甲州種で世界に通用するワインを 勝沼醸造こだわりのワイン作り

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甲州種で世界に通用するワインを 勝沼醸造こだわりのワイン作り

甲州種で世界に通用するワインを 勝沼醸造こだわりのワイン作り

最終更新日:2018年09月25日

山梨県勝沼町の勝沼醸造は、山梨県固有種の白ブドウ「甲州」を使用したワイン作りに力を入れており、醸造されたワインは世界的にも高く価されています。その背景には、ワインの醸造はもちろん、ブドウ栽培にもこだわりがありました。今回は、勝沼醸造のワイン作りについて、勝沼醸造株式会社の営業部首都圏営業課長である有賀淳(ありがじゅん)さんにお話をうかがいました。

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繊細なワインを作り出す、山梨県の固有種「甲州」

ワイン
勝沼醸造は、1937年の創業以来、ブドウの産地である山梨県勝沼町で、ブドウの栽培からワインの醸造まですべて手掛けているワイナリーです。「たとえ一樽でも最高のもの」を理念に掲げ、上質なワインを生産しています。

中でも、特にこだわっているのが、白ブドウ「甲州」を使用したワイン作り。「甲州」は雨量の多い日本の土壌に合う品種で、勝沼に根差して約1,300年近くもの歴史を持つ山梨県の固有種です。しかし、「甲州」は他の生食用のブドウよりも比較的淡白な味わいのため、需要が少なく、生産量が少しずつ減ってきているのが現状です。

「生食用のブドウは、現在、シャインマスカットのように大ぶりで食べ応えのある品種が、価値が高くなっています。そのため、生産を切り替えてしまった畑が多いのです。

しかし、「甲州」は、優しい酸味や瑞々しさ、グリ色の果皮からくる微妙なタンニンが特徴の品種でワイン作りにはぴったりです。グリ色とはフランス語で灰色を意味し、赤と白の中間で、グレーがかった果皮のことを指します。

世界で評価されているワイン用の品種は、すべてヴィニフェラ種と呼ばれるヨーロッパ系の品種ですが、「甲州」もこの種の流れを汲んでいるとされています」と有賀さんは語ります。

世界に向けた白ワイン作りを本格始動

2003年「ヴィナリーインターナショナル」銀賞『勝沼 甲州樽発酵』

勝沼醸造は、1993年より生産している『勝沼 甲州樽発酵』という白ワインが、2003年の国際ワインコンクール「ヴィナリーインターナショナル」で銀賞を受賞したことを機に、甲州種のワインで世界と勝負することを決意します。

『勝沼 甲州樽発酵』は翌年の同コンクールでも銀賞を獲得。時を同じくして、勝沼醸造は、甲州種が育つテロワール(※)の可能性について、大きな発見をしたといいます。

※テロワールとは、ブドウ畑がある土地の性質のことをいい、土壌や気候、人的要因などが含まれています。テロワールはワインの風味に大きな影響を与えるといいます。

「勝沼市に隣接する笛吹市の伊勢原地区の単一畑で収穫した伊勢原という甲州種を、ヌーボーワインにブレンドしていました。ある年、ひょんなことから、別々に仕込んでみました。すると、作り方は同じなのに、それぞれのワインから醸し出される味わいや香りは、明らかに違うものとなっていたのです」。

この発見により、海外に誇れるワインの品質や個性を得ることができて、その土地に向いたブドウ品種を育てればよいという考え方を得ました。海外と比較する必要がないことに気づき、日本が高温多湿なことも個性の一つと考えてコンプレックスに感じることがなくなりました。

こうして、勝沼醸造は、世界に向けたワイン造りを本格的に始めました。

ブドウの良い面も悪い面も個性として考える

アルガブランカ ドース(甘口のアルガの白)

直近の2017年末には、イギリス・ロンドンで開催された「インターナショナル・ワイン・チャレンジ(IWC) 2018」にて『アルガブランカ』3種が銀賞を受賞するなど、国内外の様々なワインコンクールで優秀な成績を収めている勝沼醸造。

では、なぜ勝沼醸造の甲州種ワインは、世界から評価されているのでしょうか。
有賀さんは、「評価は人によって異なるため、具体的に答えるのは難しいですが、勝沼醸造が持つこだわりや考え方を貫いたことが、一つの成果に繋がったのではないか」といいます。
 
 

