農林水産物のネット購入経験は3割
ネット通販は便利で気軽に買い物できる手段ですが、現物を自分の目で確認して買い物ができない不安や、野菜、果物、肉類、魚介類といった農林水産物の場合、鮮度が落ちてしまうことなどが心配されます。そこで、まず「ネット通販で農林水産物を購入したことがありますか？」という質問を、20～70歳代の男女2,000人に聞いてみました。
すると、「購入したことがある」は全体の31.8%と、約3割になることがわかりました。男女では購入経験の有無にそれほど大きな差はありませんでしたが、年齢別に見てみると、20代、30代に比べて、40代以降の方が購入経験の割合が多いことが判明しました。
農林水産物・その加工品をネット通販で購入した経験の有無
ネット通販購入経験者に、農林水産物をネット通販で購入する理由について聞いてみると、次のような回答が挙げられました。
・店舗まで買いに行く必要がなく楽だから（44.9%）
・一般的に販売しておらず、そこでしか購入できないものがあるから（37.3%）
・価格が安いから（36.7％）
・買った商品の持ち運びがないから（30.7％）
・画面上で様々な商品を比較しやすいから（23.1%）
・生産者等や商品の情報が得やすいから（19.1%）
女性だけに限ってみてみると、「店舗まで買いに行く必要がなく楽だから」や「一般的に販売しておらず、そこでしか購入できないものがあるから」、「買った商品の持ち運びがないから」の回答が特に多く寄せられました。食料品の買い物の負担が軽減される上、こだわりの商品も手に入るということが、ネット通販の魅力と捉えられているのでしょう。
ネット通販で購入経験者が多数の品BEST10
では、ネット通販でよく購入される農林水産物は何があるでしょうか。購入経験者に「これまでにネット通販で購入したものは何ですか？」と聞いた回答結果をランキング形式でご紹介します。
女性が購入したことのある品BEST10
1位 米（48.9%）
2位 果物（42.8％）
3位 魚介類（37.5％）
4位 お茶（34.2％）
5位 野菜（31.7％）
6位 米加工品（29.2%）
7位 果物加工品（24.6%）
7位 牛乳乳製品（24.6%）
9位 水産加工品（22.8％）
10位 豚肉加工品（21.3％）
男性が購入したことのある品BEST10
1位 米（40%）
2位 魚介類（39.7.％）
3位 果物（30％）
4位 牛肉（20％）
5位 米加工品（19.4％）
5位 豚肉加工品（19.4%）
7位 果物加工品（18.4%）
8位 お茶（18.1％）
9位 水産加工品（17.7％）
10位 牛肉加工品（17.4％）
10位 牛乳乳製品（17.4％）
男女ともに購入経験者が高かったのは、米、果物、魚介類の3つ。特に重たい米は、スーパーなどで購入した場合、自宅まで持って帰るのが大変です。ですが、ネット通販では自宅まで配送してもらえることが、人気を集めているのでしょう。
また、男性は肉製品が人気が高いのに対し、女性はお茶や野菜を好んで購入しているようです。一方、ネットでの購入経験者が少ないものには、キノコ、鶏肉、鶏卵などがありました。
期待されるネット通販人気商品
今後のネット通販による農林水産物の購入については、経験者のうち「現状維持」が79.5％、「増やしたい」が15.1%と回答。未経験者では「購入してみたい」と答えた人が28.1%になりました。ネット通販市場はますます拡大していくものと考えられますが、ネット通販で期待値の高いものには何があるでしょうか。
「今後ネット通販で購入したいものは何ですか？」と聞いた結果、消費者の期待が高い商品は次のとおりでした。
1位 米（43.9％）
2位 果物（32.5%）
3位 果物加工品（28％）
3位 魚介類（28％）
5位 牛肉（26.2%）
6位 米加工品（25.1%）
7位 お茶（24.5％）
7位 豚肉加工品（24.5％）
9位 果物加工品（28％）
10位 牛肉加工品（24.3％）
「ネット通販で人気の品」と同じような商品がランキングに並びましたが、「購入したことがある」と答えた人より「購入したい」と答えた人の割合が高かったのは、牛肉、牛肉加工品、豚肉、豚肉加工品、鶏肉、鶏肉加工品でした。肉類の購入経験者はまだそれほど多いわけではありませんが、「今後は肉もネット通販で買ってみたい」と考えている方が多いのでしょう。
生産者・商品情報が必須
最後に、「ネット通販の事業者に期待すること」について聞いてみました。その結果、「配送量を安くしてほしい」「商品の価格をより安くしてほしい」よりも回答が多かったのが「生産者や商品の情報をもっと提供してほしい」でした。
ネット通販の事業者に期待すること
商品を自分の目で見たり、手で触ったりして確認できないネット通販だからこそ、作り手や商品の情報を詳しく知りたいと思うのは当然のことかもしれません。ネット販売を考えている生産者は、できるだけ商品のことや作る工程などについて細かく紹介することが、「商品のことをよく知って、買ってもらう」ためには必要になるのではないでしょうか。
自分が育てたものや加工したものを、市場に卸すことだけが販路ではありません。ネット通販を検討したいと思っている方は、これらの情報を参考にしてネット販売について考えてみてはいかがでしょうか。
2016年3月 日本政策金融公庫調べ
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