世界の共通課題「フードロス」を知る! 自治体を挙げた取り組み「ドギーバッグ運動」とは?

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世界の共通課題「フードロス」を知る! 自治体を挙げた取り組み「ドギーバッグ運動」とは?

世界の共通課題「フードロス」を知る! 自治体を挙げた取り組み「ドギーバッグ運動」とは?

最終更新日:2019年02月28日

「フードロス」、「食品ロス」という言葉をご存じですか? 世界中で、まだ食べられるのに廃棄される食品が問題視されており、国連サミットではその削減目標が定められています。2020年東京オリンピック・パラリンピックに際して食べ残し削減に向けた取り組みを推進するなど、日本国内でもフードロス削減に向けた動きがあちこちで始まっています。フードロスの現状と、滋賀県大津市の自治体を挙げた取り組みについて紹介します。

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もったいない! 食べられるのに捨てられる食品たち

フードロスとは

「フードロス」または「食品ロス」とは、まだ食べられるのに廃棄されてしまう食品のこと。フードロスは世界的な問題となっており、2015年の国連サミットで採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」(※1)の中でも、「持続可能な開発目標」の一つとして食料の損失・廃棄の削減が目標に掲げられています。

持続可能な開発目標(SDGs)より抜粋

目標12. 持続可能な生産消費形態を確保する
12.3  2030年までに小売・消費レベルにおける世界全体の一人当たりの食料の廃棄を半減させ、収穫後損失などの生産・サプライチェーンにおける食料の損失を減少させる。

これを受け、2020年の東京オリンピック・パラリンピックでは食べ残し削減に向けた取り組みを推進する方針をとるなど、フードロスに対する関心は国内でも高まっています。

※1 「持続可能な開発目標(SDGs)」を中核とした、全ての国連加盟国が従う2016年から2030年までの国際的な行動計画。持続可能な開発目標は、将来にわたって持続可能なより良い世界を実現するべく定められており、貧困や不平等の解消、気候変動への対処など、17分野のゴール(目標)と具体的な169のターゲットから構成される。

日本におけるフードロスの現状

日本では、年間646万トンものフードロスが生まれています(2015年度、環境省推計)。これは国民一人あたりに直すと、なんと一日約139グラム、年間で約51キロにもなる計算です。
このうち357万トンは食品産業から発生しており、更にその37%に相当する133万トンは、外食産業から生まれているのだそう。外食産業におけるフードロス削減の重要性がうかがえます。

食べられるのに捨てられる食品、フードロス

フードロス問題に立ち向かう、滋賀県大津市の取り組み

外食産業におけるフードロスの問題に、自治体を挙げて取り組んでいる事例を紹介します。滋賀県大津市では、自治連合会をはじめとする市民団体や事業所等で構成される「ごみ減量と資源再利用推進会議」と連携し、「3010(さんまるいちまる)運動」を推進しています。

3010運動とは

3010運動とは、宴席の場で、乾杯後の30分は自席で食事を楽しみ、一旦離席してもお開きの10分前には自席に戻り、食事を食べきることを推奨する運動のこと。

3010運動は長野県松本市から始まった。現在は大津市ほか複数の自治体に広がり、環境省や農林水産省も推奨している

外食産業の中でも、宴席の場は特に食べ残しが多く、食品提供量のなんと14.2%(およそ7皿に1皿に相当)が廃棄されているのだそうです。大津市では宴席の会場となる宿泊施設などに出向き3010運動の普及を図るほか、忘年会・新年会シーズンや歓送迎会シーズンに合わせて消費者に向けたPR活動もおこなっています。宴席デビューを迎える新成人に向けて成人式での啓発も始めるなど、3010運動は広がり続けています。

「ゴミの廃棄にかかる費用は、市にとっても、店舗にとっても大きな問題。自治体と業者が連携してフードロス問題に取り組むことが重要だと考え、活動を続けています。例えば同じ価格のコースでも、客層に合わせて高齢の方には量より質を重視するなど、飲食店側にも工夫してもらっています」(大津市)

正しい「ドギーバッグ」の使用で、フードロスを更に減らす

また、2018年2月からは新たな取り組みも開始。正しいドギーバッグの使い方を推進する「ドギーバッグ運動」です。

ドギーバッグとは

ドギーバッグとは、飲食店で食べ残しを持ち帰る際に使う容器のこと。「doggy bag(犬のための容器)」。アメリカ発祥と言われ、恥ずかしさを隠すため「犬のために」という建前で持って帰ったのが始まりだとか。

海外では一般的。食べ残しを持ち帰るドギーバッグ

フードロスへの意識の高まりから、日本でも一般に認知されつつあるドギーバッグ。しかし、持ち帰った食品を食べて食中毒などが発生した場合、その責任の所在を見極めるのは難しく、まだまだ普及は進んでいません。

正しいドギーバッグの使用を

そこで、大津市ではドギーバッグの正しい使い方をガイドラインとして定め、保健所が営業許可を出す飲食店、約1200店舗に向けて配布。フードロス削減に向けて、安全にドギーバッグを使用できるよう協力を呼びかけています。

大津市の「ドギーバッグ使用ガイド」は国が出した留意事項(※2)に従ったもの。大前提として「食べ残し自体を出さないこと」を推奨しつつ、万一食べ残しが発生した際には「生ものや加熱の不十分な料理の持ち帰りはNG」、「店側が用意した容器で持ち帰ること」などを明記しています。

「実際にドギーバッグ運動を始めてみて、飲食店側からは賛同の声も頂いています。その一方で、やはり衛生面での問題や責任問題はついて回るため、持ち帰りに踏み切れない店が多いのも事実。法整備や消費者の自己責任への同意など、ドギーバッグの普及に向けては課題が山積しています。やはりまずは、食べ残し自体を減らすことが重要と考えます」(大津市)

※2 「飲食店等における『食べ残し』対策に取り組むにあたっての留意事項」。消費者庁、農林水産省、環境省、厚生労働省が作成、公表し、「食べきりの促進」や「食べ残し料理の持ち帰りの責任範囲」について、それぞれ消費者と飲食店に向けた注意点を示している。

フードロス削減には、私たち消費者の意識も重要です。一度にたくさんの注文をするのではなく、様子を見ながら少しずつ追加注文する。持ち帰りがOKなお店ではドギーバッグを利用する(あくまでも自己責任で!)。工夫できることから始めてみましょう。
 

参考
食品ロスの削減:農林水産省
ごみ減量:大津市
 

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