住宅地に溶け込む東京の駅近酪農 都市生活の中で親しまれる小俣牧場
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住宅地に溶け込む東京の駅近酪農 都市生活の中で親しまれる小俣牧場

住宅地に溶け込む東京の駅近酪農 都市生活の中で親しまれる小俣牧場
最終更新日:2019年06月21日

酪農と言えば、多くの人がイメージするのは都市部から遠く離れた別天地のような広々とした牧場。しかし東京の都市部にも牧場はあり、牛たちが穏やかな生活を送り、毎日おいしい牛乳を届けています。
住宅地の中で酪農を続ける小俣牧場の小俣行弘(おまた・ゆきひろ)さんは、けっして気負うことなく自然体で、仲間たちとのつながりを大切にして仕事を楽しんでいます。

わくわくミルキングカーの搾乳体験イベント

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トラックの中に本物の牛が

春の訪れを感じさせる3月の土曜日の朝。会場に巨大なトラックが到着し、牧場の牛の絵が描かれた荷台のボディが開くと、中から本物の乳牛が現われました。
そこに総勢6人のつなぎ服の小俣さんの仲間たちが登場し、てきぱきとした動作でセッティングを行うと、そこは搾乳体験のステージに早変わり。八王子市立北野児童館が主催するイベントです。

奮闘する子も大泣きする子も

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体験希望した30人ほどの子供たちが、牛の乗った荷台に上って乳を搾ります。対象は幼児で2歳児中心。みんな興味津々での参加でしたが、いざ子供の目から見たら、牛は象ほどの大きさもあってすごい迫力。保護者といっしょに何とかやり遂げる子がいる一方、搾るどころか、おっぱいに触るのもままならず、泣き出す子もいました。
この体験イベントは毎年行われており、2018年で5回目になるそうです。

仲間と協力してイベント実行

イベントを提供し、子供たちの世話をするのは、近隣の小俣牧場の小俣行弘さんと、仲間の酪農家や学生のスタッフです。それぞれの地域で児童館や幼稚園・保育園、小学校などの要請を受けると、それに応じて酪農家仲間が集まり、協力してイベントを実行します。地域の酪農振興に繋がるこうしたボランティア活動はもう10年ほど続けられています。
トラック(わくわくミルキングカー)は「関東生乳販売農業協同組合連合会」の持ち物で、西多摩の瑞穂町にある車庫からその都度レンタルします。

住宅地の中の小俣牧場

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駅から徒歩10分・バス停前

小俣牧場は北野児童館とは目と鼻の先。じつはこの周辺は京王線・北野駅から徒歩10分足らずの地域。大きな道路沿いの、およそ牧場があるとは思えない、ごく普通の住宅地です。
駅から2つ目のバス停の前にある小俣牧場は、外からはほとんど見えないので車で通り過ぎたら分かりません。実際、長く近所に住んでいても、ここに牧場があることを知らない人は珍しくないそうです。

道路に迷い出て大騒ぎになったことも

行弘さんのお父さんが1966年頃にこの牧場を開いて間もなく、区画整理が行なわれ、それまであった田畑、他の牧場・養鶏場などは次々と姿を消すことに。大きな道路が作られ、周囲はほとんどが宅地化されました。そんな中、牛が誤って道路に迷い出てしまい、大騒ぎになったというエピソードもあります。
しかし、昭和時代の劇的な変化も、行弘さんはあまり意識している様子はなく、「子供の頃から同じ環境ですから」と、平然と受け止めています。

東京牛乳の生乳を生産、牛糞で野菜栽培も

都内のスーパーで売られている「東京牛乳」は、多摩・八王子地域の牧場で獲れる生乳が原料。小俣牧場でも、朝と夕方、1日2回搾った生乳を600リットル(通常の1リットル紙パックで600本分)提供しています。
現在、飼育している牛は、成牛・育成牛(子牛)合わせて32頭です。
また、生乳以外には、牛糞を堆肥にして育てた野菜を、定期的にマーケットで販売。ちなみにお母さんの松子さんは、その自家栽培の野菜などを材料にした惣菜を、八王子道の駅内の惣菜店で販売。地元で「おいしい」と評判の店になっています。

牧場を引き継いだ2代目

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介護職、北海道での修行を経て牧場主に

行弘さんは学校卒業後、いったん介護の仕事に就いた後、酪農の仕事に。すぐに実家には入らず、北海道で3年間、各地の牧場のヘルパー(研修生)として働きました。そして2002年に小俣牧場を引き継ぎ、2代目牧場主に就任。ここは敷地・飼育頭数などは、東京都内では中規模クラスだそうです。
「子どもの頃から牛が好きだったので酪農を仕事にすることにしました。北海道はもとより、関東でも群馬とか栃木などに比べると小さな牧場ですが、現実を考えてどこでもできればオーケー」と屈託なく語ります。

牛の健康がいちばん重要

作業するのは朝6時~11時と夕方5時~9時が基本。一般的な都心のサラリーマン生活とは違うリズムの仕事は、自分に合っていると語る小俣さん。
続けていく上で心がけることについては「東京などの都市部では、牛一頭一頭が元気でいないと儲からない。いかに牛の健康を保つかが一番重要です」と語りました。
近年は子牛の値段が上がり、かさむコストを考えると採算性は厳しいとのことですが、「仕事は楽しい。続けられるところまで続けますよ」と、あくまで明るく楽観的でした。

酪農教育ファーム認証牧場

児童館でのイベントを終え、戻ってきて、使ったトラックを返却するため、仲間といっしょにきれいに清掃する小俣さんの姿はとても充実感に満ちています。
イベントだけでなく、一般社団法人「中央酪農会議」の「酪農教育ファーム認証牧場」に指定されているため、近隣の幼稚園・保育園の見学なども随時受け入れています。
子供たちが身近にふれあいを楽しみ、牛乳を出してくれる牛たちに「ありがとう」を贈る小俣牧場。都市生活の中に自然に溶け込んだ酪農業の見本となる牧場です。

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