カリフラワーの栽培時期
イタリアやフランスの地中海沿岸地方が原産とされるカリフラワーは、昼間20〜25度、夜間10〜18度程度でよく成長します。氷点下になると花蕾(からい:カリフラワーとして食べる白い部分)が凍害を受けやすいので注意が必要です。花蕾ができるためには一定期間低温にあうことが必要で、その感応の程度は極早生(ごくわせ)から晩生(おくて)まで品種によって異なります。そのため、種の袋に書いてある種まき時期を守ることが、立派な花蕾をつけるための第一条件になります。春まきと夏まきができますが、低温に向かっていく夏まきが育てやすいでしょう。
カリフラワーの土づくり
植え付けの半月〜1カ月前に堆肥(たいひ)と石灰を入れて畑を耕しておきます。土壌酸度はpH6.5前後が目安です。それから1週間あけて、元肥を施します。苗の植え付け1週間前までに高さ10〜15センチ程度の畝を立てておきます。土壌が酸性やアルカリ性に極端に傾くと正常な花蕾ができません。家庭菜園で土壌酸度を測ることは難しいですが、これまでちゃんと作物が育っている土地ならばあまり気にしなくていいでしょう。
カリフラワーの播種(はしゅ)
夏の暑い時期に種まきをするので、苗の管理はちょっと大変です。少量を育てるならばホームセンターで苗を買うのがいいでしょう。最近はオレンジや紫など色とりどりのカリフラワーがあり、何色かそろえると畑もにぎやかになって楽しいのでおすすめです。
50株くらい植えたい!という場合は種まきから育ててみましょう。種をセルトレイやペーパーポットにまく場合は1、2粒まきとし、発芽したら間引きして1本立ちとします。ポリポットの場合は2〜3粒まいて、発芽後1本立ちにしておきます。
間引きをするのがもったいないという人におすすめの方法もあります。まず、大きい鉢や発泡スチロールの底に穴をあけたものに3センチ間隔に種をまきます。本葉が2枚程出たらポットに鉢上げするか、畑に移植してさらに大きく育てます。これだと芽を出した苗はすべて利用することができますよ。
種をまいたら5ミリ程度覆土し、たっぷり水やりしてからぬれた新聞紙をかけておきます。温度が高すぎると芽が出ないので、苗箱は涼しいところに置きましょう。夏場は2、3日で発芽します。芽が出たら直ちに新聞紙を取り除き、日当りのよいところに移動させましょう。決して遅れてはいけません。遅れると徒長といってひょろひょろの貝割れ大根のような苗になり、その後の生育がとても悪くなります。
カリフラワーの育苗で気をつけたいのは徒長、立枯れ病、虫の3点です。徒長を防ぐため、日当たりのよい場所で育苗します。立枯れ病というのはカビによる病気で、苗が腐って枯れてしまいます。温度が高く、湿度も高い場所では立枯れ病が出やすくなります。水やりは朝たっぷりして、夕方には乾くくらいにしましょう。曇りの日はしおれていなければ水やりをしなくて大丈夫です。また、カリフラワーはアブラナ科のため、アオムシに食い荒らされます。苗の頃から防虫ネットをかけておくか、農薬を散布して虫から守りましょう。
カリフラワーの定植
セルトレイとペーパーポットの苗は本葉3〜4枚、ポット苗と地床苗は本葉5〜6枚で定植します。夏の暑い時期に植える場合は夕方涼しくなってから植えましょう。苗と、苗を植える穴の両方にたっぷり水をあげておくのがコツです。
栽培中に農薬を使わずに育てたい場合は、植え付け後すぐに防虫ネットをかけておきます。ただし既に虫がついている場合は一度農薬をかけてからネットをしたほうがいいでしょう。また、定植の時に苗にしみ込ませる農薬や、株元に置くタイプの農薬は効果が長く続き、農薬の使用回数を減らせるので検討するといいでしょう。株間は40〜50センチで、株間を広くとったほうが大きなカリフラワーが収穫できます。
