食べ物の性質を知る「五味」とは【健康をめざす家庭の薬膳】
連載企画:健康をめざす家庭の薬膳
公開日:2018年01月31日
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漢方では、食べ物の性質を知る方法として「五味」という考え方があります。五気と同様に五行の法則にのっとり、食べ物をその味の違いによって5つの性質に分類したものです。また、五味と五臓は深く関係していて、特定の味を体が欲しているときは体のある部分が疲れていたり、弱っていたりすることもあります。ここでは、五味に分類されている味とその働き、五臓との関係性について紹介します。
五味とは?
酸(さん)・苦(く)・甘(かん)・辛(しん)・鹹(かん)の5つの味に食べものを分類し、味と臓器が密接な関係にあるとした考え方です。
漢方の古い書物には、酸は肝・胆、苦は心・小腸、甘は脾(ひ)・胃、辛は肺・大腸、鹹は腎(じん)・膀胱に入るとあり、口から入った食べ物は味の違いによってそれぞれ違う臓器に働きかけると書かれています。
五味の作用について
酸(酸味)
酸には収斂作用(しゅうれんさよう)と固渋作用(こじゅうさよう)があり、五臓では肝に関連します。例えばシメサバは、酢の持つ収斂作用を利用してサバの身を引き締めた調理法です。また、ウメ干しの酸味には物を固め出して渋らせる作用があり、下痢の改善に効果的だと言われています。その他、汗腺を引き締めて発汗を抑える作用もあります。
肝は、漢方においては肝臓だけでなく精神をコントロールする作用もあると考えられています。そのため、イライラした時などには酸味の強いものを口に入れることでストレスを発散させることができます。
苦(苦味)
苦には余分な熱を取り去る清熱作用と余分な水分を取り除き、柔らかくなりすぎたものを固くする燥湿堅化作用があり、五臓では小腸に関連します。
苦の食べ物の代表としてはゴーヤが挙げられます。ゴーヤが暑い沖縄において夏に食べられる野菜であるように、体の熱を取り去ってくれる効果があります。また、実を乾燥してお茶にしたゴーヤ茶には、小腸の過剰な水分を取り除き、下痢を止める作用が期待できます。ジャガイモの黒焼きにも出血性疾患や下痢止めの効果が期待できます。
甘(甘味)
甘には滋養作用と弛緩作用があり、五臓では胃に関連します。滋養作用とは、栄養を与える作用のことであり、弛緩作用とは緊張した状態を和らげる作用のことをいいます。身体が疲れた時に甘いものを食べたくなるのは体がこの滋養作用を求めるものであり、緊張状態のときに甘いものを口に入れると緊張がほぐれるのは、弛緩作用があるからです。
甘の食べ物であるハチミツは、のどの緊張を和らげてのどの痛みを改善したり、のどにささった骨やとげを抜けやすくする効果があります。
辛(辛味)