶ月前から予約注文を入れ、後から商品を受け取る「オーナー制度」。株式会社ukka(ウッカ)では、農業を中心とした全国の生産者が、オーナー制度プランを直接提案するプラットフォーム「OWNERS(オーナーズ)」を運営しています。今回は、同社代表取締役の谷川佳(たにがわけい)さんと小林俊仁(こばやしとしひと)さんのお2人に、「OWNERS」の歴史と仕組み、将来像について話をうかがいました。

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良い生産物を消費者に届けたい 「OWNERS」設立の経緯

オーナーズ

「OWNERS」は、2015年12月に谷川さんが一人で立ち上げて運営をスタートさせました。事業を始めたきっかけを、こう語っています。

「PR会社に努めていた時、全国各地の自治体や生産者と関わる機会がありました。こだわりを持って良い生産物を作っている方々がたくさんいるにも関わらず、その情報が都市消費者へ伝わっていないと強く感じました。

一例なのですが、農林水産大臣賞などを受賞する実力のあるお茶農家さんが熊本県にいました。しかし、その人が作ったお茶は他のお茶とブレンドされて、しかも熊本のお茶ではなく、別のブランド地域のお茶として流通していたのです。

強い地域ブランドがあって、それに伴った情報発信や商品流通網がない限り、個人で良いものを作っても売れないのです。そのことを、彼らと話しているなかで感じました」。

谷川さんは、農家と都市部の消費者を直接つなげることで、農家の思いやこだわって作った本当に良い生産物を届けたいと考えました。そして、オーナー制度のプラットフォームサービス「OWNERS」を誕生させることになります。

「OWNERS」に5つの農家が集まることで、2015年12月にサービスがスタート。その後、同じく代表取締役で共同創業者である小林さんと出会います。“日本の食と農をより良くしたい”という思いの小林さんと、実現したい事業モデルが共鳴しました。「100年後も続く、食と農のあるべき形を創る」というミッションを掲げ、2017年9月に2人で株式会社ukkaを立ち上げました。

ストーリーを伝えることで、本当に良い生産物を作ることができる

オーナーズ

OWNERSでは、他のものと混ぜて売られるのではなく「しっかり価値を伝えながら売りたい」「顔の見える関係性の中で継続的なファンを作りたい」「キャッシュフローを改善したい」といった要望を持つ生産者さんが参加します。そして、これから作る生産物のオーナーを数ヶ月前から募集します。募集内容を見て共感した方が事前に支払いを行い、オーナー登録を完了させて生産物ができあがったら手元に届きます。

生産者がOWNERSに参加すると、自分たちが本当に良いと思うものをベストのタイミングで生産物を消費者に届けることができます。オーナーを募集する際に、生産物の背景にあるストーリーや思いを伝えることができて、それに共感するオーナーが事前購入という形で出資してくれるからです。

例えば、見た目は悪くても味が抜群においしい「葉とらずりんご」。葉が日を遮るため果実の色にムラがあり、一般の市場流通には向いていないと言われています。

オーナーズ

しかし、りんご農家さんが思う本当においしいリンゴとは、市場流通している見た目がきれいなりんごだけではありません。収穫の直前まで葉を取らない「葉とらずりんご」が甘くておいしいといいます。りんごは葉で作られた養分が果実に蓄えられ、糖になることで甘くなるからです。

オーナーズ

「この葉とらずりんごについて『OWNERS』では“色ムラはあるけれど、味は絶品”である理由をきちんと伝えます。消費者はそれを理解した上でオーナーになります。だから農家さんは、自分たちが本当においしいと思う農作物を消費者に届けることができるのです」。

また、オーナーに定員数を設けていて、出荷量が予めわかるようになっています。さらに、オーナー登録時に料金を支払うため、生産者は予め売り上げを受け取ることができます。つまり計画的に生産できて、収入への不安も軽減されます。

リアルでの販売やイベントで、農家を後押し

オーナーズ

「OWNERS」の活動はネット上だけではありません。現在、レストランとコラボレーションして、生産者が作った食材を使ってシェフがメニューを考案。ワインとのマリアージュを提案するなど、様々なイベントも開催しています。

オーナーズ

通常「OWNERS」では、個人単位で生産者が設定したプランへ直接登録しますが、今後は消費者コミュニティとのマッチングも計画。直近では、都心部のタワーマンションで一括購入できる仕組みも導入することを検討しています。なかには1棟に数百世帯ほど入っているマンションもあります。さらに食のリテラシーが高い方々が住んでいるため、参加する生産者にとって大きなメリットがあります。

「もし、あるリンゴ農家が全500世帯のうち100世帯と契約を結べたら、農家はまとまった売り上げが立ちます。また、一括で届けることにより配送・物流コストを大幅に削減することもできます。

一方で、住民同士が購入した食材の感想や使い方などをシェアし合うことで、マンションのコミュニティ活性化にもつながります。商品が届いた時に、お客様自身が、受け渡し会のようなイベントを開催するなど、新しい展開も生まれるかもしれません」。

こうした「OWNERS」の新展開は、参加する生産者の販路拡大につながるのはもちろんのこと、消費者とのダイレクトなコミュニケーションがとれる新たな機会を生み出していきそうです。

100年後も続く食と農 株式会社ukkaが目ざしたい未来

オーナーズ

2017年9月に誕生したばかりの株式会社ukka。「100年後に続く食と農のあるべき形を創る」を理念に、さまざまな事業展開を見据えています。

「私たちukkaは、新しい農産物流通のあり方を、流通やITなど様々な面から変革を起こしていきたいと考えています。

単なる『食糧』としての流通ではなく、生産者のストーリーやその希少性や生産方法を含む背景について、理解しながら購入できるような流通もあって良いのではないかと思います。

これからの時代、ITはこういったことを実現するために不可欠です。しかし、実際はうまく利用されていない状況があり、そこにukkaのアドバンテージがあります。

背景を知って食べることで楽しさを感じられたり、購入することに意義が感じられたりすると、自然と『ごちそうさま』を言いたくなると思います。 モノだけが流通するのではなく、生産者の情報が伝わり、お互いの顔が見える関係ができ、感謝の気持ちも伝わる。 その結果として、正当に評価された方が離農せずに将来にわたって継続していくことができる。 そんな環境を作っていきたいです」(小林さん)。

大量生産、大量消費の時代にあって、本当に良いものが埋もれてしまっている中、生産物の本質的な価値を発信することで、生産物や生産者の魅力を伝える株式会社ukka。従来の価値観にとらわれないスタイルで、日本農業に新しい風を吹き込んでくれそうです。

 
株式会社ukka

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