養液栽培でイチジクを一年中収穫できるように

お話を伺った藤井貫司さん
──具体的にはどのような方法でイチジクを栽培するものなのでしょうか?
イチジクはもともと夏に出荷するものなのですが、土に植えて栽培する従来の方法では一年に3カ月しか収穫できる時期がなく、そのほかの期間は何もすることができませんでした。これを、養液栽培(※)で一年間収穫できるようにしようというのが今回のチャレンジです。
※ 土を使わず、肥料を水に溶かした「培養液」によって作物を栽培する方法。
──養液栽培をしようという発想はどこからヒントを得たのでしょう?
千葉大学でイチジクの養液栽培の研究をずっとやっていらっしゃって、冬にイチジクを作ることに成功しているというのを知ったのがきっかけですね。実際に千葉大学に行ってお話を聞かせてもらったりもしました。
──すでに現在イチジクを栽培しているんですよね。
そうです。今は祖父が建てたハウスで、羽曳野市の特産品「羽曳野イチジク」を栽培しています。ハウスで栽培すると冬に暖房をつけてハウス内を暖かくするので、外で育てるよりも3カ月くらい早く出荷できます。でも経費の面でもあまり儲からないので、大阪でやっているのは私の農園だけですね。
──養液栽培や周年出荷はその解決にもなるのでしょうか?
はい、養液栽培による周年出荷を可能にすることで、利益の出る栽培方法を作り上げることができると考えています。私が地域でその第一歩を作ることで後に続く人を増やせたらと思っています。
みずみずしく驚くほど甘い、完熟イチジクの魅力
──このチャレンジをしようと思ったのはどうしてなのでしょう。
イチジクのおいしさを知らない人がたくさんいるなと思ったからです。僕のまわりはイチジクを栽培している人が多いのでもちろんそのおいしさを知っている人が多いですが、一般的にはやはりイチジクは生で食べたことがないという人も多いのだと知りました。
──確かに、そうかもしれません。ドライフルーツのイメージもありました。
そうですよね。イチジクは完熟で収穫して食べるとおいしいのですが、日持ちしないのでスーパーに届けることが難しく、完熟のものがお店に並ぶことが少ないのです。しかし、なるべく完熟に近づけて収穫しお客さんに届けると、甘くておいしいと感動してもらえた経験がありました。本当においしいイチジクは、びっくりするほどみずみずしくておいしいんですよ。
──例えばどんな食べ方があるのでしょう。
完熟のものをそのままいただくのが一番おいしいですが、ヨーグルトの酸味と合わせてもおいしいです。生ハムのような塩けのあるものにもよく合いますし、サラダに入れてもいい。天ぷらもおいしいです。
実現すれば今までにないことができるから、勝負をかけた
──クラウドファンディングをやろうと考えたのは、どうしてなのでしょうか。
僕が農業をやるようになったのは32歳の時で、今年で6年目になります。今までの5年間は、もともとあった栽培方法などを自分なりに改良してきた時期でした。6年目を迎えて自分で何か新しいことをやってみようと考えるようになり、周りでまだ誰もチャレンジしていないイチジクの周年出荷、周年栽培をやってみようと思ったのです。実現すれば、今までにないことができると考えました。僕にとってはかなり大きな決断です。
──実現すれば、イチジクの新しい一歩が踏み出せそうですね。
そうなんです。冬場にイチジクが出せるようになればブランドを作ることができますし、生産者にとっての利益の拡大も見込めます。また、消費者のみなさまにとっては、今までイチジクを食べられなかった冬のシーズンにもイチジクを楽しんでもらうことができます。クリスマスケーキやお歳暮など冬ならではのシーンにも使っていただけるなど、イチジクの新しいおいしさをさらに見出してもらえるのも楽しみです。さらに大阪のイチジクを多くの人に知ってもらえるきっかけになると思います。
──夢は広がりますね。
もちろん不安な気持ちもありますが、こんな大きな決断はこの先することがないかもしれないので、勝負をかけてみようと思います。
代々の農園に新しい風を吹き込み、イチジクの可能性をさらに広げようとする藤井さん。イチジクの魅力をたっぷりつめこんだクラウドファンディングは、みずみずしい箱入りのイチジクがもらえるメニューなど、見ているだけでその決意の大きさが伝わってくるかのようです。
藤井さんのチャレンジはこちらで応援することができます。
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