ラディッシュは初めてのベランダ菜園にうってつけの野菜です。
算数の足し算、英語のThis is a pen、国語の「くじらぐも」です。菜園の教科書があればラディッシュはそれらにあたると思ってよいでしょう。This is a ラディッシュ。
ただし、全く失敗がありえないかと言うとそんなことはなく、栽培というものがどういうものであるか、ラディッシュを育ててみるとよく分かります。
種をまくということ、間引きをするということ、害虫に食べられるということ、全てがわかりやすく詰まった教材とも言えます。1カ月もかからずに収穫に至りますので、ぜひ初めての人に挑戦してみてほしいと思います。
時期を問わず育てられるのも魅力ですが、3月に種をまく「春まき」、10月に種をまく「秋まき」が病害虫の心配も少なく、程よい温度も確保できてつくりやすいでしょう。
ラディッシュの土づくり
ラディッシュは、二十日大根と呼ばれるだけあって栽培日数が少ない、いわゆる小さな大根です。日本全国で栽培することができるため場所は選びません。
プランターで育てる場合は、ホームセンターで手に入る肥料入りの培養土をそのまま利用してください。プランターは市販されているものであればどんなに小さいものでも栽培可能です。
種まき・育苗用のセルトレイというトレイでも栽培できます。こちらもホームセンターで購入できます。
畑に植える際は、ラディッシュのためだけではなく、その後植える作物のためにも1平方メートルあたり堆肥2キロと石灰50グラムを土に混ぜておきましょう。
石灰と肥料を同時にいれると、化学反応を起こすことがあるので、種をまく2週間前に堆肥と石灰を土に混ぜておき、1週間前に化成肥料を50グラム混ぜて、種まき用のベッドとなる畝を用意します。
ラディッシュの種まき
ラディッシュの種まきは、基本的に筋まきと呼ばれるまき方を採用することが多いです。
一直線に土を1センチ程度へこませて、そこに1列に種を落としていきます。約1センチ間隔くらいでどんどんまいてしまいましょう。
2列以上まく場合は列と列の間を5センチほど空けておきます。
種まきが終わったら、土を被せてたっぷり水を与えましょう。
ラディッシュの間引き
ラディッシュの間引きは、本葉が2枚ほど揃ったころ。発芽して最初に出てくる双葉ではなく、その後に出てくる少しギザギザした大きい葉を本葉と呼びます。
本葉が2枚のころに、たくさん出てきた芽のうち、最後まで育てるものだけ残して取り除きます。
大きすぎるものや小さすぎるもの、葉の形が良くない奇形葉のものを間引いて均一な状態にしましょう。株と株の間が5センチ程度空いていれば大丈夫です。
要らないと分かっているのにたくさんまいておくのはもったいないように思いますが、人類が農業を始めて8000年、試行錯誤を繰り返した上で最も効率の良い方法になります。
種はポツンと一つだけまかれるよりも、周りにたくさん仲間がいた方が発芽しやすくなりますし、スペースも無駄になりません。
しかし、間引きせずにそのまま育てていくと、ひしめき合ってお互いがくっついてつぶれたり、養分を取り合ってどちらもうまく育たなかったり、風通しが悪くなって病気になりやすくなったりします。
子供のころはみんなで仲良く育った方が良いのですが、大人になると独り立ちさせて自主性を持たせた方が大きく健康に育つのです。
農家に愛される間引き菜の食べ方
大根やカブなどのアブラナ科の野菜はどれも、生産の過程で大量の間引きした葉っぱが出てきますが、間引きした葉や根もおいしく食べることができます。
全国の農家が同様にやっているかは分かりませんが、筆者の地域では、アブラナ科の間引きされた青菜を漬物にして食べることが多いです。塩で浅漬けした葉っぱを細かく切り刻んで醤油をかけるだけで、ご飯がどんどん進みます。アブラナ科のピリッとした辛みが絶妙においしくて止まりません。筆者も実はダイコンそのものよりこっちの方が好きです。
ショウガを入れたり、かつおぶしを入れたり、また漬物じゃなくても炒め物やスープにでも使えますので存分に楽しみましょう。
ラディッシュの収穫
ラディッシュは時期にもよりますが、1カ月足らずで収穫に至ります。
食べられるサイズになったらどんどん収穫していきましょう。あまり置いておくと大きくなりすぎて皮が硬くなります。
おいしい野菜を食べるためには、収穫適期に収穫するということが大変大事になります。どんなにおいしい品種をどんなに手間ひまかけて作ろうとも、とるべき時期を逃すと途端においしくなくなります。
特にラディッシュはあっという間に収穫適期になってしまうので、とり逃がしの無いように気をつけましょう。
ラディッシュの病害虫
ラディッシュにも害虫は発生します。
特にダイコンハムシやヨトウムシは、アブラナ科の植物を植え付けるとどこからともなく現れ、あっという間に葉っぱを食い尽くしますが、ラディッシュについても同じことが言えます。
農薬をかければよいのですが、生で食べることも多いですし栽培期間も短いので、防虫ネットをかけて物理的に虫が寄り付かないようにしてしまいましょう。
以上がラディッシュの栽培です。気負わずに初めての園芸で取り入れてみましょう。
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