カモ類11種
現在、狩猟ができるカモ類は11種に決められています。カモは非常に種類が多く、捕ってもいいか否かを判別するのは簡単ではありません。オスとメスで羽の色が異なり(カルガモを除く)、メスは地味な色をしているために判別が困難です。メスを判別する際はカモがつがいになる習性を利用して、そばにいるオスで判断するのが一般的です。
カモは「陸ガモ」と「海ガモ」に分類され、一般的に「陸ガモ」の肉はおいしく、「海ガモ」は臭みが強いとされています。
カモ類には捕獲数の制限があり、合計して1日5羽が上限です(ただし網を使用する場合は猟期通じて合計200羽まで)。
<陸ガモ7種>マガモ・カルガモ・コガモ・ヨシガモ・ヒドリガモ・オナガガモ・ハシビロガモ
基本的にカモ類はシベリアなどの北方で繁殖し、越冬のために日本に渡ってくる冬鳥です(一部地域で繁殖しているものもいます)。カモ類の中でカルガモだけは一年を通して国内に生息する留鳥(りゅうちょう)ですので、季節を問わず住宅地周辺の川などでも見ることができます。
「陸ガモ」は「陸」とついていますが、陸で生息しているわけではありません。湖や池、川などにいて、陸上や水深の浅い所でエサを取るのが「陸ガモ」です。水中に潜らず、首だけを水の中に突っ込んでエサを取ります。
<海ガモ4種>ホシハジロ・キンクロハジロ・スズガモ・クロガモ
「海ガモ」は「海」とついていますが、海だけでなく湖や池などにもいます。「陸ガモ」と違って潜水が得意で、全身で水に潜って深いところにいる貝などのエサを取っています。
「海ガモ」の肉は臭みが強くて非常にまずいそうです。同じカモでも「陸ガモ」の肉はおいしく、カモ鍋などの料理に重宝されています。ふだん食べているエサが違うと、それだけ肉の味も変わるのですね。
市街地でも見かける鳥など
ヒヨドリ・ムクドリ・キジバト
ヒヨドリやムクドリは、庭や公園でも見られるなじみ深い鳥です。ヒヨドリは果実や花の蜜が好きで、春はよくサクラの蜜を吸いに来ます。冬になると、畑のキャベツやブロッコリーの葉を食べてしまうことも。ヒヨドリの肉はとってもおいしくて、狩猟者は丸焼きなどにしていただきます。みかんを食べている個体の肉は柑橘系の香りがするとか、しないとか……!?
キジバトは狩猟鳥ですが、よく似たドバトは非狩猟鳥です。キジバトは捕獲制限数が1日10羽までとなっています。
スズメ・ニュウナイスズメ・ハシブトガラス・ハシボソガラス・ミヤマガラス
捕ってもいいスズメは2種いますが、街でよく見かけるのは「スズメ」です。「ニュウナイスズメ」は局所的に林などで生息しています。
カラスは言うまでもなく害鳥No.1ですね。狩猟者がカラスを捕るのは基本的に駆除のためですが、肉も食べられないことはないそうです。ただ、やはりおいしくはないようです……。
山や田んぼなどにいる鳥
キジ(コウライキジを含む)・ヤマドリ(コジシロヤマドリを除く)・コジュケイ・エゾライチョウ
国鳥のキジは、鳥撃ちの間でとても人気が高い狩猟鳥です。キジ料理は料亭でも高級品ですね。ヤマドリ、コジュケイも人気があります。エゾライチョウは北海道だけに生息している鳥です。捕獲制限数は、キジとヤマドリは合計1日2羽まで、コジュケイは1日5羽まで、エゾライチョウは1日2羽までとなっています。
※ キジのメスとヤマドリのメスは平成34年9月14日まで捕獲禁止です。
タシギ・ヤマシギ・カワウ・ゴイサギ・バン
田んぼでよく見かけるのがタシギ、山にいることが多いのがヤマシギです。どちらとも、細くて長~いくちばしが特徴。長いくちばしを地面に刺して虫などのエサを取っています。タシギとヤマシギは合計1日5羽までに捕獲数が制限されています。
川や湖にいるカワウは生息域拡大中の害鳥です。体長約80センチもある大型の鳥で大食漢なため、アユの漁業被害が深刻化しています。繁殖時はコロニーと呼ばれる巣の集合体を作り、コロニー1カ所には500から600羽のカワウがいるのだとか……。恐ろしい数です。
ゴイサギは夜行性で、夜になると川などに小魚を取りにきます。バンは田んぼやハス田などに生息する黒い鳥で、大きな声で「クルルッ」と鳴きます。バンの捕獲数は1日3羽までに制限されています。
鳥猟では、鳥が目の前に現れた一瞬のあいだに狩猟鳥か非狩猟鳥かを見極め、捕ってはいけないものを間違えて仕留めないようにしなければなりません。しっかりと鳥の色形を覚え、生息地や鳴き声についても知ることが大切なのです。
※ 上記の情報は2018年7月31日現在のものです。
※ 狩猟鳥獣については、都道府県によっては捕獲が禁止されているほか、捕獲数が制限されている場合があります。狩猟をする際には必ず登録都道府県に確認してください。
参考文献:「狩猟読本」(大日本猟友会発行)
【前編はこちら!】狩猟できる動物は48種に決められている! 前編・獣類20種