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若手農家3人組が配信 農業系ラジオ「ノウカノタネ」ってどんな番組?

若手農家3人組が配信 農業系ラジオ「ノウカノタネ」ってどんな番組?

最終更新日:2018年07月26日

「農家による、農家のためのインターネットラジオ」が、誰が聞いても面白いと密かに人気を集めています。福岡の若手農家3人組が2014年に開設以来、160回以上の放送を重ねてきました。進行・編集などプロデューサー役を務める農家の鶴田祐一郎(つるた・ゆういちろう)さんに、お話を伺いました。

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若手農家3人の“ゆるキレ”トークがさく裂

ゲストを交えた収録風景。収録は、鶴田さん所有の空き家で行います。

ほんわかとした博多弁で、農業界に蔓延(はびこ)る課題に鋭く切り込む―。

福岡県の農家が発信する農業情報を、農作業をしながら好きな時間に聞けるインターネットラジオ番組「ノウカノタネ」が、生産者を中心に人気を集めています。

パーソナリティを務めるのは、「つるちゃん」こと鶴田祐一郎さん、「コッティー」こと久保田夕夏(くぼた・ゆうか)さん、そして「てつ兄」こと毛利哲也(もうり・てつや)さんの3人です。福岡市内の若手農業者の連絡会で出会い、20~30代だった2014年に放送を始めました。7月下旬時点の配信で、通算166回となりました。

各回で設けるテーマは、おすすめの資材情報など実用的なものから、農政に対する本音、野菜の糖度を追求しすぎる風潮への疑問の投げ掛け(「糖度競争よ、とまれ!」)など鋭い切り口のものがあります。

2つのお題「親父がトラクターをとめた、なぜ?」、「ニンジンの育て方を教えてください」に対して、読者からのひねりの効いた回答を紹介する回(「農業大喜利」)はユーモラスで、筆者は一人で聞きながら声を出して笑いました。

定期的にゲストも迎えています。野菜の袋に貼るシールなど、多くの農業パッケージを手掛けるデザイナーをゲストとし、「農業、パッケージデザインで何が変わる?」というテーマでインタビューしました。「野菜の品種よりも、特徴を描くべし」、「“生産者の顔が見える野菜”というのは、パッケージに農家のオッサンの顔写真を載せることではない。ただしキャラクターなら可」などという実用的な話から、「デザインとは何か」という本質的な所まで話が及びました。

番組ロゴなどのデザインを依頼したことが縁で、デザイナーをゲストに迎えました。

鶴田さんは、「素人なので、進行方法を反省することもありますが、それ自体が普段の仕事では考えないことなので面白いです」と話します。

「台本なし」だからこそのリアル

「ノウカノタネ」を配信する鶴田さん。「『聞いています』と言われると、めちゃくちゃ嬉しいです」。

番組の進行役や、企画・編集などプロデューサー役を担当する鶴田さんは、兼業農家の家庭で育ちました。地元大学の文学部を卒業したのち独立就農し、ナスなどの野菜を作りながら、福岡市営の園芸公園で果樹栽培の技術指導員として働いています。他の農家が配信するポッドキャストを農作業中に聞いており、自分もやってみたいと思い立ちました。

久保田さんと毛利さんはそれぞれ大学で農学を学び、就農。「二人とも自ら農業という道を選んだからか、普段からよく勉強し情報のインプット量が多い。それをアウトプットしたら面白いのではと思った」と、2人を口説いた鶴田さん。3人とも未経験でしたが、農業について若手農家同士で語り合うこと自体が楽しいと、番組制作にめり込んでいきました。

テーマは、3人が最近関心のあるニュースや時事問題、肌で感じている農業界の課題などから選びます。台本はなし。鋭い切り口でのやり取りと、仲良し3人の朗らかな雰囲気の両存が、クセになる居心地の良さを醸し出しています。

「農家ポッドキャスト」戦国時代の到来を夢見て

番組でメッセージが読まれると貰える「軽トラに貼るオリジナルステッカー」

ポッドキャストとは、「アメリカでは3人に1人は聞いているレベル」(鶴田さん)というインターネットラジオの一種。個人や企業が発信する様々なジャンルの番組を、無料でダウンロードして好きな時間に聞けることが特徴です。今年6月には、グーグルがAndroid用のポッドキャストアプリ「Googleポッドキャスト」の提供を開始。日本でも今後の利用者増が期待されるメディアです。

「ノウカノタネ」のリスナーは、その8割以上を20~60代の、後継ぎや新規就農者を中心とした農家が占めます。ですが、定期的に「非・農家のタネ」という特集回を設け、農家以外のリスナーからのメッセージを募っています。「通勤電車での楽しみ」「農業について知識がないので、新鮮な発見がある」などと好意的な投稿が全国から寄せられました。最近は農家以外のリスナーの割合も増えていて、全体のダウンロード数も伸び続けています。

鶴田さんは「雑談なのに聞いてくれることが有難い」と前置きしながら、「どんな人も何かのプロ。(他業種の人が)普段考えていることを聞くのは面白いのだと思う」と分析します。自身もITエンジニアらが配信する番組を聞き、ヒントを得ることがありました。

鶴田さんの番組運営へのこだわりは、「何かを発信しようとしない」ということ。「押し付けがましくなってしまうので、リスナーへ伝えたいメッセージというのは意図的に持っていません。頭の中を見せ合うような雑談から、何かを考えるきっかけを見つけてもらうのが理想ですね」。

配信を通して全国のリスナーとやり取りをするようになり、「農業に対する思いを吐き出したい人が多いことが分かった」といいます。「今は色々とツールがあるので、皆も思っていることを発信すればいいなと思います。スポンサー不在で、素人がやるコンテンツ独特の面白さが求められる時代だと思っています」。

将来的には農家のリスナーから希望者を募り、配信ノウハウを教えて、全国に「農家ポッドキャスト」のネットワークを作りたいといいます。「全国の農家が、競い合って面白い番組を発信する日がくれば」と、ポッドキャストから農業界を盛り上げようとする姿が垣間見えました。

***

「何かを伝えたいとかは、特にないです」。笑顔で断言する鶴田さんですが、番組を聞いていると、農業者が発する言葉だからこそ、リスナーに‟最短距離“で届くのだなと思わされます。農業に興味のある人は、ぜひダウンロードして番組を楽しんでください。

【関連リンク】
『ノウカノタネ』農業podcast

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【Androidスマホをお持ちの方】
【iPhoneをお持ちの方】

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