地中海原産のアブラナ科の野菜・菜の花
菜の花は、ほろ苦さと春を感じる香りが魅力的な野菜です。アブラナ科アブラナ属の野菜で、アブラナ科の野菜の原産地は地中海沿岸です。品種は様々で、コマツナ、ミズナ、チンゲンサイなども利用されています。
ナタネ油の原料とされているナタネは、アブラナとキャベツの交配種で、「洋種ナタネ」と呼ばれています。日本でも油を取るために広く栽培されていましたが、現在は国内での採油用のアブラナは減り、ほとんどが菜の花を利用する切り花や野菜となっています。
鮮度の良いおいしい菜の花の見分け方
鮮度の良いおいしい菜の花は、つぼみは開いておらず、茎の切り口が瑞々しいのが特徴です。軸の中心部分まで、緑色のものを選びましょう。中心部が白くなっているものは古くなっている証なので、なるべく避けましょう。
菜の花の旬と時期
菜の花は周年を通して市場に出回りますが、出荷量が多くなるのは12月から4月頃で、春を演出する野菜として重宝されています。全国で生産されている菜の花のうち、約60%を千葉県産が占めており、次いで徳島県、三重県産となっています。
菜の花の栄養
菜の花は、ビタミンCの含有量が100グラム中に130ミリグラムと比較的多いのが特徴です。ビタミンCは皮膚や粘膜の健康維持に関わり、さらに病気やストレスに対する抵抗力を促進する効果があるといわれています。
抗酸化作用をもつとされるカロテン、便秘改善の効果がある食物繊維、血中の塩分濃度を調整し血圧の上昇を抑える働きをするカリウムのほか、ビタミンB1、B2、カルシウム、鉄分などが含まれています。
菜の花の保存方法
菜の花を保存するときには、濡らした新聞紙などで包み、ポリ袋に入れて冷蔵庫の野菜室にしまいましょう。立てた状態で保存するのが理想です。時間の経過によって味が落ちやすく、乾燥して香りが飛び、苦味が出るので早めに食べきることがおすすめです。
乾燥するからといって水を吸わせると、花が咲いてしまうので注意しましょう。茹でてから冷蔵庫で保存するのも問題ないですが、その場合は2、3日で食べきるようにしましょう。
菜の花の下ごしらえ
菜の花は、水を張ったボウルの中でしっかりとふり洗いをするのがポイントです。とても火が通りやすいので、調理の時に加熱しすぎないよう、最後に加えるなどして調理時間を短くして食感を残しましょう。
菜の花をおいしくするワンポイント
つぼみ、茎、葉を食べ分ける
菜の花は、つぼみも茎もおいしく食べることができますが、食感が違うので分けて使うのがおすすめです。茎についた葉もやわらかいので一緒に食べられますが、見た目が気になるという場合は、葉も分けて盛り付けるときれいに仕上がります。
菜の花の味付けは
菜の花の魅力は何と言ってもその香りです。そのため、味付けは極力シンプルにするのが良いでしょう。出汁を効かせた吸い物のほか、おひたし、炒め物などいろいろな料理に活用できます。天ぷらもおいしいですし、塩漬けにするとまた香りが引き立っておいしいくなり、日持ちもするのでおすすめです。
「菜の花」と「菜花」の違いは?
菜の花は、花やつぼみ、茎を食べるアブラナ科アブラナ属の総称ですが、もともとアブラナの花のことを指していました。現在、「菜の花」と呼ばれているものは在来種系、「菜花」と呼ばれているものは西洋系の品種が多いという違いがあります。
菜の花の種類
菜の花は、束ねて売られていることが多く、「花飾り」「花娘」「花かんざし」などの品種が有名です。そのほかの品種も紹介します。
のらぼう菜
関東で春を告げる野菜として知られており、「江戸東京野菜」の一つです。3月頃に旬を迎えます。
オータムポエム
赤菜苔(こうさいたい)と菜心(さいしん)を掛け合わせて生まれた品種です。アスパラガスに似た風味があり、「アスパラ菜」とも呼ばれています。
かき菜
北関東の在来種の菜の花です。栃木県佐野市の特産品としても知られています。のらぼうと同じく、3月頃に旬を迎えます。
おいしい菜
福岡県博多で誕生したブランド菜花です。セイヨウアブラナ科で、クセや苦味が少なめです。
プチヴェールの花
芽キャベツとケールの交配種であるプチヴェールがトウ立ちしたものです。茎がやわらかく、甘みがあるのが特徴です。
ひとくちに菜の花といっても、様々な種類があることを知っていただけたかと思います。ミズナやチンゲンサイ、コマツナをもとにした菜の花があるので、それぞれの風味を味わいながら食べると新しい発見があるかもしれません。
参考:「野菜と果物の品目ガイド〜野菜ソムリエEDITION」(農経新聞社)