なんで狩猟ができるのは「冬」なのか

ヒヨドリ
狩猟ができる期間のことを猟期(りょうき)と言います。日本の猟期は原則11月15日~翌年2月15日(北海道は10月1日~翌年1月31日)に法律で定められています。ハンターたちにとって11月15日は待ちに待った狩猟解禁日です!
猟期が「冬」に定められているのには、2つの大きな理由があります。1つ目の理由は、誤射の危険性が低いからです。冬は木から葉が落ち、草が枯れ、山野の見通しが良くなります。また、農閑期で里山で作業をする農林業者が減るという事情もあります。

スズメ
2つ目の理由は、鳥獣の保護を図るためです。鳥獣の大部分は春夏が繁殖期であり、その間は狩猟ができなくなっています。鳥類においては渡りの時期も考慮されています。
また、猟期だからと言って狩猟はどこでもできるわけではありません。狩猟ができる場所も定められています。各都道府県に狩猟者登録をすると、ハンターマップと呼ばれる「鳥獣保護区等位置図」を示した地図が配られます。ハンターマップには、住宅密集地はもちろんのこと、休猟区や鳥獣保護区など狩猟ができない場所が示されています。公道やお寺なども狩猟が禁止されています。
銃の場合は、狩猟ができる時間帯も決められています。日没後から日の出前までの暗い時間帯は、銃による狩猟はできません。その地域ごとの日の出と日没の時間を確認しなければなりません。
脂が乗っておいしい!冬のジビエ

イノシシの肉を用いた「ぼたん鍋」は兵庫県の郷土料理です
ズバリ、この季節のジビエは全般的においしくなります。例えば、熊は冬眠のために秋からドングリなどをたくさん食べ、栄養と脂肪をたっぷり蓄えています。熊肉は冬眠前が一番おいしいそうです。
イノシシは冬眠こそしないものの、やはり冬に備えて体を太らせています。脂が乗ったイノシシのロースは、シシ肉の中で最も高級品です。
カモ肉は冬が深まる12月以降、脂が乗って肉質が軟らかくなり、非常においしいお肉となります。カモ鍋は冬の温泉宿の定番料理ですね。
イノシシとシカの猟期延長

イノシシは田んぼの土を鼻で掘り返し、好物のミミズを食べます
農林被害が深刻化しているため、特定の鳥獣のみ狩猟期間を延長する「第二種特定鳥獣管理計画」というものが各都道府県で策定されています。特にイノシシとニホンジカについてはほとんどの県で延長されています。平成30年の兵庫県を例にとると、イノシシ及びニホンジカに限り県内すべての市町で「11月15日から翌年3月15日まで」と終期が1カ月延長されています(各都道府県によって延長期間は異なりますので、狩猟を行う人は必ず確認してください)。
猟期外の有害鳥獣捕獲もあるためシシ肉やシカ肉は通年食べられますが、滋養に富んだ野生動物のお肉は、寒い時期の料理にぴったりの食材です。冷えた体をあたためてくれますよ。ぜひ冬の間にたくさん召し上がってくださいね。
参考文献:「狩猟読本」(大日本猟友会発行)
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