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1皿100円で楽しめる郷土料理ビュッフェ 山形県「やまのごっつおまつり」

1皿100円で楽しめる郷土料理ビュッフェ 山形県「やまのごっつおまつり」

自然に恵まれた山里、山形県鶴岡市朝日地域の人気スポット「産直あさひ・グー」。その直売所の食事処で、年に9回ほど開催されている「やまのごっつおまつり」は、多い時で400名を超す来場者が集まる地域の人気イベントです。リピーター続出という「やまのごっつおまつり」とはどんなイベントなのでしょうか。あさひ村直売施設管理運営組合の佐藤照子(さとうてるこ)主任に話をうかがいました。

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朝日地域の食文化を地場産業に結びつけたい

直売所

産直あさひ・グーは、朝日地域の地場産業と地域の活性化を目的に、2004年にオープンした直売所です。廃業したホテルの建物を利用し、朝日地域で生産された農作物や加工品の直売と、その農作物をふんだんに使った料理を楽しめる食事処を備えています。

直売所で販売する加工品を製造している加工部会のメンバーが中心となり、2011年からスタートしたのが「やまのごっつおまつり」です。初年度は2回、そこから徐々に回数を増やし、2017年度は9回開催しました。

山菜やキノコといった山の幸に恵まれた朝日地域の食文化を、産業に結びつけられないか。考えた結果、自分たちが「ごちそう」だと思って食べてきた郷土料理を来場者にふるまうイベントを開催するという案が出たそうです。

「朝日地域のお母さんたちは、みんなすごく元気。そして料理上手です」と佐藤さん。やまのごっつおまつりの主役は、料理上手なお母さんたちが愛情込めて手づくりした郷土料理や創作料理です。毎回20名前後の参加者が1人2品程度受け持ち、30種類ほどの料理を小皿に盛って並べます。

来場者は、その中から好きな料理を選んで楽しむことができますが、特徴はどの料理も1皿100円ということ。「料理によっては、値段を分けたほうがいいのではないか」という意見も出ましたが、「気軽に食べてもらうには、1皿100円がちょうどいい」と、皆で話し合って現在のスタイルに落ちつきました。

普段の直売所では食べられないごちそうがずらり

直売所

こうしたごちそうを準備できるのは、加工部会のメンバーが自宅に畑を持つ生産者だからです。

朝日地域は豪雪地帯のため、「吹雪になると、客足が一気に減ってしまいます」。仮に天候に恵まれたとしても、予約制ではないため、当日まで何名の来場者があるのかわかりません。メンバーは1品につき50~100名分を準備して、来場者を迎えます。

まずは料理に使用する素材を確保することが先決ですが、自宅の畑で生産している素材を使うのであれば、市場には出回りにくいものでも量を確保できます。また、開催日に安定して収穫できる素材を使って、メニューを考えることもできます。メンバーが生産者であることが強みになっているのです。

直売所では、トチノキの実と餅粉を合わせて蒸した「とち餅」や「とち団子」、餅米を笹の葉で包み、灰汁水で煮たちまき「笹巻」といった郷土菓子や、山菜やキノコ、クルミなど山の幸を使った加工品を販売しています。
やまのごっつおまつりで出される料理は、直売所で販売していないものばかり。普段は食べられない様々な料理が盛られた皿を、あれこれ迷いながら取るというワクワク感が、リピーターの心を掴んでいるのです。

「やまのごっつおまつり」は大事な収入源

直売所

イベントの準備は、料理を作るだけではありません。何よりも大変なのは、「当日の運営」だと佐藤さんは語ります。会計担当、洗い場担当など、さまざまな役割分担を行い、来場者に楽しい時間を過ごしてもらえるように、メンバーが一丸となって動きます。各々得意な分野があるので、事前に打ち合わせを重ねて担当がかぶらないように調整を行うことも重要だそうです。

そうした努力を積み重ねた結果、加工部会のメンバーには副収入が増えました。これまで産直あさひ・グーで手づくりの加工品を販売してきましたが、やまのごっつおまつりを始めて、収入源が増えたそうです。「農作物の生産が安定しない時期には、とてもありがたいことですし、メンバーのやる気にもつながりました」。

来場者の平均飲食料は756円。1皿100円なので、7皿前後食べている方が多いという計算になります。「持ち帰って家族に食べさせたい」「全部の料理を制覇できないので、自宅で食べたい」と、持ち帰り容器を持参してくる来場者もいるそうです。

またイベント開始時間の前になると、来場者が入口に並ぶことも多いそうです。年々来場者が増えていくことも、メンバーの励みになっているそうです。

地域の食文化を次の世代へ残すために

直売所

やまのごっつおまつりが、朝日地域を代表するイベントに成長したのは理由があります。「郷土料理は地域の人でも食べる機会が少なくなっています。そんな郷土料理を食べられることが、来場者を魅了したからでしょう。おふくろの味に懐かしさを感じる人が多いのだと思います」と佐藤さん。

ですが加工部会のメンバーは高齢者が中心で、中には80代の方もいます。体調をみながら無理のない程度に、参加して欲しいと思いながら、やはり課題となっているのは後継者探しです。

「イベントに来てくださる方たちが求めているのは、代々受け継がれてきた伝統の味です。地域のお母さんたちと、地域の味は私たちの宝です。地域の食文化を次の世代に伝えていかなければと思っています。中には30代の若いメンバーもいて、彼女はお姑さんに教わった料理を作ってきます。そういう若い世代を一人でも増やしていきたいです。お母さんたちはやる気十分です」。

次回の「やまのごっつおまつり」は、4月8日(日)10時から開催されます。

鶴岡市でも海側にある庄内浜育ちの佐藤さんは、「最初は豪華すぎると驚きました。山菜もキノコもたっぷり入っていて、こんなに豊富に山の幸を使うのかとびっくりしました」と話します。この場所でしか食べられない、地域のお母さんたちの愛情がいっぱい詰まった料理を食べに出かけてみませんか。

産直あさひ・グー

画像提供:産直あさひ・グー

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