ブドウが全てを決める!自然派ワインを作るビオディナミ農法とは?
さて、自然のままの製造を大切にするビオワインは、実際にはどのように作られるのでしょうか。
基本的にビオワインは3種類の作り方があります。
1つ目は、除草剤や殺虫剤・化学肥料などを極力使わないリュット・レゾネ(減農薬栽培)という方法。2つ目は、リュット・レゾネよりも厳しく、認証された有機肥料のみを使ってブドウを育てるビオロジック農法。そして、もっとも厳しい条件で、自然由来の肥料を使うほか、天体の動きに合わせて栽培するビオディナミ農法です。
中でも、すべての農作業を天体の動きや月の満ち欠けに合わせて行うビオディナミはもはや願掛けの域にあるかもしれません。科学的根拠もないのですが、生産者たちはそれが味わいへ影響すると信じています。
ビオディナミ農法は20世紀にオーストリアの哲学者、ルドルフ・シュタイナーが提唱した理論に基づいて生まれた栽培方法として知られています。自然のリズムを大切にし、土壌や植物、生物はもちろん、天体の動きまで反映したスピリチュアルな要素が強い方法です。
原則、人工物を一切使わないので化学肥料も使えません。肥料にはプレパラシオンと呼ばれる特別な肥料が使われて、500〜508番の9種類があります。例えば500番は、オスの牛の角にメスの牛の糞を詰めて作られています。それをブドウ畑に埋めて、一冬越えるまで待つ。それから、糞を取り出して雨水で溶いた後、ブドウ畑に散布しています。
501番は牛の角に水晶を詰めます。「no.501」という店の由来はこれによります。

バーカウンターの壁際に飾られた牛の角
ワインはお酒の中で唯一、水を加えずに作るので、ブドウが全て。「だから自然派の生産者は、少しでも良いブドウを作るために多大な時間と手間暇をかけて農業を工夫するのだと思います」と尾藤さんは話します。
今では国産のビオワインも増えている
尾藤さんによれば、日本でも海外の生産者のように、自然農法でワイン作りをしている方は増えているとのこと。
「日本は農薬大国と呼ばれていますが、海外の自然派の生産者たちの影響を受けて、自分たちの個性の出せるワイン造りができるのではないかと動き出しているワイナリーが増えています」。
尾藤さんも出身地である広島県でブドウの試験栽培を始めた有機農業者です。今後はビオワイン生産者も増えていくのではないでしょうか。
気軽にビオワインを楽しもう!
自然の恵みを活かしたビオワインは、生産者の多大な労力と思いによって生み出されています。可能な限り自然のままの製法で作られたビオワインは、一般的なワインにはない繊細な雑味や風味があります。まだビオワインを飲んだことがないという方も、気軽に飲んで独特の味わいを楽しんでみてはいかがでしょうか。