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宮崎産野菜のおいしさを伝えたい【八百屋ファイル:ベジオベジコ】

宮崎産野菜のおいしさを伝えたい【八百屋ファイル:ベジオベジコ】

近年、独自の目線で野菜をセレクトするこだわりの八百屋さんが東京都内を中心に増えています。今回は、宮崎県産野菜を中心に販売する気鋭の八百屋「ベジオベジコ」をご紹介します。谷根千(やねせん)の愛称でお馴染みの下町エリア、東京都文京区根津に「ベジオベジコ」はあります。店長の杉本恭佑(すぎもときょうすけ)さんに、「農家さんをハッピーに」というコンセプトに込めた思いや店作りで大切にしていることをうかがいました。

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宮崎産のフレッシュな野菜がお店の9割

野菜

「ベジオベジコ」は不忍通り沿いに2017年1月にオープンしました。通りを歩いていてもひときわ目をひく大きなのれんをくぐると、野菜や果物はもちろん、お茶やお菓子、調味料などの加工品、穀類に至るまで、ほとんどの商品が宮崎県産であることに気づきます。
それもそのはず、ベジオベジコは、店長の杉本さんを除くスタッフのほぼ全員が宮崎県出身で、県内で野菜の通販事業からスタートしました。一方、杉本さんは熊本県出身。大学時代を宮崎県で過ごし、豊かな風土と人々の温かさに魅了され「宮崎のために働きたい」と就職活動をする中で、同級生が立ち上げたベジオベジコに参画しました。

(写真右から)店長の杉本恭佑さん、スタッフの野津原可那(のづはらかな)さん、英あきか(はなぶさあきか)さん。

「会社を立ち上げた当初は県内で通販事業を行っていました。その中で、もっとたくさんの方に宮崎の野菜を届けたい、農家さんから受け取った野菜を自分たちの手でお客さんに届けたいという思いが募っていきました。そして、東京での店舗販売に踏み切ろうとしていた時に話を受けました。
私自身も宮崎県に自分の力で地域貢献したいという思いがあり、そのためにも東京で力をつけたいと考えていました。店舗販売に関わることで両方の夢を叶えるチャンスだと、誘われた2週間後には上京を決めました」(杉本さん)。
宮崎県にいるスタッフが、県内の畑で収穫された野菜を集荷して当日中に配送拠点で一つ一つ梱包して出荷をしています。そのため、九州と東京という遠距離ながら、収穫からわずか2日で野菜を店頭に並べることができるので、どれも新鮮でみずみずしさに溢れています。柑橘類のヘベスやマンゴーなど、宮崎ならではの青果が充実しているのも特長です。

「農家をハッピーに」実現するための2つの軸

長さ25センチ以上もある大きな佐土原ナス。焼きナスにするとトロトロの食感でたまらないおいしさです

ベジオベジコのコンセプトは「農家さんをハッピーに」です。これを実現するために「農家の収入を上げる」「農家とお客さんをつなぐ架け橋になる」という2つを軸に運営しています。
「農産物を相場よりも少し高い価格で買い取ることで、農家さんの収入自体を上げるようにしています。もちろん、むやみに高く買うのではなく、試行錯誤を重ねておいしい野菜を作っている農家さんには、正当な対価をお支払いしています。
JA規格の流通経路を使うと、一律化されてすべての商品が同じ扱いになってしまいます。また、農業は儲からないというイメージも強いので、変えたいという思いもあります。こだわりを持って野菜作りに向き合っている農家の皆さんは本当にかっこいいので、そのかっこよさも伝えながら、農業自体のイメージアップを図りたいです」と杉本さんは語ります。

農家の思いを伝えるストーリーブックを毎月発行

野菜
農家の思いや、農業のかっこよさを伝える方法として、店頭には手作りのブックレットが置かれています。ベジオベジコと取引のある農家のこだわりや野菜の特長について、カラフルなイラスト付きで丁寧に書かれています。また、毎月1軒の農家にスポットを当てて紹介するストーリーブックも発行しています。こちらもフルカラーで読み応えがあります。
「それぞれの農家さんに異なる背景というか、ストーリーがあるんです。お子さんが小さい頃にアトピーだったことから無農薬野菜を作りはじめた方や、ニンジン嫌いの子が食べられるニンジン作りにこだわっている方がいます。同じ野菜を作っていても目的は違います。店頭でのコミュニケーションや冊子を通じてそれぞれの思いを伝えて、農家のファンになってもらえたらうれしいです」。

農家の方々を集めた店頭イベントも開催

杉本さんが愛してやまない宮崎県「白玄堂」の煎茶と紅茶は、香りが高く飲みやすい。

農家のファンを作ることは、八百屋でやりたかったことの一つです。「普通に『ニンジンが好き』ではなくて、『◯◯さんのニンジンがおいしい』といわれると、生産者の思いが伝わっていてうれしくなります。まだ不定期ですが、実際に農家の方が東京の店舗に集まるイベントも開催しています。
野菜を試食したり、農家の方とお話をしていただくことで、農家とお客さんが直接触れ合える場所にしたいです。多くの方に野菜を届けるだけなら、店舗よりも宅配のほうが広がりがあって売上規模も違います。それでも、なぜ店舗を作りたかったかというと、お客さんの顔を見ながらコミュニケーションをとりたい、情報発信の拠点でありたいからです」。

気軽に遊びに来てもらえるような存在になりたい

野菜
宮崎県から東京都内へと移住してわずか1年の杉本さんですが、すっかり根津の街に溶け込んでいます。ほんの数分店頭に立っているだけで、近所の子供やおばあちゃん、主婦の方や近隣のお店の方などあらゆる世代の方がひっきりなしに声をかけていきます。
「八百屋は野菜を買いにいく場所ですが、用事がなくても遊びにいきたくなる場所を目指しています。私自身は好きな喫茶店のことを考えると、コーヒーがおいしいだけではなくて、その空間や店員さんも含めて好きです。
そしてベジオベジコも人と人との関わりを大切にすることで、様々な方たちの好きな場所、拠りどころとなれるような存在になりたいと思っています」。

明るくはつらつとした雰囲気の店内は、宮崎のキラキラと輝く太陽の下にいるような温かさを感じることができて元気をもらえます。店舗を通じて日々、宮崎のおいしい特産品や情報を発信しています。杉本さんが目指している店作りの夢はすでに叶いつつあるのかもしれません。

ベジオベジコ

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