農家の働き方改革 農業従事者が知っておくべき「適切な労務管理」

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農家の働き方改革 農業従事者が知っておくべき「適切な労務管理」

農家の働き方改革 農業従事者が知っておくべき「適切な労務管理」

最終更新日:2018年09月25日

これまで家族経営が主流であった農業ですが、近年は家族以外の労働者を雇用する経営も増えています。ですが、雇用したものの「職場環境が良くない」と、辞めていく労働者もいます。経営を支える人材を育てるためにも、農業経営者は適正な労務管理を行い、長く働きやすい環境を整えることが大切です。今回は、農業従事者が知っておくべき「適切な労務管理」について紹介します。

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農業は労働基準法の労働時間等の規定が適用にならない

労働者を雇って農業を営む場合、その労働者には労働基準法が適用されます。労働基準法には、労働者が人らしい生活を営むために、労働契約や賃金、労働時間、安全・衛生など、最低限の労働条件の基準が定められています。

労働基準法は原則すべての業種に適用されています。ですが、農業は天候など自然条件に左右されやすいため、労働時間、休憩、休日に関する規定は、適用が除外されています。(労働基準法第41条第1号 ※1)。

ただし、賃金の支払いや、深夜労働の賃金の割り増し、有給休暇の付与などについては適用が義務付けられています。また、労働者の労働時間などを管理するため、使用者は労働者名簿や賃金台帳を整備することも必須とされています。

農業は、労働基準法の一部の規定が適用除外となっています。ですが、優秀な人材を確保・育成していくためにも、労働時間や休日をきちんと定めるなど、労働者が働きやすい環境を整えることが大切です。

事業場によって労働基準法が適用されるケースも

労働基準法の適用は組織全体ではなく、組織の事業場単位で判断され、事業の業種も事業場ごとに判断されます。これは農業も同じであり、経営者が同一であっても、農産物の販売を行っている事業場は「商業」として、農産物の加工などの業務を行う事業場は「製造業」として区分されます。これらの事業場は労働基準法が全面的に適用されます。

同一の場所で複数の事業を行っている事業場の場合は、「その事業場が、どのような業務を主としているか」で事業場の業種を判断します。

例えば、同一の事業場で、農業生産・加工・販売など、複数の業務を行っているとします。そして、その事業所の主な業務が『食料品製造業』と判断されるとします。すると、その事業場は『食料品製造業を営む事業場』となるので、労働基準法が一部適用外である農業生産の従事者にも、労働時間などの規定が適用されるようになります。

農家が人を雇う場合、労働契約の際に注意すること

労働者を雇い入れる場合、使用者は重要な労働条件を書面で示し、労働者と労働契約を結ぶ必要があります。労働条件は労働者と使用者の合意で決まりますが、労働基準法が定める基準を下回る労働条件については無効となります。

労働条件を示す書面では、明示が義務付けられている事項があります。契約期間や就業場所、始業及び就業の時刻、仕事内容に関することや、賃金の支払い、退職に関する規定、労働契約の更新に関する規定があります。

労働時間に関する項目では、始業時間と終業時間、残業の有無、休憩時間、休日・休暇などについて記載してください。勤務形態が交代制の場合は、ローテーションについても明記します。

また、従業員が常時10人以上いる職場は、就業規則の作成が義務となっています。(労働基準法第89条 ※2)就業規則とは、労働条件のほか職場内での規則について、使用者が作成するルールブックのこと。作成する際には労働者の意見も聞きます。

就業規則は、職場の秩序維持やトラブルの防止に役立ちます。そのため、労働者の人数が10人未満であっても、作成することが望まれます。

作業時の事故防止のために、安全・衛生の教育を

農業には、農業機械や農薬の使用など、危険を伴う作業があります。そのため、使用者は労働者を雇った場合や、作業内容を従来のものから変更した際に、業務に関する安全・衛生のため教育を行う必要があります。

例えば、農業機械や農薬類が持つ危険性や有害性を伝える必要があり、その上で安全に使用する方法を伝えます。そのほか、作業をより安全に行うために、作業手順の教育や、作業開始時の点検も行います。

作業で発生しうる疾病の原因と予防策を伝えたり、作業場を清潔にしたりするなど、衛生面の管理もしっかりと行います。また、万が一作業中に事故が発生した場合に備えて、労働者に応急措置の方法も教える必要があります。

家族以外の労働者は、規模拡大や加工・販売に取り組み農業経営者を支える、貴重な存在です。双方が気持ち良く、長く働ける環境づくりをするためにも、適切な労務管理をしっかりと行うことが大切と言えるでしょう。
 
 
参考:
※1 農業者・農業法人 労務管理のポイント(農林水産省、厚生労働省)

※2 農業法人が加工・販売に取り組む場合の労務管理のポイント(農林水産省)

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