JAと市町村が新規就農者をサポート「南信州・担い手就農プロデュース」

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JAと市町村が新規就農者をサポート「南信州・担い手就農プロデュース」

JAと市町村が新規就農者をサポート「南信州・担い手就農プロデュース」

最終更新日:2019年02月14日

農家の担い手不足が深刻化している長野県のJAみなみ信州は、2017年に管轄内の市町村と連携して「南信州・担い手就農プロデュース」の取り組みを始めました。新規就農者のための栽培に関する支援をはじめ、生活面、経済面を独立するまで広くサポート。担い手不足の解消に繋げようと試みています。今回は、JAみなみ信州担い手支援室の澤柳実也(さわやなぎじつや)さんに、話をうかがいました。

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「南信州・担い手就農プロデュース」が始まるまで

2011年には約7,000戸だったJAみなみ信州管轄内の販売農家は、農家の高齢化や担い手不足により、2016年には約5,550戸まで急激に減少してしまいました。この事態を受け止めて、JAみなみ信州は2017年4月に「担い手支援室」を設立。東京、大阪、名古屋で同県の南信州8市町村とともに就農相談会を開催するなど、担い手不足を解消するための取り組みを行います。

しかし、面談を重ねるうち、農業研修ができる環境がないことや、就農資金の不足、Iターン就農希望者が住める住宅が少ないなど、就農希望者の受け入れに課題が多いことが明らかになっていきました。

「そこで、南信州全体で『ほかの行政には、こんな就農希望者がいる』『この地域には、こんな住居がある』『研修を行える農地がある』といった情報をシェアした方が良いと考えました。

これまで各自治体やJAで担い手の育成は行っていましたが、お互いの情報は共有していませんでした。しかし、農業を衰退させないためには、行政やJA単体ではなく、南信州全体で農業の担い手を育成できる仕組みが必要だと感じたのです。そこでJAみなみ信州のほか、周辺の8つの市町村が連携した『南信州・担い手就農プロデュース』の取り組みを始めました」と澤柳さんは語ります。

就農希望者の生活もサポート

「南信州・担い手就農プロデュース」は、就農希望者の農業独立から自立、さらに地域農業の中核者になるまでの過程をサポートします。

南信州・担い手就農プロデュースのサポートを受けたい場合は、同プロデュースが運営するホームページ「南信州担い手就農ナビ」から問い合わせいただけます。もしくは、飯田市農業振興センター・JAみなみ信州担い手支援室にご連絡ください。同プロデュースのサポートは、長野県在住の方だけでなく、県外の方でも受けられます。

現在、JA関係のサポートを受けて県外から就農する方は、年間2〜3人いるそうです。

「県外から就農するほとんどの方が、南信州の特産品『市田柿』を栽培しながら、キュウリやアスパラガスなどの野菜を育てる、複合経営の形をとっています」。

今年もまた、JAみなみ信州は、東京・大阪・名古屋で就農説明会を実施。そこで南信州の農業に興味を持った人が、夏と冬の2回南信州に訪問し、農家の生の声を聞くチャンスがありました。

「21組33名が南信州に来て、農家さんの話を聞いていただきました。その中には、2018年の4月から研修を受ける方もいるんですよ」。

「南信州・担い手就農プロデュース」は、就農希望者の生活や経済もサポート。JAみなみ信州独自の補助金制度やJAバンクの補助金制度、県の補助金制度活用の提案などを行います。また、生活面では、就農希望者が暮らす住居の斡旋もあります。そのほか参画市町村が情報共有を行うことで、市町村独自の補助策を加えたサポートもしています。

「南信州・担い手就農プロデュース」で行われる研修内容

では、実際に南信州・担い手就農プロデュースのサポートを受ける方には、どのような研修が行われるのでしょうか。

まず、2018年4月からJAの子会社「市田柿本舗ぷらう」に研修生として入り、そこで市田柿の栽培技術や、ハウス栽培キュウリの研修を行います。そのほか、JAへの出荷など規定の条件を満たす方は、JA営農指導員による栽培指導、融資担当職員による資金面などのアドバイスも受けることができます。

また、JAは新規就農者に対し、多数の品目を栽培する「複合経営」を推奨しています。複合経営は収入が安定しやすいうえ、品目の不作で起こるリスクも分散することができるからです。

南信州就農ナビでは、新規就農者におすすめの複合品目も紹介しています。例として「夏秋キュウリと市田柿」「アスパラガスと市田柿」「夏秋キュウリと白ネギ」などの組み合わせがあります。

「目指したい品目や作型があると思いますが、まずはこのような品目体系から始めることをおすすめしています」。

「南信州・担い手就農プロデュース」今後の目標

南信州・担い手就農プロデュース、は今後1年間で50人の担い手を育成することを目標としています。

「現在、『南信州・担い手就農プロデュース』には、JAみなみ信州と8つの市町村が参加しています。南信州こと飯田下伊郡すべての市町村の参加には至っていません。今後も各市町村に取り組みへの参加を呼びかけ、南信州全体で就農希望者をサポートできるようにしたいです。そのほか、地域内の農業生産法人とコラボレーションして、幅広い品目の栽培へ対応することも計画しています。

しかし、年間50人の就農希望者をJAだけで受け入れるのは難しいのが現状です。この活動によって、農家の担い手に関する各行政の取り組みが、より強化されることを期待しています」。

南信州・担い手就農プロデュースは始まったばかりのため、制度を利用して就農している方はいません。ですが、2018年4月に県外の高校を卒業し、「市田柿本舗ぷらう」での研修を受けることが決まっている方もいるそう。「市田柿を自分で栽培したいという、とても熱意のある方にきていただきます。2〜3年の研修を経て、独立できるように指導していきたい」と澤柳さんは語ります。

地域が一体となって農家の担い手不足の問題に向き合い、農家の担い手を協力して育てる「南信州・担い手就農プロデュース」。JAみなみ信州と各市町村が行うこの取り組みは、近年の著しい農家不足を改善していくうえで、一助となることでしょう。
 
南信州担い手就農ナビ

画像提供:JAみなみ信州

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