小さな農家が「欲しい情報」を携帯電話に
昨年、ガーナで起業した農業分野のスタートアップ企業が、世界の注目を集めました。スイスで行われたKickstart Accelerratorという優秀なスタートアップを表彰するイベントで、ガーナのFarmerline(ファーマーライン)が2番目に優れたスタートアップとして選ばれたのです。
Farmerlineが提供するのは、ガーナ国内の小規模農家に向けた情報サービスです。近年、携帯電話などの通信網が広く普及してきたガーナの農家に、スマートフォンなどを介して農業に関するさまざまな情報を送信。農家は、必要な情報を随時受け取ることができるしくみです。
送られる情報は、天気や作物の栽培方法、農業を行う上での技術、さらには市場における作物の値段など、農家の求めるもの、農家を支援するものなど。さらに水や肥料など、農家が必要なものの購入も携帯電話からアクセスすることで可能です。
面白いのは、Farmerlineが地域の「方言」に対応していること。ガーナでは地域によって言語に差がありますが、ユーザーにあわせて現地の方言で音声や文章を送り、地域格差が生じないようによく工夫されています。
農機作業代行オペレーターとの間をつなぐのは?
農家に向けたガーナの最先端サービスは、他にも誕生しています。その一例がTro Tro Tractorというスタートアップです。
ガーナではトラクターを持っていない農家も多く、大規模な作業をする際は、「農機作業代行オペレーター」に依頼する場合があります。しかし、いざ必要な時に農家と代行オペレーターの連絡がつかないケースが少なくありませんでした。
これをカバーするのがTro Tro Tractorのオンラインプラットフォームです。GPSを使い、トラクターが必要な農家と、その近くにある代行オペレーターをマッチングさせ、作業の日程調整をしたり、代金支払いを代行したりします。
このサービスは、代行オペレーター側にもメリットがあります。これまでは、自分たちで農家に依頼してくれるよう呼びかけなければなりませんでしたが、Tro Tro Tractorはそれも代行してくれるため、待っているだけで仕事が舞い込んでくるのです。
また、トラクターを貸す場合にもTro Tro Tractorが監視してくれるので、オペレーター側も安心です。