農業サークルとの出会い
高校時代から食への興味が強かったという大坂さん。神戸大学農学部2年生時に、現場での実習機会を求めて体育会ボート部を辞め、農業サークル「にしき恋」の設立に携わりました。体力には自信があり、何ごとも突き詰める性格だという大坂さん。毎週欠かさず、篠山市黒田にあるサークルの畑や地域の農家約10軒の元へ通い、農作業に情熱を注ぎました。「食べることが好き」という純粋な気持ちと、「農作業のすべてを知りたい」という好奇心が原動力だったと振り返ります。
舞い込んだドイツ行きのチャンス-夢の輪郭が顕わに
ある日、農業博士号を持つ学校職員がサークルの圃場を訪れます。大坂さんの手際の良さを見て驚いた彼女は、こう声を掛けます。「海外の農業も見てみる?」。
二つ返事で渡航希望を伝えた大坂さんに、職員はドイツ北部にある家族経営のワイナリーを紹介してくれました。こうして夏休みの1カ月間、住み込みでワイナリーのブドウ畑や醸造現場で働く機会を得ます。日本人は大坂さん一人。外国語で新たなことを学ぶというハードルを越えようと努力しながら、畑で収穫したブドウを敷地内で醸造する過程まで関わりました。作業は毎日朝7時から日没まで、ときには深夜まで及びました。