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女性目線を活かした農業の魅力を発信!北海道の十勝ガールズ農場

女性目線を活かした農業の魅力を発信!北海道の十勝ガールズ農場

農業にゆかりがなかった女性3人が運営する「十勝ガールズ農場」。農業関連事業を広く手掛ける株式会社アグリファッショングループの事業で、Instagramで写真映えする野菜を栽培するなど、女性ならではの目線を活かして農業を行っています。十勝ガールズ農場の取り組みについて、株式会社アグリファッショングループの代表取締役社長、橋爪恒雄(はしづめつねお)さんに話をうかがいます。

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既存農家の多い十勝で新規就農を決めた「十勝ガールズ農場」

農業女子

アグリファッショングループは、農業関連雑貨のセレクトショップ「アグリファッション」のオープンを皮切りに、十勝の農業の新たな可能性を切り拓くイノベーションカンパニーです。アパレル事業のほか、農村滞在型の余暇活動「グリーンツーリズム(※)」の運営など、農業に関する様々な事業を行っています。

※グリーンツーリズム…農山漁村地域において自然、文化、人々との交流を楽しむ滞在型の余暇活動。

「十勝ガールズ農場」はアグリファッショングループの事業の一つ。農家で育ったわけでも、農家に嫁いだわけでもなく、自分の意思で新規就農を決めた20代の3人の女性が運営している農場です。

3人はもともと北海道新得町の農業体験実習施設「レディースファームスクール」の同期生で、卒業後は地元で自分たちの農場を持ちたいと考えていました。しかし、十勝には新規就農者が参入できる農地がありませんでした。農業が盛んな十勝では、農地のほとんどが既存農家の規模拡大に利用されるため、新規就農者が土地を得て農業を行うことは難しかったのです。

そして卒業後は、十勝の農業法人に勤務することに。しかし、彼女たちは自分たちで農場を持つ夢を諦められず、農地の獲得を目指して再び立ち上がります。

「私が十勝ガールズ農場のメンバーと出会ったのは、十勝で行われる農業機械の展示会『国際農業機械展』の打ち合わせでした。3人の名刺には『農地を探しています』と書かれていて、その名刺をきっかけに、彼女たちを知ったのです」と橋爪さんは語ります。

橋爪さんは、農地を貸しても良いという知り合いの農家と、農地を探していた十勝ガールズ農場のメンバーを結びつけることを考えます。

「そこで、彼女たちをアグリファッショングループで雇用し、十勝ガールズ農場の事業を彼女たちに任せることにしました」。

おいしさと写真映えを兼ね備えた「マイクロ野菜」を栽培

農業女子

まずはアグリファッショングループの知り合いの農地で農業をしていた十勝ガールズ農場のメンバー。その後2017年4月、ついに念願がかなって、帯広に約3ヘクタールの自分たちの農地を取得しました。

農地では、サイズが通常の50分の1程度の野菜「マイクロ野菜」など、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)のInstagram(インスタグラム)で写真映えする野菜などを栽培。マイクロ野菜のラインナップには、ミニトマトよりも小さい「マイクロトマト」のほか、小型のニンジンやパプリカなど、カラフルで可愛らしい野菜が揃います。

「十勝ガールズ農場は規模が小さいため、一般的な野菜の売り方では経営が難しかったのです。そこで、女性目線のマーケティングとブランディングをすることで、通常の野菜と差別化を図りました」。

2017年には、マイクロ野菜をブーケ状にまとめるなど、可愛らしくアレンジした新商品「マイクロベジボックス」を東京都の生花店で販売。贈答用やブライダル用として、東京の販路拡大を図りました。これまで、表参道や自由が丘、銀座、二子玉川などの飲食店やフラワーショップとコラボレーションをしたり、ツアーエージェントと連携し、十勝の観光ツアー内で販売しました。

「マイクロ野菜は小さいながらも、野菜本来の味が凝縮されているので、とてもおいしいです。見た目がとても可愛らしいので、野菜嫌いのお子さんが、マイクロ野菜をきっかけに野菜を食べるようになったという話もいただいています」。

そのほか、十勝ガールズでは、表面の色が異なる13種類のジャガイモ「カラフルポテト」、カラフルな粒が特徴的なトウモロコシ「七色コーン」などを販売。「印象に残るネーミングやブランディングを行うことで、流行の仕掛け人になることを目指しています」。

目指すは観光複合型農業 十勝ガールズ農場の今後

農業女子

十勝ガールズ農場は、とかち帯広空港で「とかち帯広空港マルシェ」を運営。じゃがバターやゆでとうきびといった、簡単なフード・ドリンクメニューをキッチンカーで提供します。十勝ガールズ農場で栽培した野菜はもちろん、アグリファッションによる、可愛らしい野良着など農業雑貨の販売もしています。

今後、十勝ガールズ農場は農業と観光、飲食が融合した「観光融合型農業」を目指していくそうです。

「アグリファッショングループは、農業関係のアパレル・雑貨を販売する店舗も経営していることもあり、地域から『農業関係の観光事業も行って欲しい』と要望を受けていました。そこで、十勝ガールズ農場の就農を機に、観光融合型農業を始めました」。

農業女子

十勝ガールズ農場の畑近くには、「トライアグリ以平の丘」という研修・直売施設を開設。農業に関する研修を受けられるほか、十勝ガールズ農場のメンバーがガイドを務めるグリーンツーリズムの拠点として活用されています。

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また、十勝ガールズ農場では、野菜の収穫体験のほか、マイクロ野菜を自分たちで箱詰めする「マイクロベジボックス」制作体験も実施。その他、大型トラクターの乗車体験や、畑にキッチンカーを横付けし、収穫した野菜を畑で食べる「畑カフェ」も行っています。

「畑にエンターテインメント性を持たせ、多くの人が畑に親しめるような企画を考えて開催しています。今後は十勝ガールズ農場を十勝の地域ブランドとし、新規就農を目指す女性の、研修段階の一つとして育て上げたいと思います」。

農業が盛んな十勝で新規就農し、日々農作業に励みながら、自分たちが考えたオリジナルな農業スタイルを摸索しながら実践している十勝ガールズ農場。マイクロ野菜を贈答用にアレンジするなど、既存の売り方ではない斬新な発想は、大量栽培が主流な現代農業において差別化の大きなポイントになりそうです。

株式会社アグリファッショングループ
画像提供:株式会社アグリファッショングループ

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