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「長期修業なし」で新規就農を実現 24歳を支えた“学び場”とは【後編】

「長期修業なし」で新規就農を実現 24歳を支えた“学び場”とは【後編】

大阪駅から電車で約1時間、兵庫県中東部の篠山市。一大消費地の大阪や神戸からのアクセスの良さと、里山の原風景を併せ持つ土地です。ここで特産品の丹波黒(黒豆)や丹波大納言小豆、そして30品目以上の野菜を農薬・化学肥料不使用の有機栽培で生産するのは、大阪市出身のIターン就農農家・大坂宇津実(おおさか・うつみ)さん(24)です。農家に弟子入りなどはせず、いわば「長期修業なし」で新規就農を果たしました。就農1年目から真面目な野菜作りが評価され、すでに企業からの大口注文も受ける彼の礎を築いたものとは―?

「なんだかんだ、農業は大変」-生産者になって気づいたこと

一年目の収穫から、評価を集める大坂さん。彼を支えるのは、サークル時代の農作業や農家のアドバイス、ドイツでの経験、そして本やインターネット経由での独学だといいます。

当時は、「修業を飛び越えて就農した」という大坂さんですが、自分の畑の土壌や気候にぴったり合った栽培方法を、指導本や他所の農家から得ることは難しいため、自らの体を動かしてこの地で吸収したサークル時代の活動が自分を支えてくれました。生産者ごとに栽培方法は異なるため、就農後も自らが納得するスタイルを選べたというメリットもありました。就農の今は、篠山の農家から密にアドバイスを貰うなど、技術のアップデートを欠かしませんが、「現場での実習経験が欲しかった自分にとって、良い経験を積めた場でした」と学生時代を振り返ります。

一方で、特に発信方法面での反省もありました。「農業に関心を持つ学生は、農家の声を代弁しようとするあまり、学生ならではの視点で、良い面を特に強調してしまう癖みたいなものがあると思います。実際僕もそうでした。ときには、実体以上によく見せて発信してしまうことも。でもそういう切り取り方をするのは、『消費者思い』ではなく、発信者側の都合だと僕は思います。」。
なんだかんだ、農業は大変。生産者になってそれを思い知った今は、「格好付けず、泥臭い、ありのままの農業を実践して、こだわって選んでもらえる野菜を作りたい」と願います。そんな思いを「どろんこやさい」という屋号に込めました。

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