一般家庭に広まったピーマン
ピーマンは日本でも馴染みの深い、ナス科トウガラシ属の野菜です。大航海時代にコロンブスがヨーロッパへトウガラシの種を持ち帰ったのが世界中に広まったきっかけとされています。
日本にトウガラシが入ったのは江戸時代という説がありますが、現代のピーマンのような甘味種が入ってきたのは明治時代初期です。アメリカから導入され、第二次世界戦後の食の欧米化に伴い一般家庭に浸透したといわれています。
トウガラシの中でも甘味種で、ベル型の品種が「ピーマン」と呼ばれており、現在一般的に流通しているものは、中型でクセのない肉の薄い品種。様々な色味がありますが、緑色のピーマンはまだ熟していないうちに収穫されたものです。近年は完熟させたカラーピーマンも栽培されていて、子どもでも食べやすいと人気です。
鮮度の良いおいしいピーマンの見分け方
緑色が濃くツヤがあり、全体にハリがあり肉厚なもので、ヘタがピンとしているものがおいしいピーマンの印です。ヘタ付近にはカビが生えやすいので、しっかりチェックしましょう。
ピーマンの保存方法
パックしてあるものは、そのまま冷蔵庫の野菜室で保存します。バラで購入した場合は、ポリ袋に入れてから、冷蔵庫の野菜室へ入れましょう。水分が多いとカビが生えるので、水気はしっかり拭き取ります。
1週間程度保存することも可能ですが、一つが傷むと他のピーマンも傷んでしまいます。なるべく早く食べましょう。
ピーマンの旬と主な生産地
ピーマンの旬は夏ですが、一年を通じて出回っています。東京市場では茨城県、宮崎県岩手県産が主流。大阪市場では宮崎県、鹿児島県、高知県産が主に出荷されています。
ピーマンの栄養
ピーマンはビタミン類を多く含んだ野菜です。特に多く含まれるビタミンCには、血管や肌、骨などを健康に保ったり、コレステロール値を下げたりする働きがあるといわれています。またピーマン独特の香りの成分であるピラジンは、血流を促進する働きがあるとされます。
ビタミンCは加熱に弱いビタミンですが、ピーマンは組織がしっかりしているので、加熱しても失われにくい特徴があります。
カラーピーマンに含まれるビタミンCは、100グラム中、赤色は170ミリグラム、黄色は150ミリグラムと、緑色のピーマンの2倍以上。さらに赤色ピーマンにはカロテンが多く含まれており、油と一緒に取ることで効率よく摂取できます。
ピーマンの下ごしらえの方法
ピーマンのヘタを取る時は、まず縦半分に切りヘタの部分にV字の切込みを入れます。そして、中にあるワタと一緒にヘタを持ち上げると簡単に取り除けます。種が残った場合は外側から軽く叩いて落としましょう。
千切りにする時は皮を下にし、手で平らに整えると切りやすくなります。切る時は皮の内側から切ると刃が滑りません。シャキシャキとした食感を残したい時は繊維に沿うように縦に切り、やわらかい口当たりにしたい時は繊維と直角になるように、横に切りましょう。
ピーマンの独特な臭いが気になる場合は、さっと湯通しするのもおすすめです。さらに甘みが増しておいしく食べられます。サラダ、炒め物、和え物、網焼きなど様々な料理に使用できます。
ピーマンの皮をむく場合は、ピーマンをコンロで焦げるまで焼きます。それを紙袋か新聞紙を袋状にしたものに入れ、10分間放置し蒸らします。それから温かいうちに袋の上からこすると、簡単に皮をむくことができます。手のひらでつぶすとヘタもとれます。
ピーマンの種類
パプリカ(カラーピーマン)
緑色のピーマンが完熟したものです。緑色のものより甘みが強く、ビタミンCやカロテンなどの栄養も豊富に含まれています。苦みが少ないため、子どもでも食べやすい種類です。
ぷちピー
直径2~3センチの小さいサイズのピーマンです。果物のような甘さと香りが特徴です。種が少なくヘタも小さいので、簡単に調理ができます。
セニョリータ
平たく果物のカキのような形をしたピーマンです。ピーマン独特の臭みが少なく、甘みがあります。生食向き。赤色、黄色、オレンジ色、緑色など様々な種類があるので、サラダに彩りを添えるのにぴったりです。
こどもピーマン
細長く凹凸がない品種です。肉厚で苦味や臭みが少ないので、子どもでも食べやすい品種です。
ピーマンはサラダ、炒め物、和え物など様々な料理に活用できます。さっと火を通すと甘みが増すので、苦味や臭みが苦手な方は炒め物などにしてみましょう。品種によって苦みが少ないものもあるので、食べ比べてみるのもおすすめです。
参考:「野菜と果物の品目ガイド〜野菜ソムリエEDITION」(農経新聞社)