全国唯一の“醸造”学科―農大のスケールを感じる展示
東京農業大学の醸造科学科(醸造学科)は全国の大学で唯一、「醸造」を名に冠している学科です。1950年の設置以来、酒造業界へ数多くの人材を輩出してきました。
東京・世田谷区の「食と農」の博物館には、醸造科学科を卒業し、全国で酒造りをしているOB蔵元の酒瓶280本が常設で展示されています。ライトアップされた色とりどりの酒瓶は美しく、人気銘柄を見つけて醸造科学科のスケールを感じるのも一興です。
ほかにも、醸造学科の創立者・住江金之(すみのえ・きんし)氏が収集した、地域・文化ごとにユニークな特徴を持つ酒器200点や、昔ながらの酒の製法が分かるミニチュア展示など、お酒に関する理解を深められる展示物が並んでいます。
来場者から寄せられた「見るだけではなく飲んでみたい!」という声に応えようと、全国のOBOG蔵元に参加を募り、試飲フェアの初開催が決まりました。
30ml 2万円!希少酒も登場
入場料は無料で、試飲は100円(30ml)からとお手頃。ラインナップには、「〆張鶴」や「南部美人」など人気の銘柄が並びます。
「昭和51年 純米秘蔵古酒」(千葉・亀田酒造)といった“超貴重”な銘柄もあります。お値段は、20,000円(30ml)。目が飛び出るような価格ですが、ファンにとっては40年以上熟成した古酒をグラス単位で楽しめる特別な機会です。
もともと、同博物館で開催するセミナーなどお酒にまつわるイベントは、インターネットでの情報公開と同時に申し込みの電話が鳴るほど、日本酒ファンから注目を集めていました。
現在、Facebookのイベントページ上で同試飲会に興味を示しているユーザーは5700人以上。反響を鑑みて、あまりに来場者が多い場合は当日の入場に制限をかけることも検討しているといいます。
「産地や銘柄ごとの違いを楽しみながら、味わって欲しい」と、黒川孝明(くろかわ・たかあき)事務室長。各社がブース形式で出店する予定とのことなので、実際に飲みながら、蔵元のこだわりを直接聞くチャンスです。新たな出合いの機会をお見逃しなく!
農大蔵元試飲フェア 第1回
日 時:2018年6月17日(日)13:00~16:00
会 場:博物館1階映像コーナー
入場料:無料
試 飲:1杯(30ml)100円~
主 催:東京農業大学「食と農」の博物館
協 力:朝日屋酒店(世田谷区赤提1-14-13)
出展蔵元・銘柄の詳細はこちら
出展蔵元:
山梨・武の井酒造(株)、栃木・宇都宮酒造(株)、新潟・宮尾酒造(株)、千葉・亀田酒造(株)、静岡・富士錦酒造(株)、山形・(有)新藤酒造店、兵庫・(株)本田商店、栃木・森戸酒造(株)、岩手・(株)南部美人、広島・藤井酒造(株)、茨城・大嶋農場(株)
北海道命名150周年 「オホーツク展」で北の大地を知ろう
「北海道」の命名150周年と、東京農業大学・生物産業学部(オホーツクキャンパス)の開校30周年を記念して、企画展「北海道オホーツク展」も開催されています。
北海道の酪農地帯を象徴する麦稈(ばっかん)ロールや、シカやクマなど北海道の多様な生態系を表すはく製などが並びます。黒川事務室長は、「北海道の自然の雄大さを感じて欲しい」と話します。
同大学の創設者で、幕末明治に蝦夷共和国の設立を構想した榎本武揚は、産業化の基礎となる天然資源調査の実施や小樽開発を行いました。北海道開拓において重要な役割を果たした、榎本に関する展示もあります。
26日、27日の関連物産展では、生物産業学部食香粧化学科の学生が、地元のビール会社の協力を得て醸造したビールの販売も行います。榎本の開拓精神を現代に受け継ぎながら、北海道の大自然と産業を分析し、地域や異業種と連携した実学主義の教育研究の数々も理解できる同企画展。常設展と合わせて、足を運んでみてはいかがでしょうか。
北海道オホーツク展 ―北海道の未来を「農」の力で切り拓く―
日 時:平成30年4月25日(水)~8月5日(日)
会 場:10:00~17:00
休館日:月曜日(※4/30、7/16は開館し翌火曜休)、4/29、月末最終火曜日
入場料:無料
主 催:東京農業大学生物産業学部
後 援:北海道、網走市、JAオホーツク網走
会 場:東京農業大学「食と農」の博物館 1階企画展示室A・B
〒157-0098東京都世田谷区上用賀2-4-28
【関連サイト】
東京農業大学 「食と農」の博物館
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