ふるさと納税のワンストップ特例制度とは?
ふるさと納税のワンストップ特例制度とは、確定申告をしなくても同等の控除効果が受けられる制度です。ふるさと納税をしたことがない方にとってはなじみのない制度かもしれません。詳しい内容についてご案内します。
ワンストップ特例の特徴
従来、ふるさと納税をして控除を受けるためには確定申告をする必要がありました。一方で、サラリーマンのように会社で年末調整が行われ、本来であれば確定申告をする必要がない方にとって、ふるさと納税のためだけに確定申告をするのは手間になってしまいます。
2015年から始まったワンストップ特例制度は、確定申告をしなくてもふるさと納税の控除が受けられる制度です。条件を満たしている方は、確定申告と同額の控除を得られます。
ワンストップ特例の利用条件
ワンストップ特例制度の利用条件についてご紹介します。
■もともと確定進行が必要ない方
ワンストップ特例制度を利用して控除を受けられるのはもともと確定申告の必要がない方に限られます。給与が2000万円を超える方や複数の収入がある方は確定申告を行う必要があるため、ワンストップ特例制度を利用できません。
また、確定申告を行うとワンストップ特例制度の手続きが無効になります。そのため、住宅ローン控除や医療費控除など、ふるさと納税以外に控除受ける必要がある方は、ワンストップ特例制度を利用しても意味がありません。
■1年間のふるさと納税の寄付先が5自治体以内
ワンストップ特例制度を利用できるのは1年間の寄付先が5自治体以内の方です。6自治体以上に寄付した場合は利用できません。
確定申告との手続きの違い
同等の控除効果が得られる確定申告とワンストップ特例制度ですが、厳密には以下のような細かな違いがあります。
確定申告 | ワンストップ特例制度 | |
---|---|---|
条件 | 確定申告が必要な方 | 確定申告が必要ない方 |
寄付できる自治体数 | 無制限 | 5自治体以内 |
手続き回数/td> | 1回 | 寄付の都度 |
期限 | 翌年の3月15日 | 翌年の1月10日 |
所得税還付 | 有 | 無 |
住民税控除 | 有 | 有 |
確定申告で申告できる自治体数には基本的に制限はありません。ワンストップ特例制度は5自治体以内の場合にしか利用できませんが、同一の自治体に複数件数寄付した場合はひとつの自治体としてカウントされます。
最も大きな違いは、控除の対象です。確定申告では所得税の還付と住民税の控除が行われるのに対し、ワンストップ特例制度では住民税の控除のみが行われます。基本的に、どちらを選んでも控除額の総計は同額です。
ただし、限度額を超えてふるさと納税を行った場合はその限りではありません。ふるさと納税で控除される住民税のうち、特別分には住民税所得割の2割という上限が設けられています。さらに、ワンストップ特例制度で所得税のかわりに控除される額は、住民税特別分の控除額から計算されます。そのため、限度額を超える額をふるさと納税し、ワンストップ特例制度で控除を受けると、確定申告よりも控除額が少なくなってしまうケースがあるのです。
ワンストップ特例の申請方法と流れ
条件に該当する方に限り、確定申告なしでふるさと納税の控除が受けられるワンストップ特例制度。確定申告の手間を回避できる非常に便利な方法ですが、申請は所定の手順に沿う必要があります。ワンストップ特例制度の基本的な流れをご案内します。
Step1.申請用紙を用意する
ワンストップ特例制度には所定の申請用紙があります。申請書は総務省のホームページからダウンロード可能です。ふるさと納税サイトによっては、申請用紙をマイページ上で提供しているケースもあります。
申請用紙には、氏名、住所、連絡や性別、生年月日などの一般的な個人情報のほか、個人番号(マイナンバー)の記入が必要です。寄付先自治体の首長名や寄付の日付も記入します。確定申告をしない確認欄や寄付先の自治体が5つ以内である確認欄もあります。
Step2.本人確認書類やマイナンバーを用意する
ワンストップ特例制度を申請するためには、申請用紙に本人確認書類のコピーを同封する必要があります。申請に際して本人確認書類と認められるのは以下の組み合わせです。
A. マイナンバーカード(両面コピー)
B. マイナンバー通知書 + 運転免許証、パスポート、健康保険証、年金手帳など自治体が認めている書類から2点以上
C. 住民票(マイナンバー記載) + 運転免許証、パスポート、健康保険証、年金手帳など自治体が認めている書類から2点以上
Step3:申請書類を自治体へ送付する
寄付先の自治体に上述した必要書類を送付します。提出期限は寄付年の翌年1月10日です。間に合わなかった場合は、確定申告を行う必要があります。
複数の自治体に寄付を行っている場合は、それぞれの自治体に送付しなければ申請が受理されません。ひとつの自治体に複数件寄付している場合は、複数の申請書類を一度に同封できます。
申請内容に変更があった場合は、1月1日までに、「申告特例申請事項変更届出書」に必要事項を記入して寄付先の自治体に送付します。書類は総務省ホームページでダウンロード可能です。
まとめ
サラリーマンなど本来であれば確定申告をする必要がない方は、一般的にワンストップ特例制度を利用してふるさと納税の控除を受けています。確定申告とは控除対象が異なりますが、限度額の範囲でふるさと納税をする場合は損をすることはありません。
確定申告の手続きは煩雑なものです。会社員として働いている方であれば、一度も確定申告をしたことがないという方も多いでしょう。ぜひ、ワンストップ特例制度を利用し、住民税控除の恩恵を受けてください。