取引価格の安定化を目ざす
国内市場で人気が出てきたNAMAHAGEダリアを、さらに取引価格を下げることなく安定させたい。秋田県では平成26年に海外輸出を検討するようになりました。輸出国として候補地となったのが、香港です。
「香港は家庭で花を飾る習慣があるなど、年間を通して花の需要が多い特徴があります。さらに検疫が無く、日本から近いこともあり輸送コストが抑えられるというメリットがあります」と高橋さんは語ります。
そこで、輸出の可能性を探るために平成26年から約2年にわたり調査を実施。現地での評価を把握するため展示イベントなどを開いてきました。その結果、品質の良いNAMAHAGEダリアは、他国のものに比べて、花持ち、花色、花型の豊富さから、高い評価を得られる可能性を感じました。
「NAMAHAGEダリア」の香港への定期輸出をスタート

香港でのNAMAHAGEダリア販売の様子
ダリアは日持ちが長くないので、輸送に3日間を要する香港では、鮮度保持の工夫が必要です。そこで、栽培農家に対して収穫するタイミングや、鮮度を保持するための技術指導を栽培農家に行っています。
そういった努力の甲斐もあり、香港での評判も上々のようです。平成28年からは少量ではありますが、香港への定期輸出が始まりました。平成29年には、さらに取引拡大のため、香港のバイヤーを秋田県の産地にまねいて、県産花きの品質の良さをアピールしました。秋田県のフローリストが香港でフラワーショーを行うなど、PRイベントも積極的に行っています。
ハワイ・インドネシアもNAMAHAGEダリアに注目

香港でのNAMAHAGEダリア販売の様子
また、香港以外に海外輸出の候補地となったのがハワイです。
「ハワイは日本人が海外挙式をする場所として人気が高い場所で、日系のブライダル関連企業も数多く進出しています。見た目が豪華で、花色や花型も多様なダリアはブライダルには欠かせない花です。ハワイのブライダルでも需要があると見込みました。さらに、日本人フローリストが数多く現地で活躍していることや、日本産の花きに対して良いイメージが持たれているといった背景も理由の一つです」。
けれどもハワイは検疫体制が厳しく、到着した後の検疫で不合格となってしまったこともあるそうです。
ハワイへの輸出については、香港と同時期にスタートしました。ですが、2ヶ国の輸出調査等を行った結果、香港の方がハワイよりも販売しやすい等のメリットが明確に分かりました。現在は香港を主体に輸出展開を進めており、ハワイからも注文があれば対応するようにしています。
また、インドネシアも輸出先の一つとして検討しています。インドネシアでは、富裕層を中心に、日本の花を購入することがステータスになっています。日本国内では想定できないような大規模の豪華なパーティーが開催されることも多く、そのような動向の中で豪華で花色が豊富なダリアが注目されたようです。
「秋田県では、ダリアの生産は6月から11月の夏秋期が中心です。インドネシアからはちょうど8月に大量に欲しいと要望を受けました。生産量の多い時期と需要時期が見事にマッチングしているため、今後もコンスタントに夏秋期に輸出の要望があるのか、現地での消費動向などを調査していくことを検討しています」。
まだ海外輸出については始まったばかりですが、国内と同様に確かな手ごたえを感じているようです。現在、秋田県ではダリアの生産量日本一を目指しながら、さらに海外輸出にも力を入れていきたいと考えているそうです。
今後のNAMAHAGEダリアは、インパクトあるネーミングを強みにして、海外の花き業界に大きな変革をもたらしていくことでしょう。