未来を見据えて、農業も、会計・経理業務も、引き継ぎやすく
長野県下伊那郡松川町といえば、りんごや梨、ブルーベリーといった果樹園が広がる「くだものの里」。
今回、取材に伺った菅沼 晃さんの『菅沼ライス』では、そんな果樹栽培が盛んな地域で、自家圃場(9ha)での米づくりのほか、松川町を中心に長野県下6市町村の生産者約180戸と契約し、農業機械による田植え(16ha)や収穫(35ha)といった農作業の請負を行っています。
農作業を依頼する生産者は、おもに果樹をメインにしており、繁忙期が重なって田んぼまで手が回らないという方から、規模が小さいので自前で米作用の農業機械を購入するほどでもないという方、さらには後継者がいないからと離農された方まで――地域では『菅沼ライス』の作業代行が頼りにされています。
『菅沼ライス』は、晃さんの父親が1989年(平成元年)に創業し、晃さんは2005年(平成17年)に20代で就農しています。現在、晃さんは『菅沼ライス』での仕事と合わせ、「長野県食と農村振興審議会」の委員や、「長野県農業法人協会」の青年理事を務めるほか、地域の小学生に米づくりを指導するなど、「誰もが引き継げる農業とは…」と、常に考えながら活動しているといいます。
「ふるさとの美しい田園風景をずっと残したいんです…この先、自分ではない誰かがやることになっても、簡単に引き継げる環境を整えておくことが、私が目指している農業です」と、にこやかに話す晃さん。
経営の基盤である会計・経理業務も同じ考え方で、帳簿の記帳や確定申告作業なども属人化しないよう、誰でもが簡単に業務を行える方法を試行錯誤してきたと晃さん――「父親の時代は、帳簿は手書きで、最初はそれを真似していました。次にPCにインストールして使う農業会計用ソフトを使いましたが、機能がありすぎて、農業や農業簿記を知らない人には難しいと感じたので止めました。ここ数年は、インストール型の一般会計用ソフトを利用し、仕事もサービス業に近いので、青色申告ができれば農業申告でなくてもいいと割り切って、経理業務をシンプル化してきました」
しかし、領収書やレシートの内容を会計用ソフトに入力する手間は無くなる訳ではありません。また、2019年10月に消費税10%とともに、軽減税率制度が実施されると、会計・経理業務の負担が増えることは明らかで、少しでも省力化する手段はないかと考えていたといいます。
会計・経理業務にかかる作業時間は、1/3に圧縮。そこで生まれた「心のゆとり」は、もっと大きい
2018年から『菅沼ライス』の帳簿管理は、freee株式会社のクラウド会計サービス『会計freee』を導入。「長野県農業士協会」の研修会で、長野県でクラウドサービスなどの導入で、業務の効率化などを支援する井領 明広さん(つづく株式会社 代表取締役)の話を聞いたことが、導入のきっかけだったといいます。
「講演は、農業に集中できる環境をつくることをテーマにお話し、記帳や確定申告、事務作業などに人や時間を費やすことなく、作物などと向き合う時間を大切にしようと呼びかけていました。後日、農業と地域の未来を考える菅沼さんから、帳簿も引き継いだ人がすぐに分かるようにしたいという相談をいただき、『会計freee』だったら、その課題を解決できるのではないかと思い、おススメしました」と、井領さん。
「これまで領収書やレシートの証票類は、2~3カ月分を溜めて入力していましたが、今は、レシートはその都度、スマートフォンで撮影して時間のあるときに勘定科目を確認する作業だけで済んでいます。また、井領さんのアドバイス通り、主要口座のネットバンキングを申請したので、入力作業そのものがほとんどなくなりました。田植え機・コンバインといった農業機械の燃料代や農業資材も、ネット経由での支払いやカード払いを利用したので、口座を同期するだけで自動で記帳が完了します」
また、『菅沼ライス』では労務管理(常勤は家族3名とパートタイムで1名、田植えや収穫時の繁忙期は臨時雇用で14名ほどを雇用)に、『人事労務freee』も合わせて導入しています。労務書類の作成もフォーマットを使えば簡単に行え、人数が増えても労力はほとんど変わりません。もちろん、『会計freee』とクラウド上でデータ連携し人件費が帳簿に自動で転記されるので、事務作業が煩雑化することはありません。
「レシートを溜めないで毎日やればいいいと思われるかもしれませんが、その1枚のためにPCを開いて打ち込むのは本当に面倒なんですよ。『会計freee』を導入したことで、会計・経理業務にかかる作業時間は、1/3に圧縮することができ、経理作業が溜まった時のストレスから解放され、心のゆとりもできました」と、晃さんは笑います。
『会計freee』に経営情報が集約されるので、適切な判断ができ、目指す農業に集中できる
その他の導入メリットを伺うと――「記帳までのタイムラグがあった時は、おおよその実感値や預金通帳の残高で資金繰りの状況をイメージしていましたが、『会計freee』を導入後は、PCやスマートフォンで簡単に収支状況を確認することができるようになりました。よく見る画面は〔費用レポート〕で、取引先別、勘定科目別、品目別にグラフが色分けされるので、経費の見直しが必要なポイントがすぐに分かるようになりました。また、〔税額シミュレーション〕では、簡単に課税金額の予測ができるため、設備投資のタイミングの判断など、年度末が近くなるとよく見て考えますね」と、晃さん。
自家圃場の生産米は、すべて直販しているという『菅沼ライス』で、販売を担当するのは妻の久美さんです。受注後に精米し、配達や発送をしており、地産品として、近隣のレストランや保育園、病院、仕出し店など、業務用の直販がほとんどだといいます。2023年には「インボイス制度」も始まるので、販売面でも請求書や納品書の作成に『会計freee』は重要です。
また、「6次産業化の取り組みで、自家栽培のもち米を使ったお菓子も販売していきたい」と、話す久美さんは、石川県のご出身。北陸などではポピュラーな米菓の「かきもち」を試作しており、湿度が低い長野県では上手く作るのが難しいと試行錯誤しています。
「この先、担い手が代わったとしても、同じように続けられるシンプルな農業で、なおかつ美味しいお米を作り、お客様に喜んでもらいたい」と、抱負を語る晃さん。『会計freee』で会計・経理業務を効率化し、目指す農業に集中できる環境が整ってきました。今後、『菅沼ライス』は、さらに地域から頼られる存在になりそうです。
<取材協力>
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