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観光農園の始め方や必要な道具とは? メリット・デメリットも解説

観光農園の始め方や必要な道具とは? メリット・デメリットも解説

農作物の収穫体験や食べ放題など、従来の農園にレジャー要素が加わった形の「観光農園」。収益向上のほか、地産地消や地域活性化にも貢献することができます。
本記事では、観光農園のメリットやデメリットのほか、始め方や成功させるポイントなどを解説。新たに観光農園を開設しようとお考えの方は、ぜひ参考にしてください。

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観光農園とはどのような施設?

観光農園とは観光客などを集め、農産物の収穫体験をしてもらう施設です。個人・法人によって提供する農作物は異なりますが、代表的な例が下記の通り。

野菜 ・いちご狩り

・メロン狩り

・スイカ狩り

・さつまいも掘り

果物 ・りんご狩り

・みかん狩り

・梨狩り

・ぶどう狩り

・さくらんぼ狩り

その他 ・きのこ狩り

中には農家レストランを併設している観光農園も。自社で栽培した食材をそのまま活用し、お客様に提供しています。

代表的な観光農園

現在、日本全国にさまざまな形態の観光農園が存在します。地方都市に多いイメージを持つかもしれませんが、地方においても人気を集める観光農園があります。

ブルーベリーファームおかざき(愛知県)

名古屋市から車で40分ほどの距離にある「ブルーベリーファームおかざき」。
ひと夏60日しか営業しないブルーベリー観光農園ですが、来場者は1万人を数える人気ぶりです。
「ブルーベリー狩り」は、平日は基本的に時間無制限。訪れた人はブルーベリー畑の中で心ゆくまでゆったりと時間を過ごすことができます。洗練された作りの農園カフェも併設されており、そこで振る舞われるブルーベリーを使ったスイーツも好評。

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農園の営業日は年間でたったの60日。素人かつ無人でできる養液栽培システムの採用や、収穫の作業を効率化した観光農園の運営、投稿数3,000本以上を誇るブログでのIT集客など、「ブルーベリーファームおかざき」を運営する畔柳さんの農起…

いちごがり写真館 くらうんふぁーむ(宮崎県)

2020年1月にイチゴ狩り観光農園としてオープンした「いちごがり写真館 くらうんふぁーむ」。
「とちおとめ」などはじめ、さまざまな品種のイチゴ狩りを楽しむことができるほか、カメラマンが常駐しており、イチゴ狩りの記念写真も撮影してもらえるのが特徴です。

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新型コロナウイルスの影響で、全国各地の観光農園は自粛を余儀なくされた一方、収束後はレジャー体験や、対面で会うことの価値が高まるでしょう。たとえば、イチゴ狩り観光農園もただイチゴを売る・食べるためだけの場所ではなく、忘れ…

千葉中央観光農園(千葉県)

千葉市若葉区にある「千葉中央観光農園」は夏から秋にかけて、ぶどう狩りや梨狩り、クリ拾い、さつまいも掘りを提供しています。屋根付きの休憩所があるので、急に雨が降っても安心。

また、お弁当などの持ち込みも可能。旬の野菜や果物はもちろん、ピクニックのような感覚も楽しめるでしょう。

鈴木園(神奈川県)

神奈川県茅ヶ崎市にある「鈴木園」は、低樹高栽培と呼ばれる手法を用いている農園です。通常より樹高が低いため、老若男女問わず収穫体験を満喫できます。

栽培されている果物はぶどう・梨・柿・キウイ・栗・梅など。8月中旬〜12月上旬にかけて味覚狩りが提供されています。

なぜ今、観光農園が注目を集めているのか?


