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21世紀育ちが創る「むかし未来」 日本と世界を変える里山農業プロジェクトの芽吹き(2/3)

21世紀育ちが創る「むかし未来」 日本と世界を変える里山農業プロジェクトの芽吹き

科学技術・資本主義経済・工業的生産システムが劇的に発達した20世紀。そこで謳われた「人類の進歩」は、地球のあらゆる生命の運命を変えました。
豊かで便利な生活と引き換えに何を失ったのか、社会に問いかける人が増える中、愛知県の田園地帯の一画で「里山農業プロジェクト」が胎動しています。
日本全国にその土地独自の「里山」をよみがえらせ、農作物や伝統工芸品などを生産・供給することで人間の暮らしと自然環境との共存を図る。その大事業のリーダーは、生まれも育ちも21世紀の若者です。

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2002年生まれの里山プロデューサー

里山

田園の生き物研究にハマった少年

このプロジェクトを考案し、実際に活動を推進しているのは、愛知県岡崎市在住の野田崇達(のだそうたつ)さんです。野田さんは2002年生まれ。本記事取材時は弱冠16歳の高校1年生。
同市内の田園地帯で育った彼は幼い頃から自然に親しみ、特にそこに生息する昆虫などの生物に深い興味を示しました。
自由研究での成果は、毎年、市の研究作品展に出展され、岡崎市小中学校理科作品展で「木村資生科学賞」(岡崎市出身の生物学者で、集団遺伝学によりアジアで唯一ダーウィン賞を受けた木村資生博士にちなんで創設)、「未来の科学者賞」などを受賞。将来はファーブルのような昆虫学者になるのを夢見ていたと言います。

伝統野菜を開発した寺院に生まれ育つ

また、彼の家は寺院で、室町時代に住職が地域の伝統野菜「法性寺(ほっしょうじ)ネギ」を開発したという言い伝えがあります。そうした所縁もあって自然に付近の農家と親しくなり、農業に関する体験・知識も豊富に得られたそうです。もちろん自身でも伝統野菜に関する研究を行っています。

失われた原風景

そんな彼に衝撃を与えたのが中学受験直後の出来事でした。1年弱、外での遊びを控えた末に合格を果たし、晴れていつも虫を採っていた田んぼに出かけたところ、そこにはもう何もありませんでした。その農家が高齢のために農地の維持を諦め、手放してしまったからです。 利便性を追って用水路も地中に埋められていました。
永遠に失われた原風景。アイデンティティの一部を奪われたに等しいショックを受けた野田さんはその後、自らの手で自然を守らなくてはと思い、地域のボランティア活動などにも積極的に参加するようになりました。

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