カリフラワーの中耕・除草・追肥
定植から2週間くらいたったら除草をかねて中耕し、追肥します。中耕は土の中にすきまを作るので根の酸素の吸収が良くなり、成長をぐっと促進します。カリフラワーはキャベツや白菜に比べ背が高く倒れやすいので、必ず土寄せも一緒にしてあげましょう。追肥は1条植えの場合は畝の肩に、2条植えでは畝の中央に溝を掘り、その中に入れます。肥料の上には土をかけて大雨で流れないようにしておきます。さらに2〜3週間後に2回目の追肥、中耕、土寄せをします。カリフラワーは肥料をたくさん必要とするので、追肥は1回に1株あたり化成肥料(N:P:K=8:8:8)を50グラムあげましょう。
カリフラワーの花蕾を大きくするためには葉っぱが大きく成長する必要があります。きちんと中耕・追肥を行うことで初期生育が良くなるので、この作業は遅れずにやるようにしましょう。葉がたっぷりと茂らなければ小さなカリフラワーしかできません。ここが栽培の頑張りどころです。
真っ白なカリフラワーをつくるコツ
花蕾が大きくなってきたら、純白のカリフラワーを目指して一手間かけましょう。
写真のように、でき始めのカリフラワーは葉に包まれていますが、大きくなるにつれて、葉っぱから出てきます。すると、白い花蕾の部分が日焼けして黄色くなってしまうのです。そのため、葉を一本切って、花蕾の上にかぶせてあげます。これで日焼け対策はばっちりです。寒くて花蕾が凍ってしまいそう、という心配がある場合は、葉をかぶせるよりも、葉を数枚持ち上げて縛ってあげるとよいでしょう。こうすることで花蕾を寒さから守り、傷むのを防ぎます。オレンジや紫など、色付きのカリフラワーを育てる場合はこの作業は不要です。
また、虫に食われるとその場所が紫色に変色することがあります。カリフラワーの花蕾は青虫やナメクジが食べるので注意しましょう。
カリフラワーの収穫
カリフラワーが12〜15センチくらいになったら収穫します。カリフラワーはとり頃が見た目にわかりにくいのですが、収穫が遅くなると表面がプツプツとけばだってくるので、普通はその前にとります。ただし、農家の中にはカリフラワーを長く畑においておき、花蕾が広がった頃に食べるのが好きという人もいます。これはこれで甘みがあってこりこりとした歯ごたえがなかなかおいしいので、試しに一株やってみてはいかがでしょうか。
カリフラワーにつく主な病害虫
害虫はアオムシ、ヨトウムシ、コナガ、アブラムシなどが発生します。特に苗の段階でアオムシ類がつくと、苗がなくなるほどに食べられてしまうので注意が必要です。育苗段階から防虫ネットをかけたり、化学農薬のほか、有機JASにも認定されている生物農薬のBT剤も効果的です。大きく成長してからは寒い時期に入ることもあり、虫に関する悩みはほとんどなくなるでしょう。
病気は根こぶ病、モザイク病、育苗時の立枯れ病などがあります。根こぶ病は土壌が酸性の時に起こりやすいので植え付け前に石灰でpHの調整をしたり、苗専用の農薬をかけると効果的です。また、病気のカリフラワーを見つけたらすぐに畑から持ち出して処分しましょう。
カリフラワーはブロッコリーのようにわき芽を次々に収穫することはできないので、一度収穫するとおしまいです。
最近はカラフルなカリフラワーや、「カリフローレ」という茎の長いタイプ、らせん状の花蕾が美しい「カリブロ(ロマネスコ)」などちょっと変わった品種も販売されています。
冬の野菜はどうしても緑と白ばかりなので、カラフルなカリフラワーは畑で見るにも食卓で使うにも重宝します。ぜひさまざまな品種を育てて彩り豊かな家庭菜園に挑戦してみてください。