観光農園が注目を集めている理由は、そのビジネスモデルにあります。一般的に、農家は自社で収穫した作物を降ろしたり、直販したりすることで収益を上げています。

そして、他の収益源を確保するために有効なモデルが観光農園です。収穫体験などを提供することで、農作物以外から収益を得ることが可能。また、お客様と交流することで自社のファンが生まれ、スーパーで農作物を手に取ってもらえる可能性も出てきます。

観光農園の主なタイプは4つ

観光農園と言ってもタイプは4つあります。それぞれの詳細をまとめたので、確認していきましょう。

体験区画型

農地を区画に木地李、入園者が播種・植え付けから収穫まで一連の作業を体験する方式です。多くの観光農園がこの方式を採用しています。

作物集中型

小面積の農地で、畑ごとに作目を統一して農地利用を行う方式です。入園者に提供する作業は個別・共同作業方式があります。

共同・個別収穫型

農地を区切らず、入園者が共同で一連の農作業を行い、収穫段階で収穫する範囲を指定する方法です。

共同作業・共同収穫型

収穫も共同で行い、採れた収穫物を入園者に配分する方法です。

観光農園を始める人と開設パターン

観光農園を始める人のパターンは2つあります。

1.新規就農者が観光農園を始める
2.既存農家が新規事業として始める

いずれも初期費用が生じるものの支援金などの制度があるので、活用するとよいでしょう。

また、観光農園の開設方法も2つパターンがあります。

1.単独開設
2.共同開設

「単独開設」は、自身の農園を一般に開放するパターンです。単独で自由に設計できる分、必要施設の準備などの負担が大きくなります。

一方、「共同開設」は複数の農家と共同で開設するパターンです。単独開設に比べて自由度は下がるものの、駐車場や休憩所などの準備にかかる負担を分け合える点がメリットです。

観光農園を始めるために必要な手続き

観光農園を始めるためには、事前に手続きが必要です。新規就農者・既存農家によって手続きが異なるので、詳しく見ていきましょう。

農地委員会の許可を得る

新規就農者が観光農園を立ち上げる場合、農地を確保したうえで農地委員会の許可を得ます。観光農園を運営するには農地が欠かせません。購入する、もしくは借りるなどして必要な農地を準備。

その後、農地委員会に申請を提出しましょう。農地委員会は各都道府県に設置されており、農地法に基づく売買・貸借の許可などに関する事務を執行しています。

なお、申請手続きに6ヵ月ほどかかるケースもあるので、すぐ開園できるわけではありません。許可が下りるまでの間は事業計画を練るなどして、観光農園の準備を進めておきましょう。

駐車場など設備を整える

既存農家が観光農園を立ち上げる場合、設備を整えます。必要な設備は次の通り。

・駐車場
・トイレ
・休憩所や飲食スペース

観光農園には大勢の来客があります。自家用車で来たり、バスで来たりなど交通手段は様々。そのため、車が複数台停められる広さの駐車場が必要です。また、トイレや休憩所も忘れてはいけません。

いずれにしても、重要なのは土地です。農耕地として活用でき、なおかつアクセスが良好な場所が最適です。国や自治体の支援制度もあるので、忘れずに情報を確認しましょう。

観光農園の始め方


ここからは、観光農園の始め方の例をご紹介します。観光農園で最も多いタイプである「体験区画型」を例に、始め方を見ていきましょう。

場所を決める

まず、農作業を体験できる場所を決めます。必要な面積の目安は15〜20アールほど。場所を選ぶ際は、ご自身が栽培している農作物に影響が出ないよう注意しましょう。

また、駐車場やトイレ、休憩所などの設備を追加する際は「農用地利用計画の変更手続き」が必要なケースもあります。手続きを行わないまま進めると、農地法違反に問われます。

観光農園をどれくらいの規模で運営するのか、どのような施設を追加するのかによって基準が異なるので、まずは農業委員会などに相談しましょう。

開催期間や料金を決める

開催期間や料金は自由に設定できます。しかし、諸条件を考慮しなければなりません。例えば、開催期間は農作物の旬に合わせる。料金は収益につながるよう意識するなどです。

複数の農作物を栽培することで開催期間を伸ばしたり、入場料無料で収穫分を量り売りしたり、農園ごとに手法が異なるので事例を参考にしながら計画を練りましょう。

設備や道具を準備する

駐車場やトイレ、休憩所の他にも下記の設備が必要です。

設備 目的
掲示板 入園者への指示や連絡など
水道 入園者の手洗いなど
洗い場 農具や野菜を洗う
残渣置き場

(堆肥置き場)

