改めて知りたい、灌漑(かんがい)の意味とは?灌漑用水って何?

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改めて知りたい、灌漑(かんがい)の意味とは?灌漑用水って何?

改めて知りたい、灌漑(かんがい)の意味とは?灌漑用水って何?
最終更新日:2019年06月20日

「灌漑(かんがい)」という言葉をなんとなく知ってはいるけれど、明確に説明できないという方は意外に多いのではないでしょうか。用水路や排水路、ため池やダムなどの灌漑施設とそれらの管理は、農作業を効率よく行うために欠かせないもの。そこで今回は、灌漑についての知識を改めてご紹介します。

安定した水を供給 灌漑は水田に必要不可欠

農作物を育てるのには一定量の水が必要ですが、山が多くて平野が少ない日本の地形では、雨が降っても短時間で海に流れ出てしまいます。そのため、雨の少ない季節や干ばつに備えておかねばなりません。そこで考えられたのが灌漑です。
灌漑とは、河川や地下水、湖などから水を引き、農業物を育てるために田や畑へ人工的に給水をしたり排水をしたりすることです。灌漑のしくみを用いた灌漑農業は、さらに水田灌漑と畑地灌漑に分かれます。このうち、日本において大部分を占めるのが水田灌漑です。
灌漑では川からの水を共同作業で水田に引水しなければならないため、集落の形成につながったと考えられています。佐賀県の菜畑(なばたけ)遺跡では、日本最古とされる水田跡が確認されました。この遺跡は縄文時代後期のものとされ、日本ではこの時期に灌漑が始まったようです。

意外に知らない灌漑のしくみ

灌漑を実行するためには、水源を確保し、送水や分配の施設を整備しなければなりません。
水田灌漑では主に河川から取水し、用水路を通じて水田まで引きます。以前は樋門(ひもん)や樋管(ひかん)などの暗渠(あんきょ)から直接取水していましたが、現在では取水口を一か所にし、河川に堰を設けることで安定的な取水が可能になりました。畑地灌漑では、まずダムからの水を吐水槽に貯め、自然流下によってファームポンドに蓄えます。そこからそれぞれの耕作地に用水を引き、スプリンクラーなどで給水。スプリンクラーは水に高圧をかけて散布するため、農作物の生育だけではなく、風害や高温、病害虫を防ぐことなどにも効果があります。
農作業で使用した水は地下水になったり河川へ流れたりして、下流域で再度利用されます。この循環を繰り返すことで水の循環を健全に保つことが可能です。灌漑は単に農地用水の利用の一部としてではなく、大規模な水資源の総合施設としてさまざまな役割を担っていえます。

灌漑は将来の食料確保のためのビッグプロジェクトにも

2017年に国連が発表した調査結果によると、世界人口は現在の76億人から2030年には86億人になり、その後も増え続けると予測されています。増加する人口に対応するための食料確保が課題となっている現在、農業生産率の向上を支える灌漑施設の整備は、世界的に大きな課題であるといえます。
国際かんがい排水委員会(ICID)は、灌漑施設の適切な保全などを目的とし、2014年に「世界かんがい施設遺産」制度を創設しました。建設から100年以上が経っていること、灌漑農業の発展に貢献したことなどが登録の条件で、日本では2017年時点で31の灌漑施設が登録されています。一方で、灌漑は老朽化や環境との調和、管理の仕方など、さまざまな課題を抱えており、これらに対する施策が求められているのが現状です。

以上、灌漑のしくみや将来についてご説明しました。日本で農業に携わる際、水資源の問題は避けて通れないもの。今以上に関心を持って考えてみてくださいね。

上記の情報は2018年1月20日現在のものです。

<参考>
農林水産省:日本のかんがいの特徴と最近の課題

岩手県農林水産部農村計画課:畑地かんがいの効果について

農林水産省:世界かんがい施設遺産

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