ボリビアのアマゾン川周辺は干ばつと洪水を繰り返す過酷な土地
ボリビアは南米大陸のほぼ中央に位置し、首都ラパスは3650メートルを超す高度にあります。国内をアマゾン川が流れており、付近では干ばつと洪水が繰り返されてきました。近年も洪水被害は後を絶たず、特に2006年から2008年には3年連続で洪水が起きています。
雨期に入ってアマゾン川流域で洪水が起きると、土地のほとんどは水につかります。その水が引いた後、土地は干上がって栄養を失い、砂漠のようになります。この洪水と干ばつ、渇水の悪循環がボリビアの農業生産に影響し、厳しい貧困へと繋がっていました。つまり、水資源の有効活用は過去から現在に至るまで、ボリビアにとって死活問題なのです。
それに対し、発足したのが「カメジョネス・プロジェクト」です。
高畝を作る農法「カメジョネス」とは
紀元前1000年~1400年ごろ、ボリビアでは洪水の水位よりはるかに高い畝(うね)を施すことを始めました。この盛り土は「カメジョネス」と呼ばれています。
カメジョネスは最大で2メートルの高さに達します。それでも雨期になるとこの畝は洪水に巻き込まれ、水没してしまいます。しかし、畝を取り巻く運河は、洪水の水が引いた後にまた姿を現します。これが灌漑用水になるというシンプルながらも驚くべき農法です。
さらに、カメジョネスは副産物をもたらします。運河で生長する「タロペ」と呼ばれる水生植物は、土の上に広げれば肥料になります。さらに運河には渇水期も泥の中に魚が潜んでいるため、これもコミュニティの食料になったといいます。