室内で育てるキノコ栽培キット
菌床ブロックで自家製シイタケ
「寒さ」と「暖かさ」を求めて家の中を行ったり来たりする1週間を過ごしました。ついでに「乾燥」と「潤い」にも敏感になりました。
すべてシイタケ栽培のためです。
「でるまっしゅ」(カネコ種苗)という菌床キノコ栽培キットを買ってきました。簡単な世話をするだけで高さ15センチにも満たない菌床にキノコが生えるという優れもので、シイタケやシメジ、エリンギなど6種類ほどのラインナップがありました。
鍋野菜を育てるならキノコも自分で育てたいと思いつつ「さすがに原木をベランダには置けない……」と立ち止まっていたので、この手軽さに飛びつきました。しかも家の中で栽培できるので、ベランダの野菜がなかなか育たない冬場にもってこい。しかし、なかなかどうして目が離せない子でした。
部屋とシイタケと私
芽出しまでの菌床の準備
キットには菌床ブロックのほか、菌床を水に浸けたり被せておいたりするためのポリ袋や栽培手順が書かれた説明書なども入っていました。
栽培の手順としては、まず菌床ブロックを袋から取り出して水洗いします。実際に取り出してみると、すでに袋の中でシイタケが発生していたので、生えているものは芽を残してそっと取り除きました。
水洗いした菌床ブロックは「10時間ほど浸水させる」と書かれていましたので、我が家では付属のポリ袋に水を入れて半日ほど水に浸けておきました。
充分に浸水させたところで受け皿に菌床ブロックを乗せ、ポリ袋をかけておきます。室内栽培なので置き場所の汚れ対策として、浅いダンボールに入れる格好にしました。
菌床ブロックの置き場所は「直射日光が当たらない10〜20℃くらいの場所」とのこと。玄関などに置く方も多いようですが、我が家ではあまり使っていない北側の部屋の窓際に置きました。この後は、一日1、2回霧吹きで水やりをすればOK。世話自体はとっても簡単……のはずでした。
“寒さ”不足で芽が出ない!
ところが、なかなか芽が出ません。
最初のセッティングが済んだら「2〜7日ほどで芽が出る」と説明書にあったので期待して待っていましたが、8日目には待ちきれなくなりました。
そこで改めて箱に入っていた別紙のQ&Aをよく読んだところ、「発芽のためには夜間15℃以下になる場所が適します」とありました。10〜20℃の間であればいいというものでもなく、その中でもメリハリが必要だったのです。がーん。説明書はよく読みましょう。このフレーズにはなぜか激しい既視感を覚えます……。
で、菌床ブロックを置いた北側の部屋の室温を実際に計ってみました。いまは一年のうち一番寒い時期ですが、なんと夜間でも16℃〜18℃。、“寒さ”が足りません。マンション暮らしのいいところは冬でも寒くないことだと思っていましたが、まさか暖かいことを問題視する日が来るとは……。
ちなみに、キノコ栽培でもう1つ重要なのが「湿度」です。特に冬は室内が乾燥しているのでこの点は注意していたのですが、目安としては「霧吹きをして色が変わったら乾いている状態」とのこと。霧吹きをしすぎてもカビが生えやすくなるので、水やりのさじ加減も要注意です。
暖かい場所で育てる時の対策
さて、我が家のような暖かい環境で芽出しをするにはどうしたら良いのか。対策としては、浸水の際に冷蔵庫で一晩冷やすといいようです。
しかし、ウチの菌床はすでに浸水しているのでやり直すのもナンだと思い、とりあえず15℃以下になる場所に置いてみることにしました。我が家で15℃以下になる場所といったら冷蔵庫以外にはあそこしかありません。そう、ベランダです。
一応断っておきますと、メーカーの栽培手順にはベランダの“ベ”の字もありません。しかし、屋外の森の中に自生しているシイタケだってあるのだから大丈夫だろうという独断です。
一晩明けた朝、はたしてシイタケがモジャモジャ発生なんてことは……ありませんでした。もう一晩、外に出しました。そして、翌朝。
ついに、ピョコンと小さく突き出すようなシイタケの芽が出ていました!冷気に当てた判断が奏功したのか、何もしなくても芽が出る時期だったのかは判然としませんが、やっと芽出しです。やったー!
と思ったら、この後は面白いほどあっという間に成長しました。
芽が出て3日後。
芽が出て5日後。
芽が出て7日後。
収穫のタイミングに要注意
振り返ると、芽が出てから7日目には収穫すべきでした。小さなものが成長途中だと思って保留にしたまま翌日は終日外出して放置していたところ、翌々日にはすっかり傘が開いていました。シイタケ栽培は収穫のタイミングを逃さないようにすることがポイントだと知りました。
それでも小さいのを含めて15個以上取れました。収穫後は菌床を1週間ほど休ませる期間を挟んで2、3回は栽培できるそうです。
シイタケ栽培のコツは、行ったり来たり?
さて、冒頭に書いたように、この間になぜ家の中を行ったり来たりすることになったのか。それは、芽出しに手間取って説明書とQ&Aを熟読したおかげで、プロ顔負けのシイタケ栽培のコツを学んでしまったからです。
そのコツというのは、「昼夜の寒暖差をつけること」「昼間は乾燥気味に、夜間は湿度高めに保つこと」だといいます。
そこで、日が暮れたら霧吹きで菌床ブロックに水分を与えてから一番寒い部屋の窓際に設置し、朝になったら暖かいリビングに移動させるという作業を毎日繰り返しました。
マジメです。そして、全力です。
なぜって、毎日目に見えて大きくなるので、目が離せなくなってしまったのです。実際にはもう少し放っておいてもよかったのかもしれません。
芽が出た後は1週間ほどで収穫に至るシイタケ栽培。ベランダの野菜たちが長距離走型の栽培だとしたらシイタケ栽培は短距離走といった感じです。久しぶりに心拍数が上がる思いがしました。
◆今度はのんびり長距離走がしたい。ということで、次回はじゃがいも栽培。
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