ごんごろ じゃがいも
フライドポテトやカレー、ポテトサラダなど、子供に人気の料理の素材、じゃがいも。保存も利くので、常備野菜の代表ともいえます。台所の隅で芽を出したじゃがいもに出会ったことのある人も多いのでは?
家庭菜園が趣味の方は「じゃがいもをそだててみよう」のページがおすすめ。種イモの植え方から紹介しています。じゃがいもの花は、かのマリー・アントワネットの胸を飾った美しさ。男爵とメークインでは、花の色が違います。
絵本の中の芋ほりでは、実寸大のじゃがいもがリアルで、今にも本から飛び出してきそうな迫力です。
まっかっか トマト
好き嫌いが分かれる野菜、トマト。フルーツのように甘いので「大好き」と言うお子さんもいれば、青臭さが「嫌い」と言うお子さんもいます。
畑に立ちこめる青いトマトの独特のにおいが伝わるオープニング。その中からひと際赤く色づいたトマトの実が顔を覗かせます。がぶっと食べて、中からゼリー状の種がじゅるーりと出てくるところもリアル。一面トマトのページは、その鮮やかさに圧倒されます。
小学校2年生の生活科でミニトマトなどの栽培を実際にすることも多いので、この絵本はより学習を深めるのにも役立ちそうです。
どででん かぼちゃ
甘みのあるやさしい味わいのかぼちゃ。離乳食の初期から使える食材です。スーパーでカットされ冷凍されたものも売られているので、まるごと1個のかぼちゃを買う機会も減りました。畑にごろんと転がった姿を見たことがある人はとても少ないのでは。
畑でかぼちゃのつるが「しゅるしゅる どんどん つる どんどん」とのびていく様子など、食べるだけでは気づかないかぼちゃの植物としての姿が感じられます。
種類によって食感の違いもあるかぼちゃ。料理の手伝いをしたがるお子さんには、種類の特徴を活かして料理への使い分けができるという面白さも伝えられます。
にににん にんじん
これも身近な野菜、にんじん。きれいなオレンジ色なので、食卓に彩りを添えるために良く使われる食材ですが、苦手なお子さんも多いのではないでしょうか。
最近では土がついたにんじんも売られていますが、土の中で育つことを知らないお子さんも多いのでは。本作では、土の中でにんじんが育っていく様子が詳細に描かれ、見事な葉や花の様子もわかります。
にんじんは料理によって切り方に工夫が必要です。切り方の種類の紹介もあり、少しずつお手伝いを覚え始めたお子さんには、良いお手本になりそうですね。
食育を超えて、食材そのものへの興味が生まれる
食材としての野菜だけでなく、植物・生き物としての野菜にも触れられる『どーんとやさい』シリーズ。どの作品にも、作者いわさゆうこの野菜への深い愛情と洞察が描かれ、それが読者に伝わってきます。
食べるということは、命を頂くこと。目の前にある野菜に“育ってきた過程”があることを知れば、子供たちの野菜を見る目が変わるかもしれません。ただ「美味しい」「栄養がある」という視点を超えて、自分たちの命を支える別の命のチカラを感じるきっかけを、この絵本は与えてくれます。
本作は、お子さんの食育のためだけでなく、大人も食材についての知識を得られる絵本です。本屋さんで見つけたら、実際に手にとってみてはいかがでしょうか。
【参考】 童心社 どーんとやさいシリーズ
【前編はコチラ】超食育!野菜のチカラを感じる絵本「どーんとやさい」シリーズ(前編)