栄養のある野菜をおいしく食べてほしい
瑞花では、体の調子を整える野菜を販売したいという思いはありますが、栄養面だけを重視しているわけではありません。「栄養ありきだと食べていて楽しくないというか、おいしそうな感じがありませんよね。よく矢嶋は『栄養のことばかりを考えるよりも、野菜をあと一口多く食べようといった考え方で栄養価的にはフォローできるんじゃないか』と言っているのですが、私もそう思います」と伊藤さん。
「おいしい」「楽しい」という体が本能的に喜ぶ感覚を大切にしているのは、多忙な会社員時代に食生活を楽しめなかったことにあるのかもしれません。野菜は全国の農家さんから仕入れていますが、取り扱う基準は「おいしいこと」だそうです。そこにはおいしさにつながる、栽培方法や作り手の思いが深く関わっています。
「野菜の味は、土の状態や使う肥料が大きく関係しています。肥料もできるだけ植物性肥料を使ったものがよりおいしいと感じていて、瑞花で扱う野菜はそこを見て選んでいます。自然に近い状態でゆっくりと育った野菜は、きれいな左右対称な形だったり、ひげ根や節目が均等なんです。ずっしりと重いことも時間をかけて育っている証の一つです」。
開店当初、矢嶋さんは週の半分はお店を営業し、残りの半分は全国の農家さんを訪ねて回っていました。今も全国の農家さんを訪れて、畑の状況や作り手の状況を確認したり、コミュニケーションを密に取りながら、常に知識や情報の収集をしています。そこには、瑞花が消費者においしく食べるコツを楽しく伝えられる場所でありたい、という思いがあります。