アルガブランカ ヴィニャル イセハラ(イセハラ圃場のアルガの白)

ワインというお酒は、その土地の風土やブドウの個性だけでなく、産出国の文化をいかに映し出しているかも、世界的に重視されているといいます。そのため、勝沼醸造では品質を保ち安定的に生産しながら、ブドウの個性をできるだけ生かすため、あまり作りこみすぎないよう自然の風味を活かした工程で醸造しています。また、ブドウエキスの搾汁率は75%と、これは業界の中でも高い数値となっています。

「搾汁率が高いと、ブドウの良い面だけでなく悪い面も出てしまいますが、両方の面を肯定するからこそ、本当の意味でブドウの品種と向き合えると考えています」。

フランス同様の垣根栽培か、1300年間続く棚式栽培か

ブドウの棚式栽培

おいしいワインをつくるため、勝沼醸造はブドウの仕入れ先や、栽培の方法にもこだわっています。ワインに用いるブドウは約1割が自社栽培で、残りの8割から9割は、契約農家から仕入れた甲州、マスカット・ベーリーA種を使用しています。

品質の高いブドウを仕入れるため、勝沼醸造は契約農家との交流を最も大切にしています。「その場所のテロワールを一番熟知しているのは農家さんである」という考えのもと、できるだけ多く農家と会話をし、ブドウを収穫した産地がどのような土地で栽培されたのかを知るように努めているそうです。

また、勝沼醸造では、「地元の産業を支えているのも農家さんである」と敬意を表し、仕入れる際のブドウ箱も、キレイにしてから各農家に配っています。

「近年はフランス同様、自社の畑で垣根栽培を行うワイナリーが増えています。ですが、勝沼町で甲州種を育てる場合は、約1,300年ものあいだ先人たちが様々な経験から培ってきた、棚式栽培が適しているのではないかと当社では考えます。

勝沼醸造は現在、これまで伝えられてきた方法や文化を尊重しながら、何か新しい取り組みができないか模索しているところです」。

GI表示(地理的表示)されて国際競争力がついた

アルガブランカ クラレーザ ディスティンタメンテ (限りなく透明なアルガ の白)

2000年代に入るまで日本には原産地呼称(※)がありませんでした。国産ブドウを原料にしたワインも、海外産ブドウを原料に国内で作ったワインも同じく「日本ワイン」とされてきました。

※特定の地域や指定区域のすぐれた特質を有する産品に表示する、その地域や特定区域の呼称で、原料の種類・品種や産地、栽培・飼育に関わる条件、製法等が法で規定され、これを国が保証するもの。

しかし、2013年に山梨県が、産地の特徴と結びついた品質や、社会的評価のある産品に与えられる、GIこと「地理的表示」を獲得したことにより、山梨県のワインと輸入原料で作ったワインとは分けられるようになりました。これが、国産ブドウを100%使用する勝沼醸造の追い風になったといいます。

国内では国産ワインの消費量が少ないため、勝沼醸造は海外の輸出にも目を向けています。ですが、有賀さんは「海外輸出に関しては、価格が課題」と語ります。例えば、日本のワインをEU圏へ輸出するとスタンダードなワインであっても、輸送費や人件費などがかかるため、フランスの1級畑の等級と並ぶ高価格帯になってしまいます。

そうなると、ワインのブランド力を高めるか農業コストを抑えるかの2通りしかありません。しかし、後者は農業の担い手が少ない日本の現状からすると困難です。勝沼醸造では、ブランド力を高めることで値段が高くなっても購入してもらえる商品に育てようと決意しました。

「甲州ワインの飲み口が控えめであることもあり、海外ではなかなか手に取ってもらえないのが現状です。今後は、1級畑に引けを取らないブランド力を高めていきたい。これまで以上に、海外に向けたワインと食のペアリングを重視した提案をして購入してもらおうと思います」。

国産ワインは、国内の飲食店ではほとんど飲まれていないのが現状だそうです。「一部のユーザーだけが楽しむのではなく、多くの人が味わうようになれば、国産ワインは今よりも海外の方の目に留まるのではないでしょうか」。

日本のワインが海外で選ばれるようになるには、より良いワインを作るのと同時に、国内におけるワイン文化の醸成にも取り組んで行かなければならないと考えているそうです。
 
勝沼醸造株式会社
 
画像提供:勝沼醸造株式会社

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