農家の奥さんがレストランを始めたきっかけとは
SNSに投稿したかわいらしいネコの写真が、ネコ好きたちの間で大人気となった中城さん。そんな彼女が今年3月に始めた農家レストラン「八甲城」は、茨城県行方市の食材をふんだんに使ったメニューが味わえる予約制のレストランです。敷地内には、愛らしいネコたちの他に、行方城、別名・八甲城の城跡もあるというから驚きです。食事の後に、城跡を見学するお客さんもいるそうですよ。
農家の奥さんである中城さんは、レストランを経営しながらも、現在ジャガイモ、トマトといった農作物を育てています。もちろん、育てた食材はお店の料理にも使われています。ほとんどのお客さんが「おいしい!」と絶賛するというご飯も、中城さんが育てたお米です。農業やレストランの他にも、行方市の農産物のPRや販売を行う女性ボランティア団体「紅-KURENAI-」の立ち上げや、県から認定を受けて地域のリーダーとして指導やPRを行う「女性農業士」など、中城さんは地域の農業を盛り上げるために様々な活躍をしています。
もともと、行方食材PRのために自家製のお惣菜を売っていたという中城さん。しかし、作ったものがどうしても売れ残ってしまうことがあり、悶々としていたそうです。「せっかく行方のおいしい食材で作ったおかずが売れ残ってしまうことが嫌だなって、ずっと思っていたんです。そこで、お客さまに必要な分だけ料理を作ることができる、予約制のレストランを始めようと思いました」。
農家レストランで使う食材は、中城さんの家で採れたものの他に、女性農業士仲間が育てたものも使っているそうです。「今日は何の食材が採れたか、彼女たちの家を聞いて回れば、その日の食材はほとんど揃っちゃいます。集まった材料から、お店で出すメニューを決めていますね」。農業仲間との交流も、おいしい農家メシには大切です。
野菜本来のおいしさを知ってもらうためのこだわりメニュー
そんな、こだわりの食材で作られる中城さんの農家メシ。初めてのお客さんには、農家ならではの工夫が詰まった「自家製ハンバーグ」を出しています。「実はこのハンバーグ、半分は野菜でできているんです。外食のハンバーグって、炭酸を入れて膨らませていることがあるんですが、うちはその代わりにエリンギで膨らませているんです。エリンギは細かくするとひき肉に食感が似ていて、本当にお肉の塊を食べているような感じになるんです。他にも、ニンジンやタマネギなどを使っています。お客さまに『半分は野菜です』って説明すると、びっくりされますね」。
行方食材の本来のおいしさを味わってもらうために、味付けにもこだわっています。「農家の人って、収穫したものを出荷する前に、ちゃんと身がしまっているかとか、完熟しているかとか、味付けしない状態で、食材そのものの味を確認するんです。そんな野菜本来の味をお客さまにも知ってもらいたいなと思って、味付けはなるべく最小限しかしないですね」。その味付けも、ごま油、マヨネーズなど、どの家庭にもある簡単な調味料しか使っていないとのこと。また、お店で出す料理のレシピも、お客さんへ積極的に教えているといいます。「簡単にできる味付けにしたり、レシピを教えることで、お店の料理をおいしいと思ってくれたお客さまが、行方の食材を買って帰って、お家でも食べてくれたら嬉しいなって思います」。
行方食材を知り尽くした中城さんに聞く、おすすめ食材とは
そんな、行方の食材を知り尽くした中城さんに、おすすめの行方食材を聞きました。「行方では、60品目以上の農産物を扱っているので、おすすめは季節によって違いますね。冬はレンコン。分厚く切って、圧力鍋で煮ただけで、ほっこり、ふっくら、ねっとり…とてもおいしくなりますね。春からは葉物がおすすめです。春キャベツは、余計なドレッシングを使わず、ごま油と塩で味付けするだけで、すごくおいしく食べられるんです」。
かわいいネコたちと共に、行方食材の魅力を農家レストランという形で提供している中城さん。こだわりの農家メシをぜひ味わってみてはいかがでしょうか。
画像提供:農家レストラン 八甲城