東海地方の特徴
3000メートルを超す飛騨山脈の山間部から、海抜0メートルの地帯もある濃尾平野まで、多様な自然環境を持つ東海地方。それぞれの地域の気候や、大都市・名古屋を有しながら関東・近畿へもアクセスがしやすいという販売に有利な立地条件を生かして、野菜や果樹などを中心に幅広い種類の農作物が作られています。
例えば、温暖な気候や豊富な水を生かして愛知県で多く生産されているキャベツは、その生産量の約半分が関東地域へ。岐阜県では、夏は涼しい高地で、冬は平坦地で多くのホウレンソウが生産され、生産量の約半分が近畿地域へ出荷されています(2012~2016年平均、農林水産省統計部)。
広大な山々で育ったブランド牛が有名な三重県と岐阜県
では、各県の特徴を見ていきましょう。一年中緑が絶えないと言われるほど温暖な気候と肥沃(ひよく)な農地を生かし、多様な農産物を生産しているのは三重県。暖かな気候なので、通常よりも1カ月ほど早く収穫できる「早場米」の産地としても有名です。
県の東部に位置する伊勢平野では、米を中心に、収穫量全国3位を誇る茶等の栽培が行われています。北勢地方を中心に生産されているナバナは、出荷量全国1位を誇り、全国の約3割のシェアを占めています。また、三重県と言えば、松阪牛や伊賀牛といった和牛も有名ですよね。肉用牛(黒毛和種)は、北勢・中勢・南勢地域において多く飼養されています。甘くコクがある上品な香りや、滑らかな舌触りが特徴です。
岐阜県は、北の飛騨地方と南の美濃地方とで気候が大きく異なります。飛騨地方の山間地は標高が高いため、その冷涼な気候を生かし、夏秋トマトや夏ホウレンソウなどの野菜、モモやリンゴといった果樹、夏菊などの花きの栽培が行われています。また、山々を利用した酪農、肉用牛の生産も盛んです。きめ細かく、とろけるような霜降りが特徴の飛騨牛も、岐阜県が誇る人気のブランド牛として知られていますね。
飛騨地方に対して、夏は暑く冬は寒い上に、気温の日較差が大きいのが美濃地方。西側では大根、ニンジンなどの露地栽培、トマト、イチゴなどの施設野菜の栽培が行われています。また、南西部に広がる濃尾平野では、稲、麦、大豆などの作付けが盛ん。中濃・東濃地方では、栗、花き栽培や、豚・鶏などの家畜生産や酪農が行われています。
愛知県、静岡県の農業は?
愛知県といえば、自動車産業など工業が強いイメージがありますが、農業に関しても全国有数の県です。名古屋市という大消費地を有する恵まれた立地や、多様な自然条件を生かして、地域ごとに特徴のある農業を行っています。
温暖な気候と豊富な水を生かし、全国屈指の農業地域として特に有名なのが東三河地域。露地栽培のほか、ガラス温室やビニールハウスを用いた施設栽培も盛んで、キャベツやトマト、シソなどが全国での産出額上位を誇っています。渥美半島での栽培が盛んな電照菊は、菊の性質を利用し、農業用ハウスの夜間照明により人工的に開花時期を調整することで、一年を通しての出荷が可能になっています。
そのお隣である静岡県も、オートバイやピアノの製造など、工業で有名なイメージがありますが、冬でも日照時間が多いことや、温暖な気候を生かして、多種多様な農作物の生産が行われています。
中でもご存じ、茶は茶園面積、収穫量が全国の約40%を占めるほど。牧之原、磐田原、天竜川流域の山間部など、静岡県は20を超えるお茶の産地を有し、日本一の茶どころとして有名です。また、ミカンの生産も全国上位。「青島温州(あおしまうんしゅう)」という、甘みが強く濃厚な味わいの品種が多く作られています。
今回は東海の農業をご紹介しました。どの県も恵まれた立地や気候を生かして、さまざまな農業を行っていますね。東西の大消費地にも近く、多くの農産物を供給している東海地方。あなたが今日食べた野菜も、実は東海地方産かもしれませんよ。
※ 生産量・産出額はいずれも2016年、農林水産省調べ。
参考
東海3県(岐阜・愛知・三重)の食料・農業・農村(PDF):農林水産省東海農政局
三重の農林水産業:三重県
岐阜県農業の動き(PDF):岐阜県
よくわかるあいちの農業(PDF):愛知県
静岡県の日本一Myしずおか日本一:静岡県