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生産者の試み

超ローカル柑橘「ヘベス」って?日向の若手生産者が普及に汗

超ローカル柑橘「ヘベス」って?日向の若手生産者が普及に汗

2018年01月25日

スダチよりも大玉で、カボスよりも柔らかな香りが特徴の柑橘類「ヘベス」。宮崎県北東部の日向市だけで栽培されている、超ローカル農産物だ。しかし、生産農家の高齢化により、存続の危機も叫ばれる。ヘベスを県外にも広め、次世代に残そうと奮闘する、黒木洋人(くろき・ひろと)さんに話を伺った。

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消滅の危機に直面する、ローカル柑橘類「ヘベス」

へべスは皮が薄いため、果汁の含有量が多い。切ると穏やかな酸味の果汁がじゅわっとあふれ、爽やかな香りが漂う。発がん抑制効果とがん細胞の増殖抑制効果を持つといわれ、9種類の必須アミノ酸のうち8種類を含むなど、栄養が高いことも魅力の食材だ。

ユニークな名前は、江戸時代末期に長宗我部平兵衛という地元の農家が、山に自生するものを発見したことに由来する。土地に根付き、娘を嫁がせるときにはヘベスの苗木を持たせるという習慣が広まるなど、住民に親しまれていった。一県あたりの年間生産量は、約6,000トンのカボスやスダチに対し、ヘベスは150トン。そのほぼすべてを、人口6万人の日向市で栽培し、県外に出回る量はわずか10トン。知る人ぞ知る、いわば「地域の宝」だ。

一方で、ヘベスは消滅の危機に直面しているという。日向市内のヘベス農家80戸のうち、20~40代の生産者が占める割合はわずか4%。担い手の高齢化に伴い、収穫量も減少した。そんなヘベスを守り県外へ広めようと、積極的に普及活動を行う地元の生産者がいる。

自ら価値向上を、若手生産者の努力


若手ながら精力的にヘベスのPR・販路拡大に取り組むのは、日向市塩見地区の10代目農家・黒木洋人(くろき・ひろと)さんだ。20歳で宮崎を出て、大阪などで建築関係の仕事に就いた黒木さん。小さな頃から慣れ親しんだヘベスを、「県外の人は全く知らないことに驚いた」という。仕事で触れていたインテリア用の観葉植物への興味をきっかけに、滋賀県の専門学校で園芸や水耕栽培を学んだのち、24歳でUターン就農。

地方在来種のヘベスを大切にしたいと、メインのミニトマトやズッキーニの栽培を行いながら、ヘベス700本を栽培する。

ヘベス農家減少の主な原因は、「市場価格が安いこと」(黒木さん)にあるという。キロ当たり300~400円と安いにも関わらず、作付けから収穫まで4年、本格的に収穫量を確保できるようになるまで10年程かかることもあるといい、新規就農者にはいくつものハードルを与えてしまう。ヘベスの旬は6月~10月だが、濃緑の表皮は10月中旬頃から、完熟して黄色に変わる。どちらの状態でも食べることはできるが、市場では緑色の状態で売ることが決められているため、完熟のヘベスは売れない。果皮が薄いので果汁が絞りやすい反面、保存がきかないという弱点もある。

完熟のヘベスも味わってほしいと話す、黒木洋人さん

そんなへべスに自らの手で付加価値を付けて、農家の収入を向上し、生産量減少を食い止めることが活動の目標だ。
仲間と共に、耕作放棄地へ苗を植えるプロジェクトを進めたり、頻繁に東京に通い、イベントでヘベスをPRしたりと、普及に熱を入れる。イベントでは、カボスやスダチとセットで用意し、食べ比べて個性を味わってもらうなど、ヘベスの良さの伝え方をを工夫しているという。

「ほかの高酸柑橘類と並んで売られるようになれば、地方在来種の希少性という強みで、ヘベスを選んでもらえる」と黒木さんは話す。

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