アスパラガスの育て方とポイント
アスパラガスは若い芽を食べる
アスパラガスは、若い芽の部分(実際は茎)を食べる野菜です。春になって地表に萌芽(ほうが)してくる若茎(わかぐき)を収穫します。
グリーンアスパラガスとホワイトアスパラガスとの違いは栽培方法です。盛り土をして、光をさえぎることで白いアスパラガスになります。また、近年では紫色の品種もあります。
涼しい気候を好み、日本では北海道や長野県が主な産地ですが、四国や九州でもハウス栽培で育てることができます。露地栽培やハウス栽培などの栽培方法ごとに収穫時期は異なりますが、一般的には春から夏にかけて収穫します。
育苗のポイント
アスパラガスの根は言わば養分の貯蔵庫で、根に蓄えられた養分を使って成長します。株が大きくなるほど、収量が上がる可能性があります。
種をまいてから十分な栄養を蓄えられるように1~2年間は株を養成する必要があり、そのあいだは収穫できません。
アスパラガスは一度植えると、10年以上、毎年栽培できる多年生植物です。種から育てることもできますが、セル苗(※)を買ってきて定植すれば早ければ翌春には収穫が可能です。その手間や収穫までの時間を考えれば、家庭菜園でアスパラガスを育てる際には、苗を購入して育てるほうがお手軽かもしれません。
※ 細かく仕切られた容器(セルトレー)の中で育てられた苗。
日当たりが重要
アスパラガスは日当たりの良い場所を好みます。
春から夏は日光を浴びて養分を蓄えます。25センチほどになった若茎を収穫しますが、丈夫な茎はそのまま5~6本程度残します。残した茎(親茎や養成茎と呼びます)は、光合成を行わせるために育てます。これを立茎(りっけい)と言い、葉が茂って光合成が行われることで、萌芽に使った根の養分がまた蓄えられていきます。親茎以外の若茎が萌芽してきたら収穫できます。
親茎は冬には黄色く枯れます。黄色くなったら、地表に出ている部分は根元から刈り取り、焼却するなどして処分します。
すると土中に残った根に蓄えられた養分を使って、春の訪れとともに萌芽してくるのです。
おいしいアスパラガスを育てるために
背の高い茎と、深い根
一般的にアスパラガスは2メートル以上にも育ちます。なかにはてっぺんまで手が届かないなんてものも。支柱を立てネットを張って、茎が倒れないように安定させましょう。
さらに根は深さ1メートル以上、幅1.5メートル以上にも広がります。
湿害と乾燥には弱いため、あらかじめ排水性の良い土壌に植えて、堆肥などを使って豊潤な土壌を作り、水をたっぷり与えることも大事なポイント。
また、水やりのときに液体肥料をあげるのも良いでしょう。
アスパラガスの病気
アスパラガスには茎枯(くきがれ)病という、致命的な病害があります。
茎に褐色の斑点ができて、悪化すると、茎葉全体が枯れてしまいます。
薬剤の使用や発病した茎の除去など、防除を定期的に行い、雨よけや泥はねなどの対策をしましょう。
また、冬には寒さで凍害になることもあります。堆肥やマルチなどで地上面を覆うなどして、凍害を防ぎます。
アスパラガスをプランターで育てるには?
アスパラガスは上述のとおり、深く根を張ります。そのため、プランターで育てるには小型以上で深型のものが必要になります。また、長期的に収穫できるため、丈夫なものを選ぶといいでしょう。
排水性を良くするために、赤玉土をプランター底に敷き詰め、その上に培養土を入れて、育てます。
アスパラガスの水耕栽培
アスパラガスの水耕栽培は可能なのでしょうか。
土を使わず、水と液体肥料で育てる水耕栽培なら、広い畑も必要ありませんし、室内で気軽に試してみることができます。
アスパラガスを水耕栽培で育てることも可能ではあります。ただし、茎葉が大人よりも高くなり、根も深く広くなることから考えると、あまり自宅でアスパラガスの水耕栽培というのは向いていないと言えます。
また、10年以上収穫が可能な多年生植物でもあり、その間の水の管理を考えれば、難しいことが想像できます。
アスパラガスの栽培に詳しい明治大学農学部農学科専任准教授の元木悟(もとき・さとる)さんに聞くと、「アスパラガスの水耕栽培は、試験栽培ではできるのですが、経済栽培(収入目的の栽培)が厳しいため、ほとんど行われていません。私どもも企業様と実用化に向けて研究を進めているところです」と答えてくれました。
アスパラガスをおいしく育てるには、根に養分を蓄えることが重要です。根が元気になれる環境を用意して、おいしいアスパラガス作りを楽しんでみてはいかがでしょうか。
記事協力:明治大学農学部農学科専任准教授 元木悟