“生きてるプランター”とは
実は僕、プランターでの野菜づくりはすごく苦手でした。なぜなら毎日コツコツ続けるのは無理なタイプなので、水やりを続けることができません。また、プランターの場合、土の栄養がなくなってしまうと、わざわざ土を捨ててまた買って来ないといけない。これがとても面倒なのですぐにやめてしまうのです。
しかし、水やりの頻度をかなり減らせて、しかも土の入れ替えをしなくても良い、さらに化学肥料が要らないという画期的なプランターの作り方があることを知りました。それが、これからご紹介する“生きてるプランター”です。
今はそれを「生きてるプランターワークショップ」という形で、広める活動をしています。今回はそのプランターの仕組みと作り方をご紹介します。
なぜ土の入れ替えが要らないのか
通常、プランターで野菜を育てると、土の栄養は野菜に吸われて無くなっていきます。ですので新たに土を入れ替える必要が出てきます。“生きてるプランター”の 仕組みは、プランターの中に「野菜と相性の良い微生物が増えやすい環境」を整えるものです。微生物が土の中のエサを食べて、それによって分解されたものが野菜の栄養となるので、微生物のエサさえ土に足していけば、繰り返しそこで野菜が育つという仕組みです。
生きてるプランターの3つのポイント
①野菜と相性の良い微生物が増えやすい土を作る
土の中の微生物はなんでも良いわけではなく、野菜と相性が良い微生物を増やしていくことが重要です。野菜は自分の力だけでは土から十分に栄養を吸収することができないので、根に共生している微生物の力を借りることで、栄養を効率よく吸収することができるのです。
野菜と共生する微生物が増えやすい土の条件とそのために使用する資材は以下の通りです。それぞれの資材については後ほど説明します。
微生物が増えやすい土の条件 | 使用する資材 | |
---|---|---|
1 | 土がふかふか(水はけが良い) | バーミキュライト、籾殻くん炭(もみがらくんたん)、赤玉土 |
2 | 水保ちが良い | 赤玉土、ピートモス |
3 | 微生物のエサが十分にある | 腐葉土、ピートモス、山土 |
4 | ミネラルバランスがとれている | 腐葉土、草木灰、籾殻くん炭、山土 |
5 | 植物性原料主体の土であること | 化学肥料や動物性堆肥を使用していない資材 |
②地温の変化を防ぐ
プランターと畑が違う条件の一つが、地温が変化しやすいということにあります。土の量も少ないですし、側面から日差しや風が当たることで、地温が高くなりすぎたり、低くなりすぎやすいのです。地温が高すぎても低すぎても野菜と相性の良い微生物の活動は鈍ります。特に地温が上がりすぎると根腐れの原因となる細菌が増えやすくなるため注意が必要です。そのためにプランターの内側に断熱効果のあるものを入れたり、プランターそのものを木材やフェルトの厚い生地など、断熱効果のある素材を使用して作ります。
③保水層を作る
プランターは普通、底の方に軽石などを敷いて、水はけをよくします。これは主に根腐れを防ぐ目的で行います。しかし根腐れさえケアできれば、むしろ底の方に水の貯められる保水層を作った方が、水やりの頻度を減らせるという大きなメリットが生まれます。
生きてるプランターの作り方
具体的な生きてるプランターを作る手順をご紹介します。上のポイントを押さえた上で、できるだけホームセンターなどで手に入りやすい資材を中心にご紹介します。
土の材料
A. 上層の土(体積比%)
山の土 | 45% | 落ち葉が積み重なっているところの土。なければ畑の土や黒土など |
腐葉土 | 15% | 落ち葉が分解されたもの |
赤玉土 | 15% | 小粒を使用 |
バーミキュライト | 10% | 軽石を焼いたもの |
ピートモス | 10% | 苔を乾燥させたもの |
草木灰 | 2% | 枯れ草や木の灰 |
籾殻くん炭 | 3% | 籾殻(もみがら)を炭にしたもの |
B. 保水層の土
これは黒土・まさ土・畑の土・赤玉土を砕いたものなど水もちが良い土ならなんでも良いです。
作る手順
1.Aの材料を全て混ぜます。プランターの容量より少し多めに作っておきましょう。
2.プランターの側面に断熱材を貼ります。プランターを二重にすることでも、ある程度断熱効果は期待できます。
3.プランターの底にBの土を入れて、しっかりと固めます。
4.その上にAの土を入れます。あとから水やりなどをするにつれて、どんどん土が下がっていきますので、最初は淵から1cmくらいまで多めに入れましょう。
5.そこに種をまいたり、苗を植え付けて、完成です。さらに土の上に腐葉土などを敷いておくと、土の乾燥を防げ、微生物のエサにもなるのでオススメです。
生きてるプランターのメンテナンス
野菜を収穫していくうちに土の中の微生物のエサも減っていきますので、定期的に足してやる必要があります。野菜の収穫が終わる度に、全体の5%ほどの腐葉土と草木灰を入れて混ぜ込めばOKです。
一度作ってしまえば手入れが楽な“生きてるプランター”。家庭菜園とまではいかなくても、手軽に野菜作りを楽しみたい方は、ぜひ挑戦してみてください!
◆そーやんからお知らせ
普段はワークショップでこの土をみんなで混ぜて作っていますが、一人でこれだけの材料を集めてつくるのはなかなか難しいですよね。そこで現在、生きてるプランターの材料をセットにして、オンラインショップで販売することを企画しています。早ければ今年の10月中旬あたりから販売する予定ですので、準備が整いましたらこちらでも告知させていただきます。
◆次回の予告
次回は、皆さんの常識が覆る「根(?)」の話です。
上の図のように野菜の根の先は、細かく枝分かれしているというのは皆さんもご存知だとは思います。でも実は先端の細い部分は根ではないって知っていましたか? この驚きの正体と働きを知っていると、野菜づくりにとても活きてきますので、ぜひお読みください。お楽しみに!
次の記事:これって根じゃないの!?畑の下に広がるネットワークの正体【畑は小さな大自然vol.11】
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