特Aランクを8年連続受賞!山形を代表する「つや姫」
つや姫は、2010年に山形県で誕生したブランドで、上品な甘みと粘りの中に、適度な噛み心地とのど越しを感じられるお米です。日本穀物検定協会の食味ランクで、最高位の「特A」を、デビュー以来8年連続(※1)で取得しています。
「つや姫が誕生してから、全国各地で試食プロモーションを行ってきました。試食した方からは、『粒が大きい』、『香りが良い』、『甘い』、『冷めてもおいしい』といった評価を多く受けています。
また飲食店では『丼ごはんや混ぜご飯にしてはもったいないので、白ごはんとして使いたい』という意見が多く、米自体のおいしさを求める料理店などで選ばれてています」(JA全農山形 担当者)。
山形県のつや姫生産者は5,346名、面積は9,303ヘクタール(2017年産 ※2)になり、取扱実績は2万6,000トン(2016年産)と、県を代表するブランド米に成長しています。
販路確保を目的に海外輸出へ
国内で評価が高まる一方で、山形県がつや姫の輸出事業について本格的に力を入れることになったのは、新たな販路確保が目的です。
「食の多様化などの背景があって、国内の米消費量は年々減少しています。さらに販売価格の低下や生産者の収益減少が問題となっていて、国内だけでなく新しい販路を作ることが大切と考えたのです」。
県の輸出事業全般については、2014年度より、山形ブランド推進課で注力していくことになり、全農山形でも同年より県産農産物の輸出拡大に積極的に取り組み始めました。
台湾や香港等の東南アジアにリンゴやラ・フランスの輸出を行っているそうですが、2016年の県産米の輸出先候補になったのがアメリカ、ハワイ州です。
「世界各国の米の消費事情を調べてみると、アメリカでは、50州の中でハワイ州が突出して消費量が高いことがわかりました。日系人や在住日本人が多いことが理由でしょう。現地企業に、県産米の輸出取扱い意向を確認出来たことをきっかけに、2016年4月よりつや姫のハワイ輸出が始まりました」。
ハワイでのプロモーションは大盛況
2016年、ハワイ州オアフ島のショッピングセンターと在ホノルル日本国総領事館にて、山形県と全農山形の共同でプロモーションイベントが開催されました。ショッピングセンターには一般消費者約300名、日本領事館には200名のハワイ要人や業界関係者を招待した大イベントだったそうです。また、2017年には地元の日本食スーパーでプロモーションを行っています。
イベントには、山形全農の運営委員会会長と山形県知事(2017年目は副知事)も参加。つや姫だけでなく、山形牛や県産酒、郷土料理をふるまったり、山形市の伝統芸能である「花笠踊り」を披露したり、山形県全般の魅力をふんだんに織り交ぜた内容だったそうです。
「日本国内でつや姫の知名度や食味評価は高いものをいただいていたせいか、ハワイでもその評判が追い風になったようです。プロモーションではつや姫の品質の高さをPRできましたし、一般消費者だけでなく、現地の飲食店からも『つや姫を採用したい』と引き合いの話もいただいています」。
ハワイへの輸出実績は、初年度の2016年度は10トンでしたが、2年目である2017年度は20トンになる見通しです。
玄米で輸出し「現地精米」で差別化
ハワイへ輸出ができても、現地の販売店の棚には日本国内の様々な国産農産品が並んでおり、商品間の競争があります。そこで、つや姫は玄米で輸出し現地企業が精米を行い、販売店や飲食店へ供給を行うようにしています。
日本からハワイまでの輸送期間は約1ヶ月。精米すると酸化が始まり、食味の低下につながり、特に炊き上がりの香りや食味が悪くなります。おいしく食べられる目安を、JA全農山形では、精米してから夏場は1ヶ月、冬場なら2ヵ月としているそうです。
そのため、精米してからハワイへ輸送するのではなく、「現地精米」だからこそ実現できるおいしさがある、ということをセールスポイントにして、他の商品と差別化を図っているそうです。
また、輸送費用を軽減するための輸出手法がないか検討したり、輸出パートナーを模索したりすることが、課題となっているそうです。
ハワイ進出で一定の成果を見せつつある、つや姫。山形県では、作付量が最も多い「はえぬき」や、2018年にブランドデビューする「雪若丸(ゆきわかまる)」といった個性豊かな県産米があります。全農山形では、ハワイも含め、アメリカ本土や東南アジアなど、農産物と用途にあわせた輸出推進を今後も進めていきたいと考えているそうです。
日本の市場だけでは大きな成長が望めない農産物については、全農山形のように海外市場を視野に入れていく企業、団体が今後もさらに活躍していくことでしょう。