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農業はクリエイティブ! 子育てとの両立も実現させた女性の取り組みとは?

農業はクリエイティブ! 子育てとの両立も実現させた女性の取り組みとは?

最終更新日:2018年09月11日

仕事と子育て、どちらもがんばりたいと考える女性たちの多くは、自らの働き方に悩んでいるのではないでしょうか。茨城県水戸市でフルーツトマトを生産する三浦綾佳さんは、出産直後に、それまで未経験だった「農業」の世界に飛び込みました。販売業や広告代理業で得たスキルを活かしながら、クリエイティブな農業のあり方を追求し、トマトのブランディングやプロデュースにも力を入れています。さらにフレックスタイム制などを採用して、子育て中の女性の雇用にも取り組んでいます。今回は、そんなパワフルな農業女子、三浦さんにお話をうかがいました。

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三浦綾佳(みうら・あやか)さん プロフィール
広島県出身。2013年に株式会社ドロップを創業。栄養士・野菜ソムリエプロの資格を生かし、ドロップファームの代表として、フルーツトマトの生産・ブランディング・販売を担う。株式会社ドロップ代表取締役、ドロップファーム代表、栄養士、日本野菜ソムリエ協会認定 野菜ソムリエプロ。

未経験だったからこそしがらみなく農業の世界に飛び込むことができた

――なぜ産後という心身ともに大変な時期に、あえて新しい世界、それも「農業」という分野に飛び込んだのですか。

広告代理店で働いていたときに農業のICTの広告に携わったこともあり、ツールをうまく活用すれば、農業分野で新しい働き方ができるのではとずっと考えていました。妊娠中に、広告代理業は子育てとの両立が難しい、ではどんな仕事、職場なら両立できるか考えた候補の一つに農業が思い浮かびました。働きやすい場所がないなら自分で作るしかない。子どもが生まれたその月に「農業法人を立ち上げよう!」と決めました。

――子どもが生まれたからこそ、より女性が活躍できるところを探した結果が農業だったのですね。

産後すぐに、水耕でも土耕でもなく、ハイドロゲルでできたフィルムに苗を植えるという栽培方法があるということをテレビで知ったんです。土づくりが必要なく初心者でもやりやすいため、これなら自分にもできると思い、まだ赤ちゃんだった子どもを抱っこしながら研修先を訪問したりして勉強しました。人生で一番勉強したのはこの時期ですね。自分自身に農業経験がなかったからこそ、何のしがらみや不安もなくこの世界に飛び込めたのだと思います。

――自分に農業ができるかどうかしっかり分析したうえで判断されたのですね。

しっかり稼げないと、家族も従業員も困りますから、まずはビジネスとして農業を成り立たせることが大切ですよね。私は農業については初心者だったけれど、作ったものをマーケティングしてブランディングして売れるものに仕上げるのは広告代理業の知識が使える、それを販売するときは販売業の知識が生かせるという点で、自分の強みをすべて生かせるのが農業でした。

自ら子育てと農業の仕事を両立し、雇用でも子育て中の女性を積極的に採用

――農業と子育てとの両立で苦労しませんでしたか。

「ドロップファーム」では、特殊なフィルムのうえでトマトを栽培していますが、そのシステム作りには、最初かなり苦労しました。時間内に作業が終わらず、子どもの保育園のお迎えに間に合わないときは夫に協力してもらっていましたね。ただ、何よりもつらかったのは周りの目です。やはり、小さな子供を抱えながら、新たな事業を開始することに対して、冷たい視線を浴びることももちろんありました。

――現在はどのようにして両立されているのでしょうか。

さまざまなツールを使って、農場管理に役立てています。今はスマホなどでもハウスの中の温度や湿度、日射量などを確認できます。いわゆる「見える化」された農業です。陽の当たる日中は、トマトの様子を見ながらそばで細かく判断していく必要があるのですが、チームで仕事をシェアすることができています。私自身も毎日17時半には仕事を終わらせて、そのあとは100%母親の自分で過ごすことができています。

――スタッフも子育て中の女性が多いのですか。

パートの女性8人のうち、6人は子育て中の女性です。子どもがいても気兼ねなく働ける環境を作りたいという思いから、残業ゼロ、フレックスタイム制や夏休みの導入などを行っていて、人員募集をするとたくさんの方から応募をいただいています。働き方改革と言っても、女性の働きやすい職場がまだまだ少ないという現実を強く認識しますね。

野菜を作るだけの農業からクリエイティブな農業を切り拓いていきたい

――ドロップファームの強みとは何ですか。

私たちが作っているフルーツトマトは、何より甘さが自慢で平均糖度が大体10度あります。また、余分な肥料を与えることなく、安心・安全な方法で育てられているというのも大きな強みです。そのトマトがいい商品なのはもちろんのこと、私たちはさらにそれに付随する高いサービスを提供したいと考えています。

――具体的にはどのようなことをしているのですか。

接客や企画については、「一流の満足感」をお届けできるように努力しています。また、トマトを出荷できない8月から10月の間に、ドロップファームのことを忘れないでもらいたいという思いから、高品質なジュースも作っています。商品棚に、年中ドロップファームの商品を置いてもらうことで、ブランドの価値を高めていきたいと考えています。

――三浦さんのそのパワフルな行動力の源とは、いったい何なのでしょうか?

自分が働きたいという気持ちを持っていることが大きいかもしれないですね。あとは、明確な目的を持っていることです。私の場合は、「生産者としては消費者の人たちに、経営者としては働く人たちに、笑顔になってもらいたい」という目標を実現させたいと考えています。そのためにはどうすればいいのか、どのようなストーリーを辿っていけばいいのかということを常に考えて、行動しています。

――今後の展望を教えてください。

フルーツトマトの生産という一つのベースがあるので、それをどう利用していこうか考えたときに、たくさんの候補があってワクワクしています。農業というと、ネガティブなイメージを持たれがちですが、どうやってイメージを作るかは自分次第だと思っています。今は野菜を作るだけが農業という時代ではなく、作ったものをどうプロデュースしていくのかが大事な時代。農業はとてもクリエイティブな職業なので、時代に合っていると考えています。自分としても、子育てと両立しながら、農業という仕事を追求していきたいですね。

写真提供:河西ほなみさん(ドロップファーム農場チーフ)

ドロップファーム

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