収穫後の茎葉などを集積し、堆肥化させる

出典:愛知県「農業体験農園解説の手引

また、入園者が農作物を収穫するには道具が必要です。愛知県「農業体験農園解説の手引」に例がまとめてあるので、確認してみましょう。

名称 必要数
区画数の1/4
スコップ 区画数の10〜15%
移植ごて 区画数の1/4
草かき 区画数の10%
ジョウロ 区画数の10%
バケツ 区画数の10〜20%
区画数の10〜20%
フルイ 区画数の10%
噴霧器 区画数の10%
農薬タンク 2個

必要な人員を確保する

観光農園を立ち上げると追加で、入園者に提供する農作物を栽培しなければなりません。また接客や案内、設備のメンテナンスなども必要です。

今いるスタッフで対応し切れない場合はアルバイトやパートを採用し、必要な人員を確保する必要があります。ただし、スタッフが増えるに伴い人件費も生じるので、収益とのバランスを考慮しながら進めましょう。

HPやSNSなど告知する

お客さんを集めるためには言うまでもなく、観光農園の存在を知ってもらう必要があります。ホームページやSNSでの告知はもちろん、DMなども活用するなどして存在を認知してもらいましょう。

また、Googleマップへの口コミを促すこともポイントです。良い口コミが増えるほどイメージや信用アップにつながります。

観光農園を成功させるポイント

観光農園を成功させるポイントは主に5つあります。

事前調査を入念に行う

まずな事前調査を入念に行ってください。観光農園の成功事例や入園者のニーズ調査などがあげられます。

・どのようなタイプの農園が成功しているか?
・入園者はどのようなニーズを求めているか?
・すでに観光農園がある中、どこで差別化を図るか?

このようなことを調査および言語化し、準備を進めましょう。

集客に力を入れる

観光農園を始めても、入園者が来てくれなければ収益に繋がりません。そこでポイントになる要素が集客です。

近年、情報収集の媒体が多様化しています。前述の通りホームページのほか、TwitterやInstagram、YouTubeなど複数の媒体での情報発信が効果的です。農園開設までの経緯や農作物の栽培状況、入園者の口コミなどをこまめに発信すると良いでしょう。

リピーターになってもらう

農園のリピーターになってもらうには、さまざまな工夫が必要です。おいしい農作物はもちろん、丁寧なサービスを提供することも欠かせません。

見落としがちな所かもしれませんが、施設や道具のメンテナンスもこまめに行いましょう。トイレや休憩所が汚れていると入園者の満足度が下がる恐れがあるからです。

即効性のある施策ではありませんが、少しずつリピーターやファンが増えると、彼らが新しい友人を連れてきて集客にもつながります。

良い口コミが集まるよう工夫する

集客やリピーターを増やすためには、良い口コミが投稿される工夫も重要なポイントです。観光農園に限らず、飲食店や美容室などの店舗も、良い口コミを増やすために工夫を凝らしています。例が下記の通り。

・特典をつけて投稿を促す
・QRコードを活用する
・ポップなどを設置する

また、口コミに返信することも効果的です。定型文ではなく、一つ一つの口コミに合わせて返信することで、信用度の向上にもつながるでしょう。

ビジネスモデルを定期的に見直す

最初に作ったビジネスモデルが正解とは限りません。集客数や入園者の反応に応じて、定期的に見直す必要があります。入園料を見直す、収穫体験だけでなく加工品やお土産なども販売するなど。

しかし、一番大切な要素は「農」をどこまでレジャーに近づけられるかです。農業という枠にとらわれずサービス業の精神を持って「楽しさ」を提供することが、観光農園を成功させる第一歩と言えるでしょう。

まとめ

観光農園は栽培・提供する農作物や設置する設備によって、さまざまなビジネスモデルが存在します。
集客数を増やす施策なども多岐にわたります。

時間がかかるかもしれませんが、観光農園の運営が軌道に乗れば、新たな収益源が生まれる可能性もあります。興味のある方はぜひ、楽しい観光農園づくりにチャレンジしてみてください。

<参考>
農業体験農園開設の手引き:愛知県

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