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林業って新規参入できるの? 映画「ウッジョブ!」が面白い【林業を知ろう】

連載企画:林業を知ろう

林業って新規参入できるの? 映画「ウッジョブ!」が面白い【林業を知ろう】

前代未聞の林業映画として話題を呼んだ「WOOD JOB!(ウッジョブ!)~神去(かむさり)なあなあ日常~」をもう見ましたか? 都会で暮らす人になじみのなかった“林業”という職業を描いたこの映画は、若者が林業に参入する過程を見せてくれました。ここでは、映画「ウッジョブ!」のあらすじと、実際に地域で行われている新規就業のための「林業研修」について紹介します。

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「WOOD JOB!(ウッジョブ)~神去なあなあ日常~」

(c) 2014「WOOD JOB! ~神去なあなあ日常~」製作委員会


「WOOD JOB! ~神去なあなあ日常~ DVDスタンダード・エディション」
価格:3800円+税
発売元:TBSテレビ
販売元:東宝

映画「ウッジョブ!」とは

林業がテーマの映画「ウッジョブ!」は、林業に携わる村人や自然との触れ合いを通じて主人公が成長する姿を描いた青春ドラマです。作家・三浦しをんさんのベストセラー小説「神去なあなあ日常」が原作で、監督は「ウォーターボーイズ」「スウィングガールズ」などのヒット作を送り出してきた矢口史靖(やぐち・しのぶ)監督です。

「ウッジョブ!」のあらすじ

チャランポランな男子高校生の勇気(染谷将太)は大学受験に失敗、彼女にもフラれ、散々な状態のまま卒業式を迎えます。そんな時、街でふと目にしたパンフレットの美女(長澤まさみ)につられ、軽い気持ちで1年間の林業研修プログラムに参加することに。

ローカル線を乗り継いで降り立ったのは、ケータイの電波も届かないド田舎の神去(かむさり)村でした。厳しい先輩・ヨキ(伊藤英明)のもと、勇気は過酷な作業に耐え続けます。林業はいつも危険と隣り合わせ、村人とのコミュニケーションも簡単ではありません。「ウッジョブ!」は都会で暮らす人にはわからない、林業の世界をのぞかせてくれる作品です。

林業への新規参入

都会の若者が林業家になるまでを描いた「ウッジョブ!」。主人公・勇気のようなケースは、林業に全く縁の無い人が、ゼロから林業の世界に入っていく一例でもあります。

作中で勇気が参加した「林業研修プログラム」は、実際に林野庁が実施している「緑の雇用」という人材育成事業がモデルとなっています。

林業研修プログラムとは

林業に従事する若い女性は「林業女子」と呼ばれ、近年増えています
(画像は「ウッジョブ!」とは関係ありません)

森林組合って何?

森林を所有していない人が林業に従事するには、地域の森林組合の職員になるか、民間の林業会社に就職するという方法があります。

森林組合とは全国に600以上ある協同組合で、森林の所有者が組合員になっています。現場職員は、組合員に対して経営を指導したり、組合員の森林で間伐や下草刈りなどの仕事を行ったりしています。

しかし、林業は、就職したらすぐバリバリ働けるという仕事ではありません。地形に応じた高度な技術と知識が必要であり、一人前と認められるまでに最低3~5年かかると言われています。未経験者は「林業研修」で講習や実習を受ける必要があるのです。「林業研修プログラム」や「緑の雇用」について詳しく知りたい方は、各地域で行われているガイダンスに参加するとよいでしょう。

研修の内容

では、林野庁の「緑の雇用」では、実際に何が行われているのでしょうか。

「緑の雇用」は、新規就業者の研修を行う森林組合や林業会社を支援する補助事業です。「緑の雇用」に認定された研修生は「緑の研修生」と呼ばれます。

まず「緑の研修生」は、就業前にトライアル雇用(最大3カ月の実地研修)を受け、林業が自分に合っているかどうかを試すことができます。

チェーンソーの使い方も学べます
(画像は「ウッジョブ!」とは関係ありません)

次に地域内の「緑の研修生」と一緒に集合研修の「林業作業士(フォレストワーカー)研修」を受け、機械の取り扱いや安全などについて学びます。研修プログラムは3年間で、未経験でも基礎から必要な能力を身につけることが可能です。研修年次に応じて内容はステップアップしていきます。

さらに、就業経験5年以上の人を対象とする「現場管理責任者(フォレストリーダー)研修」、10年以上の人の「統括現場管理責任者(フォレストマネージャー)研修」もあります。

若い林業家が増えている

農業

林業従事者は激減、若手の林業家は増加傾向に!

木材の輸入が全面自由化されてから日本の林業は低迷し、林業従事者はどんどん減少しています。1980(昭和55)年には約14万6000人でしたが、2015(平成27)年は約4万5000人となっています。

一方で、林業における若年者率(35歳未満の割合)は1990(平成2)年以降増加しています。「緑の雇用」事業を実施して以来、新規就業者数が少しずつ増え、2016(平成28)年度は3055人となりました(林野庁調べ)。

実は、就職の選択肢として林業を選ぶ若い人が増えているのです。かつての林業は、「きつい・汚い・危険」の「3K」と言われ、敬遠されてきました。それが、田舎暮らしや森林への関心などから、魅力ある職業として見直されつつあるのです。

木材自給率の上昇

木材の自給率は2011年から7年連続で上昇。2017年は36.1%でした(林野庁調べ)。戦後に植林された木が育ち、今、日本は宝の山を抱えているとも言われています。

農業

もちろん、労働災害が多い、収入が不安定だといった問題点が改善されたわけではありません。しかし、これからの林業に可能性を見出す若手がいて、各地で新しい風が吹き始めています。

近年、林業体験ツアーや森林ボランティアの実施が増えています。林業に興味のある人は、まずはこれらに参加してみるのはいかがでしょうか。林業への理解を深めることは、人と自然の関わり方を考え直すきっかけにもなりますよ。

「緑の雇用」

参考文献:「図解 知識ゼロからの林業入門」(家の光協会)

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